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編集部2021年9月21日

ケイテック代表・馬路久史さんが語る、影響を受けたバス用ルアー・釣れるルアーから感じた共通点編

ブラックバス Basser バス釣り

経験を品質に変え続けてきたケイテック。代表を務める馬路さんに影響を受けたルアーを伺いました。

シンキングターイム!

 経験を品質に変え続けてきたケイテック。代表を務める馬路さんに影響を受けたルアーを伺いました。

この記事は「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」を再編集しています

 

majihisashi

馬路久史(まじ・ひさし)

1973年生まれ。アクションレスポンスがよく、高評価を受けるクレイジーフラッパーやノイジーフラッパーの開発を担当。「よく釣れるワームとは何か」を日々考え続ける。ケイテック代表

ケイテック https://keitech.co.jp/

 

こちらの記事は 「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」に掲載されています。バスプロ、ルアービルダー、釣具店の方々が自信を持っておすすめするヘビロテルアーを忖度なしで大掲載!!!本当に釣れるルアー教えます↓↓↓

 

 

釣れるルアーが持つ不思議な力

 

 故・林圭一氏が創設したケイテックを受け継ぎ、現在代表を務める馬路がバスフィッシングを始めたのは8歳のころ。少年時代は釣りキチ三平をはじめ、TVの釣り番組でもルアーフィッシングがしばしば放映されていた。彼がバスフィッシングにどっぷり浸かるきっかけとなったのは、まだ日本製ルアーが珍しかった1980年代の初め頃のこと。

 

フレッドアーボガスト/ジッターバグ

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ヘドン/クレイジークローラー

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ヘドン/ビッグバド

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幼少期の馬路さんにルアーフィッシングの楽しさを開眼させた、不思議な力を持つトップウォーター

 

「幼い頃に影響を受けたルアーといえば、ジッターバグ、クレイジークローラー、それにビッグバドです。こんな摩訶不思議なもので釣れるのかっていう衝撃がありました。と同時に『これがルアーフィッシングなのか』っていうことも初めて認識しました」

 これら3つのルアーはただ単にトップウォータープラグという以外に、もっと深い共通点があるという。

「普通のルアーは、たとえば杭の際を通したり、クランクベイトなら何かに当てた瞬間に食うといったきっかけがあります。ですがこの3つはステディリトリーブするだけで、バスが勝手に見つけてくれて近づいてきて食ってくれるんですよ。それがなぜかっていうのはいまだに分からないですけど、釣れるルアーには人間が知り得ない何かが存在すると思うのです」

 

比重の高さがもたらすもの

 

 多くの人がそうだったように、馬路も多感な(?)思春期には一時的にバスフィッシングから離れ、18歳になった頃にふたたび再開した。バス釣りを始めた頃は日本のバスフィッシングがまだまだ黎明期〜草創期だったが、しばらく離れていた間に、日本のバスシーンは馬路が知っていたものとは大きく異なっていた。そして、バスフィッシングを再開してしばらくしてから2度目の衝撃を受けることになる。

 

ゲーリーヤマモト/スーパーグラブ

grub-cuttail

 

ゲーリーヤマモト/カットテールワーム

cuttail-2水面を横に泳がせるトップウォーターと同様に落とすだけで釣れるゲーリーワームも、馬路が影響を受けた

 

「ゲーリーヤマモト社のグラブとカットテールの存在です。グラブはテールをカットしてイモにして、カットテールはいわゆるワッキーセッティングで、どちらもノーシンカーです。これがどこをねらうでもなく投げて、フリーフォールさせるだけで勝手にバスが釣れたんですよ。ステディリトリーブのトップウォーターは横方向、イモとカットテールは縦方向という違いはあるけれど、どちらもバスが勝手に見つけて食ってくれるという共通点があるんです。その当時は、『ゲーリー素材は神素材』とまで言われるほどで、やはり塩入りの素材が効くといわれてい ました」

「これも確信とはいえませんが、ひとつは比重、もうひとつは視覚的な何かがあると思っています」

 塩は水溶性のため、水中では溶け出すようすが魚には見えているのではないか。お湯に砂糖を落としたらモワモワ〜と溶け出すようすが見えるのと同じ効果があるのでは? というのが馬路の見解だ。

「当時の河口湖はまだワームが使えて、サイトフィッシングが強力なメソッドだった。ジャッカルのクロステールシャッドにエディウムという、羊羹(ようかん)のようなモチッとした素材を採用していて、バスが驚くほど反応したんです。通常の塩ビ素材のワームとエディウムを水から出した時にさわると、ワームはサラサラなんですけど、エディウム素材はヌルヌルしていました。ポークリンドも同じようにヌルヌルするじゃないですか。ワームに 入っている塩もそれに通じる何かがある気がするんです」

 さらに比重に関しては次のような興味深い話が続いた。

「たとえば網戸のサッシで作ったウチワと通常のウチワを暗い部屋であおいでもらったら、当然普通のウチワであおいだほうが風を肌で感じますよね。ワームでも同じことがいえると思うのです。同じ大きさのワームでも塩入りとノンソルトでは塩入りのほうが比重が高くなり、人間が見れば動きは同じなんですが、水中にいるバスは高比重のワームのほうを感知しやすいのだと思います」

 なるほど。昨今ではあたりまえになったソルトインの高比重ワームは、単に飛距離やフォールスピードといった使い勝手だけではなく、人間には感知し得ない魚が好む要素があるのかもしれない。

 

 

林イズムと自らの経験を製品にフィードバック

 

 バス業界を長く牽引してきた林圭一氏は器用で真面目な人だった。ボックス内でクセがついて曲がってしまったワームなどは論外。ケイテックの製品を見れば、氏の性格の片鱗が垣間見えるだろう。そんな林さんではあったが、ルアーデザインに行き詰まった時期があったという。

「スイングインパクトを作っていた時ですね。僕も開発段階からずっとそばで見ていました。『これが俺が持っているアイデアの最後』と言って作ったのがスイングインパクトなんです」

 

 

ケイテック/スイングインパクト

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swing-impact02故・林圭一氏の固定観念を覆したケイテックの主力ワームは、アメリカでも大ヒット

 

 スイングインパクト・シリーズは同社の人気ラインナップのひとつ。生真面目な林さんが作り上げたものは水槽のスイムテストもテールまでピリピリと動き、完璧と思われた。テストサンプルを携えて山中湖、霞ヶ浦、琵琶湖などで実釣テストが繰り返された。

「林の中では『これ!』っていう試作があったんです。ところがいざサンプルで釣りくらべてみると、いちばんだと思ってたモデルと真逆のスイングインパクトが釣れたんです」

 テストには塩の含有量が異なる8種類のサンプルが試されたという。もちろん形状はすべて同じだ。

「うちは自社で作っているので、塩の含有量をかなり細かくコントロールできるんです。プラスチックは塩が少ないほど軟らかくなりますが、逆に塩が多いと硬くなります。林がいちばんといったのは塩の含有量が少なく、軟らかめのサンプルだったんです。ところがテストで最も釣れたのは、塩の含有量がいちばん多かったサンプル。林は常に最先端の釣りや情報をアメリカから取り入れて、製品作りにもものすごくこだわっていたんですけど、いい意味でそれが裏切られた出来事でした。

 もちろん、製品化にあたって採用されたのは最も釣れたモデルです。『こうすれば釣れるだろう』、『こんな動きをしたら釣れそうだね』といった、固定観念、あるいは独りよがりはいけないと学びました。仕上げが丁寧でも粗くても、海外製でも国産でも、はやり廃りに関係なく釣れるルアーは変わらず釣れる。決めているのは人間ではなく魚なんです。売れる製品ではなく、お客さんに釣ってもらう製品づくりがいちばん大事な部分だと思っています」


ケイテック/クレイジーフラッパー

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林イズムを継承する馬路が「クロー版のスイングインパクト」をコンセプトに制作

 

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