奥村選手がプラクティスに入ったのは試合の3週間前から。練習に費やした日数は8日間。最終的にはBカスタムとサイレントキラーに勝機を見出していたのはライブで映し出された映像のとおりですが、初めから決め打ちでその釣りを押し通そうとしたわけではありませんでした。
オカッパリ&レンタルボートでも真似できる出場選手のメインパターン
2022年10月29~30日にかけて利根川・霞ヶ浦水系で行われたBasser Allstar Classic2022。トーナメントの釣りには、オカッパリやレンタルボートの釣りに生かせるヒントが詰まっています。今回は奥村和正選手の釣りを紹介します。
◎まとめ:編集部 ◎写真とフットステップレポート:DAY1 新倉裕司 DAY1 水藤友基 ◎取材協力:安江勇斗
奥村和正選手のプロフィール
奥村 和正(おくむら・かずまさ)
1969年生まれ
巻き始めのバイトをとるための左手キャスト
奥村和正選手のメインルアー
■サイレントキラー145(デプス)
■Bカスタム 1/2oz(デプス)
同船するライブカメラの前で2尾のバスをキャッチし、デプスファンのみならず観戦するすべての人の期待に応えた奥村選手。ヒットルアーはピンクのスカートが映えるカラー名・バブルガムプロブルーのBカスタム1/2oz。このほかサイレントキラー145でもバイトを得ています。
奥村選手の釣り方は11月26日発売のBasser2023年1月号で詳報しているほか、ライブ配信もYouTubeにてアーカイブ公開されているのでそちらをご覧ください。ここではプラクティスに同船したデプスフィールドスタッフの安江勇斗さんの証言をもとに奥村選手がどのように試合に臨んだのか垣間見てみたいと思います。
これまで霞ヶ浦水系で釣りをした経験がなかった奥村選手がプラクティスに入ったのは試合の3週間前から。練習に費やした日数は8日間。最終的にはBカスタムとサイレントキラーに勝機を見出していたのはライブで映し出された映像のとおりですが、初めから決め打ちでその釣りを押し通そうとしたわけではありませんでした。
安江「最初にプラでご一緒させていただいたときに、試合ではどんな釣りをするつもりなのか聞いたんです。奥村さんは『釣れる釣りならなんでもやる』と。オールスターはお祭りの要素もあるじゃないですか。だからいつもの奥村さんの釣りを見せるのもアリだろうと思っていたので意外に感じました」
実際、主催者も含め多くの人が奥村選手らしい釣りを期待していましたし、ライブでそれを見せてくれるだけでも盛り上がったはず。ですが、奥村選手本人は、結果を残さなければ期待に応えたことにはならない、と考えていたのでしょう。それはプレスアングラーが記録していたスタート前の「釣りたい。絶対釣りたい」というコメントにも表われているように思われます。
安江「私が同船させてもらった日は、この時期にデプススタイルで釣りをして結果が出そうなエリアを中心にチェックしていきました。ただ、ベタ凪の日などはやはり釣果的に厳しいこともあり、ライトリグでのスローダウンの釣りも試していました。プラクティス中はチャターやビッグベイトで反応が得られていたので、スローダウンせずにやり切ったほうが勝てると考えて本番を迎えたのではないでしょうか」
そうして当日を迎えた奥村選手。ライブで印象的だったことのひとつに、利き手と逆の左手でBカスタムをキャストしてバンク際ギリギリに落としていたアキュラシーの高さがあります。奥村選手が左手でキャストするようになったのは霞ヶ浦水系に来るようになってから。ということは8日間のプラの期間中に練習をして会得したことになり、プレスアングラーもそのことに驚きが隠せなかったようすが記録されています。
安江「確かにプラの最初のころはそういうキャストはしていませんでした。ただ、この時期の霞ヶ浦水系ではスピナーベイトの巻き始めのバイトが多いんですよ。着水からのコンマ何秒の間にブレードを回してカーブフォールに入らないと食ってこない魚がいるんです。その魚をきちんと獲っていくために必要性を感じて身に着けたのだと思います」
ではプラで同船した安江さんからみて、競技中の奥村選手はどんな印象だったのでしょうか。
安江「ライブの奥村さんのシーンはアーカイブでも繰り返し見たのですが、普段から落ち着いている奥村さんらしく、焦っている感じがまったくなかったのがすごかったですね。試合中って焦ってしまって早く次のポイントに……と、チェックが雑になってしまうことがあるのですが、ストレッチを最後までキッチリ釣り切っていました。とくに最初にキャッチしたシーンを見ると、食ってきた場所がストレッチの最後のほうなんですよ。焦っていたら取りこぼしてしまっていた魚だったと思います。あと、プラでご一緒させてもらってわかったのは、奥村さんてすごくバックシートに気を遣うタイプなんですね。プラ中はエレキを踏む奥村さんに『もっとバンクに寄せて釣ってください』と言っても『安江が釣れんやろ』とボートポジションを離して釣りされてたんですが、本来はバンクの際をきちんとトレースしないと釣れないので……。本番は効率重視でバンクに寄せて釣られていましたね」
石積にボートを寄せてミズヒマワリの際からバスをヒットさせる奥村選手(トーナメントシャツ)の姿はオールスター史に残る名シーンと言えるでしょう。ぜひ誌面とYouTubeアーカイブでもう一度チェックしてください。
[タックル]
■サイレントキラー145(デプス)用
ロッド:サイドワインダー グレートパフォーマー アウトクロス HGC-67XR/GP(デプス)
リール:ジリオンSV TW 1016SV-SH(ダイワ)
ライン:ビッグバスフロロ20Lb(東レ)
■Bカスタム 1/2oz(デプス)用
ロッド:サイドワインダー グレートパフォーマー ハザードマスター HGC-65HR/GP(デプス)
リール:ジリオンTW HD 1000XH(ダイワ)
ライン:ビッグバスフロロ14Lb(東レ)
奥村和正選手のフットステップ
DAY1
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▼スタート前
「釣りたい。絶対釣りたい」
心の声が漏れる。
今江選手と会話。
今江「奥村さんとは試合初めてやな」
奥村「がんばりましょう」
奥村艇に同乗のライブカメラに機材トラブル。
2度桟橋での対応が必要に。
奥村選手は全く動じずいたって冷静に対応していた。
6:30
9番スタート。
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▼利根川・十日川河口対岸
6:45
水温14℃。
岸際のミズヒマワリにスピナーベイト。Bカスタム・ダブルウイロー。
6:47
サイレントキラー145にチェンジ。
ミズヒマワリの際を首振りアクションでねらう。
6:49
フラットバックジグ3/8oz+BMホッグを消波ブロックにキャストして細かくジグストで探る。
「プラは雨かローライトだった。晴れた日にジグストが効いた」
6:54
消波ブロック帯をコーリングハスラーでゆっくりトレース。
「水が多いときと少ないときでどちらがいいのかわからない。初心者なので」
7:04
移動。
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▼長豊橋上流右岸
7:13
Bカスタムを杭や水中堤防へキャスト。
カバースキャット3.5inでフォロー。水門が閉じて水位が上昇しつつある。
「流れと風向きが一緒なのでそれは救いかな!」
人生初の利根川・霞ヶ浦水系でプラは8日間。
10月の第2週に一度プラに入り、いったん琵琶湖に戻ってからもう一度プラに入った。
7:19
サイレントキラーにチェンジ。
「この水系はショートディスタンスでの釣りが楽しい」
7:23
Bカスタムでミズヒマワリやブッシュをねらいつつ上流へ流していく。
「ピンクのスカートカラーはタンニン系の水でよく釣れるので、こっちの水系でも試したらデカいのが釣れた。利根川に関しては澄んでいても反応が良かった」
7:35
折り返してサイレントキラーで下流方向へ流す。
7:42
カバースキャットでミズヒマワリ周辺をチェック。
7:52
伊藤選手が上流へ向かっていく。
7:58
サイレントキラーにバイト!
ドラグが緩んでいたためフックオフ。
「緩めた覚えないんだけどね~」
かなり悔しそう。
8:01
気を取り直してコーリングハスラーを沖の杭へ2投。
「とりあえず1匹と思ったのに~!」
サイレントキラーをブッシュへ。
「なんとかしぼり出せんかな~」
8:11
赤羽選手が上流へ。
8:13
先ほどのバラシに対して「痛恨の凡ミス」。
かなり悔しそう。
下流へ小移動。
8:19
長豊橋左岸付近の杭+ブッシュをサイレントキラーでチェック。
8:28
移動。
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▼根木名川河口対岸
8:33
フラットバックジグをジグスト。
サイレントキラーでミズヒマワリ周辺をチェック。
8:39
移動。小見川閘門を通過し北利根川を目指す。
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▼北利根川・鹿島線下流右岸
9:33
ブッシュへサイレントキラーをピッチング。
水温15.6℃。
9:42
枝にサイレントキラーが絡まり結び直す。
「この先、風が岸にもろに当たるからいいかも!!」
9:54
Bカスタムをブッシュへキャスト。
9:54
ヒット!
Bカスタムにて800gをキャッチ!
先ほどの発言通りになった!
10:05
移動。
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▼潮来大橋上流左岸
10:08
サイレントキラーで杭を丁寧に探る。
10:15
移動。
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▼霞ヶ浦・麻生の石積エリア
10:23
「釣れてくれよ」
上着を脱いで初トーナメントシャツ姿になる。
Bカスタムを石積+ミズヒマワリに利き手ではない左手でピッチング。
左手でキャストするのは霞ヶ浦水系に来るようになってからとのこと。
ということは2週間で会得?
「プラのときもスピナーベイトかカバースキャットが良かった。チャターも良かったが冷え込みでだんだん出なくなった」
10:55
「風当たらん」
ラインをチェックし結び直す。
11:01
カバースキャット3.5inを石積へ。
「風が当たる面にカバースキャットを」
11:04
カバースキャット2.5inにチェンジ。ロングキャストでオープンウォーターをねらう。
チェンジした理由は3.5inにはラインキャパの少ないリールを合わせていたため。
11:06
サイレントキラーで護岸+アシをチェック。
Bカスタムにチェンジし石積+ミズヒマワリをねらう。
11:19
ミズヒマワリの脇を通したBカスタムにヒット!
1220gをキャッチ!
「ボート際で回収する寸前にバイトがあった」
カメラマン、プレスとグータッチをする。
11:39
ルアーをリグりなおす。
11:41
移動。
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▼夜越川
11:54
境島をチェックしたのち夜越川へ。
水温15℃。ジグストでミズヒマワリをねらう。
11:59
Bカスタムでスピーディーにねらう。
コーリングハスラーにチェンジ。
ロッドワークを駆使してミズヒマワリと並行に引く。
11:07
オカッパリアングラーに許可をもらって上流へ進む。
カバースキャットを水路へピッチングしてスローにドッグウォークさせる。
12:11
アシ際へカバースキャット。
ポケット状になっているところを重点的にチェック。
12:19
移動。
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▼北利根川・鹿島線鉄橋南詰
12:30
Bカスタムをアシと並行にリトリーブ。
5分で移動。
12:37
下流へ小移動し、1尾目をキャッチしたストレッチへ。
ブッシュやアシをBカスタムでねらう。
12:50
外浪逆浦入り口のアシをチェックして、小見川閘門へ移動。
13:00
小見川閘門着。
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▼利根川・水の郷さわら対岸
13:41
消波ブロック帯でジグスト。
150m上流には沢村選手。
13:43
カバースキャット3.5inを消波ブロックへ。
時計を見る回数が増える。
「マメでもええから釣れてほしい。会場周辺も見ておけばよかった」
13:55
ストップフィッシング。
DAY2
フライトが15番と遅めなので「閘門くぐるか、ほか行くか」。
結局下流へ走って、山岡・藤田艇を抜く。
この大会のために買ったバスボート。
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▼外浪逆浦
6:43
昨日やってないエリア。無風でベタベタ。
「そとなさかうら、って昨日やっと言えるようになった」
サイレントキラー145をアシにピッチング。
サオを突っ込んでエイトトラップまで試す。
「キャストが決まって、ここ釣れそう、あーひっかかったとか、新鮮で楽しい」
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▼東関道入口、右岸
7:19
コリガンマグナム150を巻く。
沖に旧護岸のハードボトムがある。
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▼北利根川・鹿島線下流右岸
7:39
アシと笹の島。
表層ジグスト(フラットバック3/8oz+BMホッグ5in)で隙間を探っていく。
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▼北利根川左岸・潮来大橋の上、マリーナ横
7:57
ハードボトムにビーカスタム、しかしすぐやめる。
「いい風が吹いてきてたから」
麻生へ移動。
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▼霞ヶ浦東岸・麻生
8:06
干拓南側のドックの南から釣り開始。
Bカスタム1/2oz。カラーは昨日と同じ「バブルガムプロブルー」
マット横でハイサイダージュニア・トランステールも少し投げる。
「ここはプラで2キロオーバー釣ってる。同じスピナベ」
なぜバブルガム(ピンク)を?
「練習でいちばん食った。リアクション効果あるのかも。落ち葉などからタンニンが染み出したような水で効くイメージがある」
ドックを越えて北側の石積みへ(干拓のすぐ南)。
前日の2尾目を釣ったエリア。
「水がいいわ」
しかしその先に進むと、水門がふたつあるところでまたブクブクになる。
スピナベメイン、ウッドカバーではサイレントキラー145も投げる。
「ここ釣れなかったらやばい。絶対いいはず」
9:05
ミズヒマワリ横で乗らないバイト。
「タンデムウィローは使わないこともないけど、波動強いのを嫌がってる感じ。ガンガン高活性なら、タンデムウィローのほうが遠くから引っ張れるけれど」
ここまでずっと石積のインサイドをねらっていたが、反応がないので石積と石積の間もやってみる。
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▼夜越川(よろこしがわ)
9:50
「昨日はひとつめの橋より上の濁りが取れてなかった。それよりはマシになってる」
ミズヒマワリの際をサイレントキラー145の水中ドッグウォークで探っていく。
2つめの橋で「あー、濁ってるわ」。
カバースキャット3.5inをこの日初投入。
「ダメです。なんていう川やったっけ? ぜんぜんヨロシクないね」
10:43
萩原閘門通過。
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▼利根川・根木名対岸の少し下流
11:14
すぐ移動。
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▼三連水門の下流
11:23
水中堤防のある浅いバンク。
萩原選手とバッティング。
浅いバンク+ブッシュにサイレントキラー145。
堤防にカバースキャット、サイレントキラー145。
サイレントキラー145の釣りはプラの際は利根川で好反応だった。北利根でも1本出たとのこと。
ブッシュをカバースキャットで撃つ。
この大ヒットルアーを作った当時、釣りビジョンの相模湖ロケで釣ったけれど「なんの反響もなかった。こんなんでよかったんや、バスって」。
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▼長豊橋上流左岸
12:42
ゴロタ、ブッシュ、ウッドカバーが点在。
サイレントキラー145からジグストにローテーション。
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▼神崎大橋下流・右岸
13:00
消波ブロック帯でトランステール、Bカスタムを巻く。
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▼横利根川入り口
13:15
ウッドカバーでBカスタムを巻く。
13:20
対岸へ移動、消波ブロック帯でBカスタムを巻く。
帰着へ。
YouTube配信のアーカイブはこちらからご覧ください↓↓↓
Basser Allstar Classic2022 最終成績表