テキサスリグ・イコール・シャローカバー。
こうイメージするアングラーは多い。では、急深なリザーバーではテキサスリグをいかに使うのか?
この疑問を解決するため、亀山湖のスーパーロコである川島勉先生に編集部員が1日弟子入り!
第6回は、亀山湖の複雑なカバーを撃ち抜く極意を教わっています。
ハードカバーはスピードでぶち抜く!
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
テキサスリグ・イコール・シャローカバー。こうイメージするアングラーは多い。では、急深なリザーバーではテキサスリグをいかに使うのか?
この疑問を解決するため、亀山湖のスーパーロコである川島勉先生に編集部員が1日弟子入り!
第6回は、亀山湖の複雑なカバーを撃ち抜く極意を教わっています。
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2012年6月号に掲載されたものを再編集しています
講師=川島勉(かわしま・つとむ)
川島勉先生のブログ:チ~プ きゃすてぃんぐ
1969年生まれ。本業は美容師。亀山湖でロクマルを含む数々の50㎝アップを手にしているスーパーロコ。2011年の9月頭、大混雑の亀山湖で行なわれた「第1回レンタルボートスターウォーズ」では、テキサスリグで4尾の1㎏クラスをキャッチし、4920gをマーク。2位に1㎏近い差をつけてぶっちぎった。
生徒=アマノ(A)
1969年生まれ。「どん深なのにテキサスリグを入れる意味あるの?」が口癖化するほど「リザーバーのテキサスリグ」に強い苦手意識があり、今回のテーマを聞いて弟子入り志願。現・ルアーパラダイス九州編集長。
生徒=ササキ(S)
1984年生まれ。テキサスリグにトラウマあり。かつてヤマガタとともに赤羽修弥さんに霞ヶ浦でテキサスリグを教わったときは、船中14尾という好釣果にもかかわらずただひとりゼロ。前で赤羽先生に、後ろでヤマガタにバスを抜かれまくり「サンドイッチマン」と呼ばれた。以降練習に励み、「今や僕のテキサスリグは人並みです」と胸を張るが……。
テキサスリグとは……ウイードレスにフックセットしたワームのすぐ前にバレットシンカーをセットした形のリグ。「赤羽修弥のテキサスリグ道場」もチェック!
川島勉先生のブログ:チ~プ きゃすてぃんぐ
1969年生まれ。本業は美容師。亀山湖でロクマルを含む数々の50㎝アップを手にしているスーパーロコ。2011年の9月頭、大混雑の亀山湖で行なわれた「第1回レンタルボートスターウォーズ」では、テキサスリグで4尾の1㎏クラスをキャッチし、4920gをマーク。2位に1㎏近い差をつけてぶっちぎった。
生徒=アマノ(A)
1969年生まれ。「どん深なのにテキサスリグを入れる意味あるの?」が口癖化するほど「リザーバーのテキサスリグ」に強い苦手意識があり、今回のテーマを聞いて弟子入り志願。現・ルアーパラダイス九州編集長。
生徒=ササキ(S)
1984年生まれ。テキサスリグにトラウマあり。かつてヤマガタとともに赤羽修弥さんに霞ヶ浦でテキサスリグを教わったときは、船中14尾という好釣果にもかかわらずただひとりゼロ。前で赤羽先生に、後ろでヤマガタにバスを抜かれまくり「サンドイッチマン」と呼ばれた。以降練習に励み、「今や僕のテキサスリグは人並みです」と胸を張るが……。
テキサスリグとは……ウイードレスにフックセットしたワームのすぐ前にバレットシンカーをセットした形のリグ。「赤羽修弥のテキサスリグ道場」もチェック!
リザーバーのカバー撃ちは勢いが大事
朝から探っていた医院下の筋だったが、結局ここでバイトが来ることはなかった。風もかなり強くなり、ボートが振られたり流されたりと非常にやりにくい状況になってきた。医院下にはまた夕方に入ることにして、医院下と同様にこの時期ワカサギの遡上が期待できる猪川に向かいながら探っていくことに。
A よくこの強風下で安定してカバーを撃てますね。ボクだったら風に煽られてあっという間にお目当てのカバーを通過したり、風を受けてボートの向きが変わったりしますよ。
川島 この前落としてしまったんで今日は付けていませんが、普段は船尾にラダーをセットしていますから、直進性が増してボートのフラ付きが抑えられますよ。あと、カバーへの侵入の仕方は風上に向かってエレキを踏むのが基本です。
S あっという間に流されてしまう状況でこそ風上に向かってエレキを踏んでボートを止めると。そして操船に自信がない人ほどラダーを使うべきってことですね。
川島 う~ん、それにしても反応がない。生徒に釣らせるどころか、先生も危うい状況ですよ、これは……。
そんな川島先生の言葉を聞いたAは、少しでもシンカーを軽くしたほうが食わせやすいのではとの思いに駆られ、こっそりとシンカーを7gから3.5gにチェンジ。また、ワームも前から使ってみたかったシザーコームに変更。
A おお、レッグのバタつきの振動がすんごい伝わる。フォールもゆっくりになって、めっちゃ釣れそうだ。
S ホントにわかってるんですか?
川島 さっきまでツルっとした抵抗の少ないワームを使っていた人には相当な水押しを感じてもらえるはずですよ。それがねらいですから。
しかし、ウエイトの変更が裏目に出たか、数投目でシュルルルル……モアっ……とAのスプールのラインが膨らみピョンとラインの輪が飛び出している。
A ありゃりゃ。ピョン吉が出ちゃった。
川島 アマノさんのタックルバランスからすると軽すぎますね。風も強いからシンカーも5g以上あったほうがいいですよ。
A 了解です……(と言いつつ、メカニカルブレーキをほんの少し締めて再度キャスト。すると、モアモアモアっ……)。ぐえ、今度は完全にバックラッシュ……。
川島 回転にブレーキをかけると余計にラインが膨らみますよ。むしろブレーキを緩めて回転速度を上げないと。とにかく亀山湖のようなカバーが入り組んだリザーバーでは上や横からのキャストにせよ、下からのピッチングにせよ、スピードが命。ルアーのスピードでカバーをぶち抜くイメージです。オーバーハングのさらに奥に、垂れ下がった簾のようなカバーがあって、さらに立ち木もあればレイダウンもあるようなところばかりですから勢いのないキャストでは魚の居場所までルアーを送り込めません。勢いがないとラインも一直線にならないから、わずかな隙間にルアーは通ってもラインが垂れて干渉したりする。テキサスリグにそこまでのスピードが必要になるのもリザーバーの特徴ですね。
ルアーを振り子にせず、しっかりとルアーの重さを乗せてロッドを曲げているから正確かつスピーディーなピッチングになる。川島先生いわく「コツはとにかくメカニカルブレーキを緩めること。遠心やマグといったブレーキはその人の投げ方の癖にもよるのでバックラッシュをしない程度に調整しましょう。スピードが出る分、途中の障害物にぶつかると激しいバックラッシュになりやすいので瞬時に強いサミングができるように常に準備しておきましょう」
左に川島先生、右にAがいたこともあり、真ん中のSは下からのピッチングを多用。しかし、左手のルアーを放した時点でロッドが水平近くまで立ってしまい振り幅がとれていない。ロッドにルアーの重みもほとんど乗っていないことからルアーに勢いがつかず、山なりに近い軌道になることが多かった。これではカバーの際には落とせても、カバーの奥までは入れにくい
S でも、奥に入れるはずの目測でキャストしても、思いもよらぬ障害物に阻止されると、スプールに勢いがある分、とんでもないバックラッシュになりやすいですよね。
川島 たしかに。だからいつ何にぶつかっても大丈夫なように、でもスプールの回転を妨げない程度の弱いサミングをして、ルアーが何かにぶつかったら即座に強いサミングで回転を止める。これ以外に対処法はありません。複雑に入り組んだカバーにビビッて手前しか探れない人にはなかなか釣れません。
A なるほど。川島さんはマイキーやビッグベイトといったトレブルのスリーフック付きのハードベイトも躊躇なくカバーの最奥に送り込んじゃいますもんね。
川島 まさにそれもテキサスリグで感覚を磨いた賜物ですね。フックポイントを隠せるというテキサスリグならではのメリットを活かして、怯まずカバーをぶち抜いたからこそハードベイトでも送り込めるようになるんです。勢いがないと、枯れ草程度でもスタックしてしまうけど、勢いがあればちょっとした枝くらいなら跳ね避けたり貫通してくれます。
川島先生のキャストの一例(ピッチング)。左手に持ったルアーを放した瞬間にしっかりとルアーの重みをロッドに乗せて振りだす
水面とオーバーハングのわずかな隙間を通じて最奥までルアーを送り込みたいので、低い弾道で勢いよく飛ばす。この時点でもまだしっかりとティップが曲がっている
シザーコームが水面のわずか上を滑空してオーバーハングの下に滑り込んでいく。このとき、思いがけず小枝などと接触してもすぐにサミングで対応できるようにしている。また、着水後のフリーフォールを妨げないようにティップ側を立てていき、ロッドの下ろし幅を確保している
釣り始めに比べて明らかにルアーのスピードが増したS。大胆にカバーの奥まで届けたがノーバイトは変わらず……
そこからAとSのふたりは、それまで経験したことがない速度のカバー撃ちを敢行。すると、これまで難攻不落に思えていたカバーの最奥にスパーンとリグが入るようになり、目測を誤って手前の障害物にぶつけてしまっても咄嗟のサミングで大事故には至らないようになっていった。とはいえ、濃いカバーの最奥がねらえるということは、それなりに根掛かりのリスクも増える。
A あ、完全にかかってしまいました。すいません。
川島 根掛かりを恐れていてはこの釣りはできません。ある程度はしかたないんで気にしないで。それにほとんどの根掛かりはロッドを突っ込んでティップで叩けば外れますから。
そう言ってボートをカバーの中に突っ込んでくれる優しい川島先生。船尾でゴソゴソと根掛かりと格闘するA。そのとき……。
根掛かりを回収するために入ったオーバーハング下に、この方向からしか入れられないカバーを見つけるや即投入した川島先生
川島 あ、このオーバーハングの中にとっても美味しそうなカバーがあった。ちょっと撃ってみます。ん! 食った!
サイトキャンディーカラーのシザーコーム3.8inを丸呑みにしたのは、オーバーハングの奥に入って、さらに斜めに向かった横倒しの木の幹の浮きゴミの下という、なんともややこしいカバーに潜んでいた魚だった。
すると横倒れになった太い木の幹の奥からファーストバスがヒット!
「根掛かりがなかったらあそこは撃っていませんでした(笑)」と川島先生。「この日初めて役に立ったのか……?」とA
川島 1尾釣れたのはうれしいけど、普通にねらっていたら出会えない魚でしたね。たまたまアマノさんの根掛かりを外そうとオーバーハングの下にボートを突っ込んだけど、そうじゃなければスキッピングで木の幹あたりまでは探れましたから。でも、幹の裏側までは入れられない。つまり、普通は入れられないカバーでしか釣れない……(と言ってふたりをチラリ)。
S ボクらは気にしないでください。川島先生のシアワセがボクらのシアワセですから。
A 存分に船首をカバーに突っ込んで釣ってください。ボクらはボクらでなんとかやりますから。
そこから川島先生は、普通の人には撃ちきれないであろう複雑に入り組んだ濃いカバーだけを探っていく作戦に
……全然なんとかやれなかった。ふたりが想定していたカバーをはるかに凌ぐスーパーヘビーカバーに船首から突っ込まれると、もはや寝そべる以外にすることはなく、こんな狭いスペースでもビシバシとキャストを決める川島先生のスーパーテクをただただ眺め続けるほかなかった。たしかに左右はもちろん上にも前後にも複雑なカバーが覆いかぶさるなかでロッドを振るには長すぎるロッドは持てあますだろう。さらにいえば、オーバーヘッドはもちろん、真下からのピッチングやフリップキャスト、左右斜めいずれの方向からでも高い精度でプレゼンテーションできるキャスティングテクニックが不可欠であると思い知らされる。また、テクニックはもちろんだが、「あそこに入れてみせる!」という度胸と覚悟も必要なのだと痛感したふたり。
Sも中腰になってなんとかキャストを試みるも、ロッドを振れるスペースを見つけられずに断念
船尾のAはすでになき者扱い
川島 ごめんね。後ろは釣りにならなかったでしょ。
S それは全然いいんですけど、あんなスーパーキャストを次々に決めても食わない状況を見せつけられては、まるで釣れる気がしなくなりましたよ……。
A 同じく……。
人がねらわないような込み入ったカバーの奥を撃てば釣れるという状況でもなかったため、いよいよ猪川に入ってみたものの、期待したワカサギも、それを追って入ってきているであろうバスにも遭遇できないまま正午に。
Sは「汗ばむようなポカポカ陽気になってきたし、午後からはカバーが効きだすのでは?」と楽観していだが、昼食休憩をはさんで再び湖上に出た途端、突風のような強風に加えて冷たい本降りの雨が……。はたしてこのあとふたりはバスをキャッチできるのか?
2017年3月25日発売のBasser5月号で特集するのはテキサスリグ。リーダーレスダウンショットというカバー攻略のライバルが世に定着した今、それでもなお青木大介さんと小森嗣彦さんという国内最強を争うふたりがテキサスリグにこだわるのはナゼなのか? その理由と活用術を紹介します。そのほかにも、このリグの魅力を100%以上引き出している多数のアングラーの技を掘り下げていきます。
亀山湖と高滝湖の超詳細ガイドブック。
ストラクチャーや等深線、過去の実績ポイントはもちろん、50㎝アップの実績場所やスクールがよく見られるピンスポットもマップ内に表記。
2017/04/12