琵琶湖南湖で70cm6070gのモンスターがキャッチされた。スイムジグをキャストして巻いてくる普通の釣りだという。釣ったのは田井敬次郎さん。編集部ではさっそく田井さんにコンタクトをとり、お話を伺った。
ボトムから浮き気味の巨バスを反応させたリーリング術とは!?
写真提供・取材協力◎レークマリーナ
2023年3月8日、琵琶湖南湖で70cm6070gのモンスターがキャッチされた。釣ったのは田井敬次郎さん。
現在はトーナメント等へ出場はしていないものの、琵琶湖のボートアングラーの間では知る人ぞ知る釣りウマだ。しかも、近年流行のライブ系ソナーを駆使したシューティングの釣りではなく、スイムジグをキャストして巻いてくる普通の釣りだという。
編集部ではさっそく田井さんにコンタクトをとり、お話を伺った。
■田井敬次郎さんのスイムジグタックル
ヒットルアー:スイムジグ1/2oz+5inシャッドテール
ロッド:エクスプライド172H(シマノ)
リール:ジリオンSV TW 1000(ギア比6.3:1、右ハンドル/ダイワ)
ライン:モンスターブレイブZ 16Lb(ダイワ)
ボトムをとらず、ちょい上のレンジに直接ルアーをアプローチ
この日、田井さんはふたりの仲間と7時に出船。朝イチに入ったエリアは下物の浚渫沖、水深約4mのフラットだった。
釣りを始めてすぐに推定60cmオーバーのバスがヒットしたが、これはフックオフしてしまう。そして次に来たバスが70cmのモンスターだった。
使用したスイムジグのウエイトは1/2oz、トレーラーには5inクラスのシャッドテールワームをセットしていた。
釣り方を聞くと「フツーに投げてフツーに巻くだけですよ。僕に釣れたのはたまたまです」と田井さんは謙遜していたが、ナナマルはラッキーだけで釣れる魚ではない。さらに深く質問するとやはりスイムジグをやり込んでいる手練れの技が見えてきた。
まず、田井さんがジグを巻いたのはボトムすれすれではなく、ボトムから最大1mほど浮かせたレンジだった。しかも、キャストして着水したらそのままカーブフォール気味に巻きつつ、ボトムをとらずに直接そのレンジにルアーを通すのだという。
「ボトムは取りません。ボトムまで沈めてしまうと、ゴミが引っかかったりして単純に釣れない状態のキャストが増えてしまいます。そして何より、デカいバスは“上”にいるんですよ」
この時期はまだまだ水温が低く、水深4mのエリアならボトム付近は表層よりさらに2~3℃水温が低い。体力のある大型のバスほどそれを嫌ってボトムから浮き気味になるというのがひとつ。
また、この魚をキャッチしたときもそうだったというが、コアユやモロコといったベイトフィッシュが水深2~3mレンジに群れることがある。その群れにはハスや小バスといった捕食者がついているのだが、それらの中型魚をさらに大きなバスが群れの一段下側でねらっているのだという。
そのレンジで獲物を待ち構えている巨バスに警戒心を与えないようプレゼンテーションするため、ボトムをとらずにリーリングしていたのだ。
ラインと一直線になるようにロッドをまっすぐ構え、リールを巻く指先でスイムジグの小さな抵抗を感じながら巻いてくる。
「バスは完全にエサだと思ってバイトしてきます。後ろから追尾してジグをハフハフしつつ、口に収めてそのまま手前に泳いでくるので、コンコンという前アタリのあと、フッとジグの抵抗感がなくなります。前アタリを感じたらそのままのスピードで巻き続け、抵抗がなくなるのを感じたら、必ずロッドで縦向きにアワせるようにしています」
横向きにアワせてしまうと55cm以上の口が大きなバスではハリ先がどこにも立たずにすっぽ抜けが多発するという。縦のロッドワークでアワせることで上向きの力が加わり、バスの口の中にハリを当てることができるのだ。
釣り方のほか、このナナマルがどんな状態の魚だったのかも気になるところ。やはりプリスポーン?
「いいえ。これはスポーンとは関係のないお年寄りのバスだというのが体型やウロコの様子を見てわかりました。釣り歴だけは長いのでわかるんですよ。琵琶湖でよく釣られる、エサをたくさん食べて一気に成長した顔の小さい個体とは別の行動パターンのバスです。これで卵を抱えていたら6kgでは済まないはず。今年は藻の刈り残しが多くて、そこで越冬できたバスが多かった。そのなかにこのバスもいて、エサをとるタイミングで出てきていたんでしょう」
ただし好調なエリアは日替わりで、下物沖でよく釣れたからといって次の日も釣れるほど甘くはないと田井さんは言うが、今シーズンはウィードが比較的残存しており、ライブシューティング以外の釣りでも釣果が上向いている。
春のドリームを追いかけてみたい。