大会2日間、五十嵐選手が釣り込んだのはトーナメントで経験値のある霞ヶ浦・北浦ではなく、自身にとって未知の領域である利根川でした。しかも、3日間費やしたプラクティスもすべて利根川。つまり、「霞ヶ浦・北浦の反応が悪いから」という理由で消去法的に利根川を選んだわけではないようです。なぜなのでしょうか?
オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン
2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は五十嵐誠選手の釣りを紹介します。
◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1&DAY2プレス/辻谷薫
五十嵐誠選手のプロフィール
五十嵐誠(いがらし・まこと)
1985年生まれ
主な戦歴:
2013年 JBマスターズ年間優勝
2015年 JBクライマックスエリート優勝、JBジャパンスーパーバスクラシック優勝
2016年 Basser Allstar Classic THE WILD CARD優勝
経験のほとんどない利根川にチャレンジした理由
五十嵐選手のメインルアー
■ワッキーティーチャー(フォロー)+ワイルドモスキート ダブルガード #0(バリバス)+TG ネイルシンカー 3/64oz(レイン)
■ワッキーティーチャー(フォロー)+ワイルドモスキート ダブルガード #0(バリバス)+TG ネイルシンカー 5/64oz(レイン)
大会2日間、五十嵐選手が釣り込んだのはトーナメントで経験値のある霞ヶ浦・北浦ではなく、自身にとって未知の領域である利根川でした。しかも、3日間費やしたプラクティスもすべて利根川。つまり、「霞ヶ浦・北浦の反応が悪いから」という理由で消去法的に利根川を選んだわけではないようです。なぜなのでしょうか?
五十嵐「純粋に、利根川を知りたかった。経験値のないこのフィールドで全力でバスを追いかけてみたかったんです。勝負を投げてるとかそういうことでは全くなくて、知らないフィールドをフレッシュな頭で釣り込むからこそ見えてくるかもしれない“何か”に賭けてみました。結果は伴わなかったですが、楽しかった。トーナメントやガイドで年中釣りをしている僕たちですが、時期や場所がある程度決まっていたり、そもそもガイドはゲストのための時間なので、自分自身が未知のフィールドと真剣に向き合って釣りができることって意外とないんですよ。つまり、こういう機会じゃないと、利根川を本気でやることってないと思うんです。しかもそれをプライベートじゃなくて、試合の熱量でやりたかったんです。プラのときは流れもあってあらゆるフィッシュイーターの反応があったんですが、本番はカレントがなくて厳しかったです。ただ、モリゾーさんも沢村さんも釣っていたので僕が正解を見つけられなかったということです」
メインはネコリグとジグヘッドワッキーの吊るし
五十嵐さんの釣り方は利根川各所の杭やオダなどにラインを預け、水中チョウチンの要領でネコリグやジグヘッドワッキーをスローに操作するというものでした。ネコリグとジグヘッドワッキーに用いたワームはいずれも五十嵐さんがプロデュースした「ワッキーティーチャー5in」。全国どのフィールドでも釣れる長さ、太さ、質感、アクションにまとめ上げた自信作です。また、平均水深が浅く水中の障害物が多いこの水系では運用が困難とされるライブスコープを積極的に活用しました。
五十嵐「たしかにオープンなフィールドよりもバスを見るのは難しいですが、そこは練習しました。基本的にライブスコープで魚の反応を見ながらの釣りになるので、吊るしのじっくりした誘いがメインになります。スモラバやほかのリグも試しましたが、ネコリグが最もバスが反応しましたね」
ジグヘッドワッキーはネコリグと異なった動きで誘いたいときが出番。ワームがシンカーに引っ張られて縦方向になってしまうネコリグに比べ、センターにウエイトがあるジグヘッドワッキーは中層でアクションさせた際水平に近い状態をキープできます。また、ジグヘッドが暴れることによる強い動き、そしてロールが入ることによる複雑な水押しとワームの明滅効果もねらいでした。
五十嵐「この時期のタイダルリバーというとオチアユのイメージが強かったので、プラではスイムベイトやビッグスプーン、チャターなんかも結構投げました。でもキャットやシーバスしか釣れなくて、ライブスコープのデジタルサイトに絞り込んでいった感じです」
[タックル]
■ワッキーティーチャー(ベイトフィネス)用
ロッド:ゼフィロス B64ML-F(がまかつ)
リール:アルカンセ(ZPI)
ライン:シューター14Lb(サンライン)
■ワッキーティーチャー(パワーフィネス)用
ロッド:ゼフィロスS61L-F(がまかつ)
リール:セフィアC3000HGS(シマノ)
ライン:ソルティメイト PEジガーULT4 1号+トルネードVハード3.5号(サンライン)
五十嵐選手のフットステップ
DAY1
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▼スタート前~直後
21番フライト。利根川を上流へ
「3日間のプラで釣れたのはノンキー1尾のみ」
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▼利根川・水郷大橋上流
6:39
ワッキーティーチャーのネコリグでブッシュを撃つ(以下、ネコリグとジグヘッドワッキーのルアーはすべてワッキーティーチャー)。
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▼利根川・横利根川河口付近
6:57
沖の立ち木をネコリグで探る。バンクのカバーには野良ネズミを撃ち込みドッグウォークで誘う。
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▼利根川・水郷大橋上流
7:32
上流へ小移動。杭の列をジグヘッドワッキーの水中チョウチンで誘う。
「とくに先端の杭をねらっています。ブレイクに絡んでいて、ブレイクに沿って泳いでくるバスが着きやすい」
杭の列と杭の列の間はチャターで流す。
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▼利根川・神崎大橋下流
8:43
ネコリグのシンカーウエイトを2.2gから1.3gへ。
「流れの巻いているところをやるので、軽くします」
8:48
消波ブロック帯をネコリグで誘う。同じネコリグでも、カバーでの吊るしにはPE+リーダーのパワーフィネス、消波ブロック帯のアウトサイドなどを横方向に引くときはフロロのベイトフィネスタックルと使い分ける。消波ブロックにはヘビダンも投入。
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▼利根川・常総大橋下流
9:27
バンク沿いを野良ネズミ、カバーにはジグヘッドワッキーとネコリグを投入。
「アタリが欲しい……」
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▼利根川・長豊橋上流
10:48
ジグヘッドワッキー、ネコリグで杭を撃つ。水中姿勢とアクションの違いで両者を使い分ける。結果、ライブスコープでバスの反応がよいネコリグをメインに据える。
11:16
ワッキーティーチャーのカラーをグリパンからブラックブルーに変更。
「プラではブラックがメインだった。その時はショートバイトが多かったけど、今なら逆に効くかも」
11:32
小移動した長豊橋下流でバイト! ロッドが大きく曲がるもバラシ……。
「釣りたかった! よし、もう一回来い!」
11:45
消波ブロックを時間をかけてチャターとネコリグでチェック。
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▼利根川・津宮
12:42
消波ブロックをネコリグで探る。
「あのバラシがなければ……! 明日はどうしよう。利根川にバスがいないことはないはずだけど、バイトが遠い」
13:54
帰着間際。釣れ場合のタイムロスがないようにプレスにデジタルハカリを出すよう依頼。
13:56
ストップフィッシング。帰着。
DAY2
5番フライト。
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▼利根川・横利根川河口付近
6:08
沖のブッシュをネコリグで撃つ。ライブスコープを見ながらロングシェイクで誘う。スモラバにもローテーション。
「キロフィッシュがいるイメージでやります」
6:43
バンク沿いを野良ネズミで探る。
「プラではエビボイルがあったので。そういう状況ならコレ(野良ネズミ)が効くはず。昨日より水が多いし、今日はあるかもしれない」
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▼利根川・水郷大橋上流
7:05
ブッシュはスモラバで、消波ブロックはラバージグとシャッドで探る。
「なかなか釣り方が定まらないですね。ネコリグやったほうがいいかなぁ」
7:56
チャターのウエイトを1/4ozから3/8ozに重くする。
「ブレイクの下に魚が映ったので」
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▼利根川・神崎大橋下流
8:33
「食わせ方がわからない。魚探で中層に魚が浮いている感じなので、中層をねらってます。追っては来てるんですけどね。やってることはサイトフィッシングですね」
反応はさせられるもののバイトには至らず。スモラバやフルサイズラバージグもローテーション。
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▼利根川・根木名川河口
9:25
ネコリグとシャッドで杭やバンクをチェック。
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▼利根川・長豊橋下流
10:30
昨日バラシがあったスポットをネコリグで探る。ライブスコープを見ながら小刻みにシェイク。
「うーん、バイトがない。手が思いつかない」
10:58
小移動で橋の上流側へ。ライブスコープを見ながらネコリグを中層シェイク。
「いた! こっち来い!」
11:08
バイトがあり、フッキングするも乗らず。
「うわ、吐いた!」
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▼利根川・神崎大橋下流
12:12
消波ブロックでネコリグを引くと、他魚種がヒット。
「本命でなくともアタリがあるのはいいこと」
12:26
またしても他魚種がヒット。
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▼利根川・津宮
13:11
消波ブロック帯でネコリグ。本日3尾目の他魚種がヒット。
13:27
ストップフィッシング。
YouTube配信のアーカイブはこちらからご覧ください↓↓↓
Basser Allstar Classic2022 最終成績表