JB TOP50をはじめとする数々のトーナメントでウイニングルアーとなった野良ネズミ。その開発者である大津清彰さんに、影響を受けたルアーを教えてもらいました。
野良ネズミに影響を与えたZ MAN /ウルトラマウス
JB TOP50をはじめとする数々のトーナメントでウイニングルアーとなった野良ネズミ。その開発者である大津清彰さんに、影響を受けたルアーを教えてもらいました。
この記事は「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」を再編集しています
大津清彰(おおつ・きよあき)
ティムコのルアーデザインおよびマーケティング担当。これまでクリッタータックル・シリーズを中心に開発を行なう一方、TBCに参戦するなど、トーナメンターとしての顔も持つ。現在Basserにて「マッチザベイト学概論」連載中!
こちらの記事は 「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」に掲載されています。バスプロ、ルアービルダー、釣具店の方々が自信を持っておすすめするヘビロテルアーを忖度なしで大掲載!!!本当に釣れるルアー教えます↓↓↓
ドッグウォークはバスを魅了する基本的な動き
もともとは中空フロッグや虫系ワームなど、いろんなルアーの影響を受けています。そのなかで最も色濃く影響を受けたといえるのが、Z(ジー)マンのウルトラマウスです。超マイナーなルアーで、残念ながら日本ではまったく話題になっていません(笑)。形状は写真を見てもらえば分かりますが、アーモンド型というかティアドロップ型です。このルアーとの出会いがなければ野良ネズミは生まれなかったかもしれません。Z MAN /ウルトラマウス
強靭な耐久性を誇るエラストマー素材を採用し、ボディーが裂けにくく、尻尾も切れにくい。オリジナルのトリガーフック(4/0)が付属する。ボディーサイズは約60mm
よくゼタベイトのスワンプラットがモデル? と聞かれますが、あれは見た目がやや似ているものの、ルアーの性質としては全然別ものですね。僕がヒントをもらったのはウルトラマウスです。Zマンはエラストマー素材を使うのが得意なメーカーなんです。うちも以前からエラストマーに注目していて、アーマーガエルや野良ガエルといったルアーを発表してきました。当初はネズミ型の案もあったのですが、フロッグというカテゴリーで考えるとやはりカエル型がいいだろうと発売したものの、先取りしすぎていたのか市場の支持はあまり得られませんでした。
ウルトラマウスの話に戻りますが、パッケージを開けると専用フックが付属していてるんです。これが結ぶアイすらないとにかく変わったハリで使いにくい(笑)。このルアーはダメだ~と思いました。でも、キャストしてみるとスキッピング性能が天下一品なんです。エラストマー素材そのものがスキッピングに適しているということもありますが、テールが1本だけというのもよかった。スキッピングって表面がなるべく滑らかなほうがよいのです。逆にラバースカートとかが付いていると全然ダメでした。ボディー後半が太く、先端は細く、なるべくツルツルでテールはできれば1本……となると、自然とネズミの形に落ち着きました。
ウルトラマウスのスキッピング性能は特筆ものでしたが、フックがダメだったり、アクションさせると頭から潜ろうとしたりするのがもったいないな、と思いました。でもこういった点を改善すれば、よいルアーになるんじゃないかとも思いました。
野良ネズミの開発自体は、エラストマー素材を使ったルアー作りをしていたこともあり、早い段階でスキッピング性能と首振りアクションを実現できていました。あとはフッキングのしやすさですが、ワーム素材と異なり、フック先端で素材を引き裂きながら刺すことが難しいので、最初はやや苦労しました。ですが、フックをセットする腹側のスリットを深くして、バイト時にボディーがつぶれやすくなるような工夫を施して、フッキングしやすくしています。フックのホールド性が高いので、一度セッティングすればズレにくいですし、2~3尾釣ったくらいでは壊れることもない頑丈さが売りです。
ティムコ/野良ネズミ
パワーフィネスの釣りが広まるとともに、各地で驚異的な釣果を叩き出してきた野良ネズミ。プロアマ問わず、多くのアングラーに愛用されている切り札的なルアーのひとつだ
野良ネズミの軽さと弾力性、スキッピング性能は、ちょっと普通のワームには真似できないと思います。加えて、細いPEラインを使うパワーフィネスが広まるとともに、うまく時流に乗れたというか、スピニングタックルを使ってスキッピングでカバーの奥の奥を釣るというメソッドに、ベストマッチだったんでしょうね。実は中空フロッグを使っていた頃から、短い距離でたくさん首を振らせるとよく釣れるなぁと思っていたんです。ドッグウオークってバスを魅了する基本的なアクションだと思うので、それを野良ネズミにも込めました。だからよく首振りするでしょ? カバーの奥にいるバスからしたら、目の前でチョコチョコ動くわけですから、そりゃ釣れますよね(笑)。
PEラインをはじめとするタックルの進歩、スキッピングの重要性が増したこと、フィールドのハイプレッシャー化など、いくつもの要素が複雑に絡み合って野良ネズミのヒットにつながったのだと思っています。
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