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競争心によるバイト、威嚇によるバイトを引き出すには?
Basser編集部=写真と文
夏は水温上昇によってバスがタフになりやすい季節だ。食欲のないバスをいかにバイトさせるか。
悩ましいテーマだが、それができるのがバスフィッシングの醍醐味でもある。
ヒロ内藤さんはバスが口を使いたくなる心理状態を想像し、ルアーでその状況を演出する「攻めの釣り」を実践している。
トップウォーター上達の近道という威嚇と焦りによるバイトを引き出す方法を解説してもらった。
この記事はBasser2015年8月号に掲載されたものを再編集しています。
競争心をあおってバイトに導く
着水音でバスを振り向かせたら、ルアーをアクションさせて誘います。トップウォータープラグはこの種のゲームに実はとても有利なんです。なぜかというと、ルアーを見ながら思い通りのアクションをつけられるからです。ルアーの種類はあまり関係ありません。食欲のないバスをストライクにもちこむために大事なことは、ひとつのルアーでより多くアクションを演出できることです。
たとえば、ザラスプークやスーパースプークなどのペンシルベイトや、ポップンイメージのようなポッパーなどが使いやすいです。水面で、これらのルアーをアクションさせると、バスは好奇心を出してきて近づいてくるわけ。でもその時点では、満腹状態のバスはルアーを食べたいと思ってないかもしれない。ここで漫然と同じアクションを続けるだけだと、好奇心が満たされるのか、スーッと沈んで行っちゃう。
アングラーのアクションの付け方でバスの興味を引き続けることができる。トップウォーターはルアーがどのように動いているのか見ながら操作できるのが魅力だ
そうなる前に、アクションのスピードを急に上げてやる。たとえばペンシルベイトのドッグウォーク。左右に大きく首を振らせていたところに、スピードを上げて浅い「く」の字で泳がせたり、水面から跳ねだすようなしぐさを演出したりしてもいいです。そういう瞬間って、ルアーを見ているほかのバスも反応しやすくなるのを、追いかけてきていたバスもたぶん知っているの。すると目の前のエサが横取りされる前に、俺なら今食える! と思ったバスが焦ってバイトしてきます。威嚇とは違いますが、食性以外の部分で競争心を刺激して食わせるんです。
ペンシルベイトならほかにも、首の振り幅を左右で変えてやるハーフトゥイッチを駆使して、弱々しく左左に泳いでから苦し紛れに1回右に泳ぐとか、ポーズを入れて、「ダメ、もう疲れて動けない」といって水面に横たわるイメージを作ったりとか。そこから一気にダイブするくらいボコッと動かして、ちょこっと元気になって必死に潜ろうとする姿を演出したりとかいろいろな演出ができます。たくさんのアクションを織り交ぜてバスの興味を引き続けると同時に、競争心をあおりたてる瞬間を作り出してやるんです。それが仕掛けていく釣り、「攻めの釣り」です。
この釣りでよくないのは漫然と同じ動かし方を続けてしまうこと。最初から活性の高い、食い気のある魚がいればバイトしてくるけども、同じことを続けて漠然とバイトを期待するだけの「待ちの釣り」になってしまいがちです。
ヒロさんがオススメする
「攻めの釣り」を学ぶためのトップウォーター・その②
ザラスプーク ●4-1/2in、3/4oz
ザラスプークはロッドワークを駆使した多彩なアクションが魅力。ロッドワークを覚えないと使えないが、覚えてしまえばほかのどんなルアーもアクションさせられるという意味で、まずはペンシルベイトを覚えてほしいとヒロさんは言う。「ザラスプークでは大きすぎると感じる人はスーパースプークJr.を使ってみてください」とヒロさん
嫌なものを排除する威嚇バイトはバドで
今までの話とは考え方が変わりますが、連続した動きのなかからバイトを引き出せるものもあります。たとえば誰かに嫌がらせをすることを考えましょう。嫌がらせをしながらどんどんターゲットに近づいていく。そうすると極端な話、普段おとなしい人でも追い詰められると豹変して殴りかかったりもするじゃない? 要するに同じ嫌がらせをずっと続けるっていうこともバスにバイトさせるという要因のひとつなんです。
ビッグバドを引くとカンカンカンカン音を出しながら泳ぎます。あの音が耳障りで嫌で嫌でしょうがなくて、バスのテリトリーのある範囲まで入って来ると、「うるさくていやだからこっち来るな」と、バイトしてしまうという説もあるんです。
ヒロさんがオススメする
「攻めの釣り」を学ぶためのトップウォーター・その③
ビッグバド ●2-3/4in、5/8oz
ただ巻き時に発生するブレードとボディーの接触音が威嚇バイトを引き出す要因のひとつ。アングラーがロッドワークで操作して意図的にバイトを出す釣りとは別の方向性だが、ひとつの手段としてもっておきたい。「耳障りな金属音がバスを追い詰めるように近づいてくると威嚇でバイトすると言われます」とヒロさん
自分なりのイメージをもつ
今回の話で伝えたいのは、ルアーの操作法はいかにおいしそうなエサを演出するか、っていうことだけじゃないということです。
こんなことしたら焦るバスがいるだろうな、こんなことしたらもっと興味をもつだろうなとか、ルアーの動かし方をバスの目の前でどんどん変えていくんです。そうすると今まで釣れなかった魚のストライクがどんどん生まれてきます。
バイトがあったら「今のは急に動かしたから焦ったのかな」とか自分なりの解釈をしていくんです。テストじゃないから他人がその考えに納得しなくてもいいじゃない。自分のなかでそう思えるんだったらば、その演出、その動きを次はどのタイミングでどう表現してやるかということを考えればいいんですね。
そうすると、もっといろんなことをやりたいっていう楽しみが出てくるから。だからルアーのプレゼンテーションのやり方によって魚の心理状態をどう動かしていくかって考えたときにその釣りが進化するんですね。それを続けていたら、知らず知らずのうちにトップウォーターのエキスパートになっていますよ。
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