編集部2021年8月30日

海馬のブレードが光るとき/トップウォーターの進化論/痴虫 前編

ブラックバス Basser バス釣り

痴虫で始めにブレードを使用したルアーは海馬でした。当時川のテトラ地帯をダブルスイッシャーのただ引きで攻めるのが好きだったのですが、いかんせんキャストの精度が甘く、テトラにぶつけてはリアのプロペラを壊してしまうのが悩みでした。「それなら、そのリアのプロペラを壊れにくいようにブレードに置き換えればいいのではないか?」というのが始まりでした。

僕はブレードとフラッシングを愛してしまった男

松本光弘=文

 あらゆるブラックバス用ルアーのなかで、形状がもっともバラエティーに富んでいるジャンルと言えばトップウォータープラグであろう。日々、新たな工夫や機能が凝らされたパーツや形状の製品が考案され、津々浦々のバスの本能を刺激している。この記事では、オリジナリティー溢れるトップウォータールアーの開発者に、機能に込めたねらいや開発秘話を明かしてもらった。今回は痴虫・松本光弘さんによるパーツ進化論です。

この記事はBasser2016年10月号に掲載したものを再編集しています。

 

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松本光弘(まつもと・みつひろ)

1977年、大阪府生まれ。東京藝術大学美術学部/工芸科染織専攻中退。ルアーブランド「痴虫」を立ち上げトップウォータープラグを中心にルアーを製作販売。埼玉県川口市の工房で生活。ハードベイト限定のトーナメント「H 1グランプリ」などに参加。

痴虫

「海馬」シリーズのほか、ダブルスイッシャー「ボルチ」やシングルスイッシャー「ポム」、ポッパー「あおきくん」などをリリースしてきた。立ち上げは2004年
https://chimush1.exblog.jp/

 

巻いて使うのにピッタリのウイローリーフブレード

 皆さまこんにちは、痴虫の松本です。今回は、ブレードに関する考察を書くというお題をいただきました。たしかに痴虫のルアーにはブレードが付いている物が多く、ブレードに依存して生きて来た人間だと言われても仕方ありません。しかし僕のなかでは「意味なく付けるまい、ブレードに頼るまい」と自分を正し必要に応じて使ってきたつもりです。それでもこんなにブレード使っているということは、よほど好きだということですよね(笑)。というわけでさっそく、腹の中でたぎるブレードへの愛を、文字数ギリギリまで書かせていただこうと思います。

 痴虫で始めにブレードを使用したルアーは海馬でした。当時川のテトラ地帯をダブルスイッシャーのただ引きで攻めるのが好きだったのですが、いかんせんキャストの精度が甘く、テトラにぶつけてはリアのプロペラを壊してしまうのが悩みでした。「それなら、そのリアのプロペラを壊れにくいようにブレードに置き換えればいいのではないか?」というのが始まりでした。そのとき、たまたまビッグウイローを付けたこと、ぶつけても壊れないようにブレードの付ける位置をお腹側にオフセットしたことなど、たくさんの偶然によってこのルアーは生まれたのです。

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海馬シリーズ
オリジナルの「海馬」だけでなく、「小さい海馬」、「沼海馬」などがある(写真は小さい海馬95)。いずれもフロントにプロップ、リア寄りの腹側にブレードが付けられているだったからです。ウイローの安定した回転は巻いて使うのにピッタリでした。ただ、少しパワーが弱いので、あのブレードサイズになりましたが。

 

 その当時、トップの世界ではすでに諸先輩方がブレードを付けたルアーの数々を出されていました。それは流行りと言っていいほどで、それを見た僕は安易にブレードを付ける(既存のルアーにブレードを付けました的な)のだけはよそうと思ったものです。ちなみに、その当時皆さんが付けていたブレードはほぼすべてと言っていいほど、中~小型のコロラドブレードでした。それはブレードをしっぽ的に使う方法で、先述したように既存のルアーに付けることで少し味を追加する、そんな使い方に見えました。料理で言う合成調味料をパラパラ、というような……。とはいえ、コロラドのしっぽ使いにも意味はあります。後方へのフラッシング、ルアーの動きの抑制(ブレーキ)、水面をはじけさせるバジング的効果などです。コロラドは首振り系のルアーに使うと相性がいいですね。

 逆に、あの当時ウイローリーフのブレードはほとんど注目されておらず、使われていた記憶はほとんどありません。それもそのはず、ルアーに取り付けるには長さがあるので不格好になるからです。海馬もブレードと引き換えにリアのフックは排除せざるを得ませんでした。もちろんそれでもきちんとフッキングするのはテストで実証済みですが、当時は見た目のバランスが受け入れられず、理解される(慣れてもらう)までに時間が掛かりました。それでもウイローリーフを選んだ理由は、先ほど書いたように海馬がダブルスイッシャーの変わりに使うための、ただ巻きの設計だったからです。ウイローの安定した回転は巻いて使うのにピッタリでした。ただ、少しパワーが弱いので、あのブレードサイズになりましたが。

 コロラド、ウイローリーフ、それぞれ特徴を整理すると、コロラドはクランクベイトに近いイメージで、振動とパワーがあります。ウイローリーフはシャッドやミノーのイメージで自然さと強いフラッシングがあるといった感じでしょうか。

後編 「ブレードが効果を発揮するタイミング」 8月31日公開!

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