冬のディープの釣りを得意としている石井さんは、PEラインを積極的に活用して釣果を伸ばしている。 今回は石井さんが長所と短所を踏まえて解説してくれたPEラインの出しどころを紹介したい。
冬のダウンショットリグ用ラインは活性に応じて使い分ける
Basser編集部=写真と文
Basser2013年3月号ではPEラインを特集した。その巻頭記事に登場してくれたのが、亀山湖や高滝湖のエキスパート、石井真さんだ。
冬のディープの釣りを得意としている石井さんは、PEラインを積極的に活用して釣果を伸ばしている。
今回は石井さんが長所と短所を踏まえて解説してくれたPEラインの出しどころを紹介したい。
PEラインのメリットとデメリットを知る
石井真さんがバス釣りにPEラインを取り入れたのは20年ほど前からだという。
「PEラインは適材適所で使えば武器になります。ただ、ナイロンやフロロとはまるで性質が異なりますから、そのメリットだけではなくてデメリットも知っておかないと痛い目に遭うしストレスも多くなる。たとえば、ほとんど伸びないことは感度のよさにつながりますから、これはわかりやすいメリットですけど、それは諸刃の剣で、速巻きで使えばバイトを弾きやすいし、浅掛かりしているとバレやすいというデメリットと表裏一体です」
「そのほか軽いルアーをスピニングで遠投できることはメリットですけど、重いルアーをベイトでフルキャストするのはライン同士が食い込みますからデメリットになります。また、強度も引っ張り合いにはメリットを感じますが、硬いストラクチャーへの擦れにはデメリットを感じる。つまり、これらのデメリットを知ったうえでメリットが勝ると考えられるところがPEラインの出番ということです」
バスの活性に応じて使い分ける
石井さんは2012年12月に行なった取材でPEラインを使ったセッティング例としてスピニング4本、ベイト2本のタックルを組んで来てくれた。
「PEラインは多用するほうですけど、すべてPEラインということは絶対にありません。今回はPEライン特集の取材ということで、あえてすべてにPEラインを巻きましたが、それはメリットはもちろん、デメリットも知ってもらう意味合いも含んでいます」
そんな石井さんの言葉を顕著に表わしていたのがシュリルピン2inの5gダウンショットリグだった。当日はスピニングタックルにPEの0.6号(13Lb)とリーダーにフロロ5Lbを組んでいた。
※ロッドはロードランナーヴォイスHV610XLS(ノリーズ)、リールはコンプレックスCI4 F4(シマノ)の組み合わせ。
「ダウンショットリグの場合、冬はバーチカルメインですから、ラインの浮力の違いでリグ姿勢や軌道に大きな差は生まれません。使い分けるべきはバスの活性に応じて、ということです」
PEラインで挑むべき活性とは明確なバイトは出ないけれどもバスが咥えたルアーを離さないときだ。不明瞭なバイトを伸びのないPEラインを使うことで感度を高めてより明確に察知していくという考え方である。
逆にPEラインに不向きなのはフロロでもバイトは取れるが聞きアワセを入れると咥えていたルアーを離してしまうとき。伸びが少なく操作がダイレクトに伝わりやすいPEラインでは、アタリを聞くときにバスが違和感を覚えて離してしまいやすいのだという。実は取材当日がまさにこの状況で、ディープのオダ周りなどで何度かバイトを捉えたものの吐き出されてしまいフッキングに至らなかったのである。
「普段はすべてのリールにPEラインしか巻いていないということはありませんので、何度かあったバイトのうち何尾かは掛けられたと思います……。まあ、これがPEラインの怖いところですよ(笑)」
そのほかの石井さんが用意したタックルの内訳はこうだ。まずはスピニング3本。
●ワサビー8gおよびジャカブレード9g用
ライン:PE1号(20Lb)
リーダー:フロロ7Lb
●プロリグスピン12g+スプーンテールシャッド4in用
ライン:PE1.2号(27Lb)
リーダー:フロロ8Lb
この2本は取材用というわけではなく、このウエイトであれば常にPEラインセッティングで使用。
●ウインドレンジ5/8oz用
ライン:PE1.5号(25Lb)
リーダー:フロロ10Lb
スピナーベイトは通常はベイトタックルとフロロラインの組み合わせで使用しているが、スーパーディープねらいのときのみこのセッティング。
続いてベイトタックル。
●バグアンツ3inヘビーキャロライナリグ
ライン:PE1.5号(25Lb)
リーダー:フロロ10Lb
シンカー:3/16oz+5/16oz
感度が高まることで根掛かりを回避しやすくなり、シンカーをふたつ使ってウエイトを分散させることでより根掛かりのリスクを減らしていた。フロロリーダーの長さはヘビキャロのみ1m。それ以外はすべて1.5m。
●エスケープリトルツイン5/8ozテキサスリグ
ライン:PE2.5号(35Lb)
リーダー:フロロ16Lb
テキサスリグはあくまでも取材用のPEラインセッティングで、普段はフロロカーボンオンリーだという。
「このなかで間違いなく言えるのは、ワサビー、ジャカブレード、プロリグスピン、そしてスーパーディープのスピナベにはスピニングタックルとPEラインの組み合わせが有効ということ。ヘビキャロもPEラインを使うことで根掛かりがかわしやすくなります。ただフルキャストの際はイト噛みに注意が必要ですね。今回あえて用意したものもありますが、普段は絶対にPEラインを使わないのはテキサスリグとクランクベイトですね。それはアワセ切れやキャスト切れがあるからで、バイトも弾かれやすいです。もちろんロッドとの相性によって違いますから一概には言えませんが、僕の釣りではメリットはあるけれどデメリットのほうが勝ります」
つまり石井さんの場合、PEラインのメリットはおもにスピニングタックルで活きてくることが多いということになる。
……次回、石井真さんに聞く、PEラインのメリット、デメリット:
第2回 「PEが活きるメタルジグとスピナーベイト」
- 1
- 2
2017/01/10