マイケル、ペンシルパップ、トレジュ、ザグバグ、そしてタフバグへ。数多くの名作を生み出した田辺さんの土台となったポッパーに迫ります
「ポップRは俺のルアーいじりの土台になってくれたルアーだよ」
マイケル、ペンシルパップ、トレジュ、ザグバグ、そしてタフバグへ。数多くの名作を生み出している田辺さんの土台となったポッパーに迫ります
この記事は「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」を再編集しています
田辺哲男(たなべ・のりお)
1958年生まれ。日本のバスフィッシングを牽引してきたプロフェッシ
ョナルアングラー。米国ツアー参戦を経て現在は日本のレンタルボート文化を構築し、年々
難易度が高くなるブラックバスと真っ向から向き合う。ノリーズ代表
こちらの記事は 「俺たちのヘビロテBASSルアー大全」に掲載されています。バスプロ、ルアービルダー、釣具店の方々が自信を持っておすすめするヘビロテルアーを忖度なしで大掲載!!!本当に釣れるルアー教えます↓↓↓
長年シークレットにされていた隠れた実力者「POP-R」
その実績や長きにわたる活躍から、アングラーとしての存在感が先行してしまう田辺哲男ではあるが、実はルアーデザイナーとしても功績を残し続けている。多くのベテランに支持されるクリスタルSシリーズも、エスケープツインも田辺の手によってデザインされたルアーだ。
そんな日本バス業界のパイオニアである田辺も、昔はアメリカのルアーから学んだことは少なくない。そのひとつがレーベル・ポップRである。今でこそアメリカンポッパーの代名詞的存在だが、不人気ルアーだったこともあり一時は生産が中止されていた。しかしある出来事をきっかけに再生産され、現在も販売され続けているロングセラーだ。
レーベル/ポップR
ポップRが出る以前はチャガーといわれる受け口タイプが主流だった。トーナメントでシークレットにされていたことが明かされると同時に大ブレーク
「もともとポップRはアメリカでシークレット的なルアーだった。日本にも入ってきてたし、俺も知ってはいたけど軽くて投げにくいし、テールフックにはタワシみたいな毛が付いてるし、首振りもできない。だから最初は『何だこのジャンクルアーは!?』くらいにしかとらえてなかった。ところがアメリカに行った時に、どうやら西海岸ではシークレットでウイニングルアーになっていると聞いた。それも、塗装を剥いでクリアにするとか、カップのエッジを削るやら、改良して育てて使うっていうところに俺の興味は持っていかれたね」
田辺いわく、カリフォルニアやネバダ州のクリアウォーターのリザーバーで密かに使われていたらしい。使い勝手の悪さから日本では脚光を浴びることはなかったが、アメリカではポップRの出しどころが違った。
「レイクミードやレイクパウエルっていうキャニオン系の湖で勝ちまくってたらしいんだよ。あんなに投げにくい、ましてや20年も30年も前のルアーだぜ。オーバーハングの下みたいに、ねらったところに入れられるようなものではないよね。ところがミードやパウエルはオープンウォーターで使うんだよ。ここだよね、大きな違いは。あのゴボンっていうポップ音で深いところからバスを引っ張り上げて釣る。しかも、あの小さいボディーっていうのがキーなんだよ」
ポップRについて調べてみたところ、どうやらシークレットにしていたのは、リック・クランだったようだ。本人が後日談として「1983年にレイクミードで開催されたU.S.オープン(当時の超メジャートーナメント)は、ポップRで優勝している」と明かしている。そのリック・クランのYouTubeチャンネルでは「ノリオ・タナベがもっといいのを作ってあげるといって、RICOが誕生したんだ」とも解説している。RICOというのは田辺がポップRをヒントに作り上げたマイケルがベースのポッパーだ。
バス&シェイプ/マイケル
カップがポップRよりも浅くシェイプされたことで、ポッピングもスプラッシュも首振りも容易にこなす。シャープなフックには「タワシ」っぽさを払拭し長めのフェザーを装着
「今となってはマイケルも俺にとっては過去のものにすぎない。ポップRよりは投げやすいけど、それでもやっぱりオーバーハングの中にサイドキャストで入れるのは難しいよね」
年々難しくなっていくように感じられるバスフィッシング。その原因のひとつにバスの知能、つまり学習能力の高さがあるという。20年前のルアーでも釣れることはあるが、今の環境に合わせてルアーを作るのが田辺のやり方。ゆえに自分がこれまでに手がけてきたルアーをアップデートさせることも珍しくない。マイケルのあとペンシルパップ、トレジュ、ザグバグな どを開発した。ここ数年はポッパーの威力を再認識し、久々に着手。2020年には過去のポッパーを払拭する、最新のポッパー『タフバグ』が完成した。タフバグのキモは明かすことのできない田辺だけのシークレットとのことだが、同クラスのポッパーとしては過去に例を見ないキャスタビリティーを誇るのは間違いないだろう。
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