高級魚アマダイを攻略せよ!エキスパート・高槻慧さんが教える釣果の鍵は、「動」と「静」の誘い分けだ。砂煙を上げて数を釣る「動」と、じっくり待って大物を狙う「静」。基本の釣り方から、状況に合わせてこれらを使いこなす応用テクニックまでを徹底解説する。
写真と文◎編集部
解説◎高槻慧
アマダイ釣りの魅力とタックル

アマダイは釣って楽しい、食べて美味しい釣りものとして人気が高い。ベストシーズンは晩秋から冬にかけて。9~5月が最盛期で、その後の季節は型、数ともに楽しめるタイミングとなる。釣りでねらうアマダイはシロアマダイ、アマダイ、キアマダイの3種類が主で、今回高槻さんがねらうのはアマダイだ。月刊つり人で連載していた四コマ漫画、ゆかぴ船長の「今日も釣れっから!」でお馴染みの船宿・丸十丸も力を入れている釣りもののひとつ。
「入門者が一気にハマるほどの魅力がある釣りだと思うね。はじめはレンタルタックルでやってたお客さんが道具を一式揃えて来てくれたこともあった!」
こう語るのはゆかぴ船長のお父さん、漫画にも登場している小菅裕二船長。的確なアドバイスとポイント選びで釣果へと導いてくれる頼れる船長だ。
「アマダイ釣りは仕掛け、タナ、誘い方がハマるとどんどん釣果が伸びていく釣りです。その時々の状況に合わせて釣り方を探るのがキモです」と高槻慧さんは言う。
ロッドは先調子がおすすめ
今回高槻さんが使用したサオは「極鋭アマダイ MH-195」。アマダイ専用のサオのみならず、80号前後のオモリ負荷で180cm前後のライトゲームロッドで充分楽しむことができる。小さなアタリを感じ取る必要があるため7:3の先調子がオススメだという。
これに小型ベイトリールを組み合わせるが、水深100m前後を探る釣りであるため小型電動リールを使うと手返しがよく腕も疲れにくい。ミチイトはPEラインの2号を巻いておこう。テンビンは腕長30cm前後、オモリは80号、仕掛けは2m前後の3号の幹イトと枝スに、3号のハリが2~3本ついているアマダイ仕掛けが主流だ。エサはオキアミで氷とともに船宿が用意してくれる。
【基礎編】アマダイの釣り方の手順

9月の初旬、高槻さんがレクチャーしたのはモデルとして活躍中の富士村彩花さん。北海道出身で幼い頃から釣りに触れていたという。いったん釣りから離れたものの4年前にイワシのサビキ釣りで再燃。今では週に3~4回海に出向くほどの熱の入りようだ。
「料理が大好きなので美味しい魚を釣りたいです。アジからマグロまで、幅広い釣りものを楽しんでいます!」と富士村さん。この日も前々日に釣ったショウサイフグの漬けを頬張っていた。
この日の釣り場は水深85~125mの砂泥地帯。指示ダナは2mだ。アマダイは海底に掘った巣穴の中で流れてくるエサを待っているため、底から50cmくらいのタナにエサを漂わせるのが理想だという。
誘い方の手順
基本的な誘い方は次のとおり。
- タックルを持ってリールのクラッチを切り、仕掛けを投入する。エサ付けのバランスが悪いとイト撚れや食い渋りの原因になるため、沈んでいくエサが回転していないかをチェックしよう
- スプールの回転が止まったらオモリが底に着いた合図。イトフケを巻き取って海底を5、6回小突き、砂煙を上げる
- ラインのマーカーを見て1mほど巻き上げて5秒ほど待つ
- ゆっくりと穂先を1m持ち上げて5秒ほど待つ
- ゆっくりと穂先を1m下げて5秒ほど待つ。この間にアタリがなければ2へ戻る
- エサ取りの小さなアタリがなくなる、もしくは1分から5分ほど経った時点で仕掛けを回収し、エサを付け替えて1に戻る
「この誘い方は砂煙を上げてエビが飛び出してきたようすをイメージした「動」の誘いです。また、エサ取りの小さなツンツンとしたアタリはスルーしてください」と高槻さん。
アマダイのアタリは穂先がクッと入り込むような場合が多い。エサ取りのアタリの中にあるアマダイのアタリを見極めるのが大切だという。
釣れるエサ取りの種類でタナを見直す
開始数投目で高槻さんの穂先に反応が出た。上がってきたのは10cmほどのキダイ。その後キダイが何尾か釣れ続くと高槻さんは一番下のハリスにガン玉を打った。
「ゲストが豊富なこの釣りでは、釣れた魚種によって自分の誘い方やタナを見直すことができます。いわばゲストは貴重な情報源であるというわけです」
キダイが連発するということは仕掛けがなびいているタナがアマダイのタナよりも上ずっている証拠だという高槻さん。指示ダナどおりに誘っていても仕掛けが浮いているということは底層の潮の流れが速いのではと考え、ガン玉を打ったのだという。ゲストをもとにしたタナ合わせの基準は次のとおり。
- キダイ(レンコダイ):仕掛けが上ずっている
- ヒメコダイ(アカボラ)・アラ:タナが合っている
- ムシガレイ・ホウボウ:仕掛けが底ベタになっている
高槻さんはゲストから得た情報をもとにこまめにタナを変え、10~25cmのアマダイを数尾釣りあげた。
【応用編】「静」の誘いで型ねらい
「隣の釣り人が置きザオで大きなアマダイを釣りあげているのをよく見ますよね」と富士村さん。
置きザオという誘い方は知っていたがやり方がよく分からないといったようすだ。
「誘い方は大きく分けて2つあります。1つ目は先ほど説明した「動」の誘い、2つ目はあまり仕掛けを動かさない「静」の誘いです。どちらが効くかは日やエリアによって違いますが、「動」の誘いは数が、「静」の誘いは型がよい印象です」
高槻さんがいう「静」の誘いの手順は次のとおりだ。
- 「動」の誘いの1と同様、タックルを持ってリールのクラッチを切り、仕掛けを投入する。
- オモリが底に着いたらイトフケを取り80~1m巻き上げる
- 10秒に1回のペースで鋭く、小さくシャクる
- 3の動作を3回繰り返したら底を取り直して2へ戻る
- 「動」の誘いの6と同様、1分から5分ほど経ったら仕掛けを回収。
海底は起伏があるため4の動作が非常に重要。仕掛けがタナから外れないように底取りをこまめに行なおう。誘いを切り替えてしばらくすると高槻さんが鋭いアワセを入れた。突っ込みをかわしながら慎重にやり取りし、富士村さんがタモ入れ。上がってきたのは48cmこの日一番の大ものだ。
「アマダイは吸って吐いてを繰り返すので違和感があったらすぐに合わせましょう。底付近、中層、海面付近で1回ずつ抵抗するので、良型だと感じたらすぐにドラグを緩めてサオを立て気味にし、突っ込みに対応します。巻き上げ速度は18前後の中速がやり取りしやすいです」
この日の釣果は高槻さんが48cm頭にツ抜けを達成。富士村さんも15~25cmクラスを5尾釣りあげた。
海水温がさらに下がるこれからの季節がアマダイの最盛期。「動」と「静」の誘いをマスターし、旬の美味アマダイをねらってみてはいかがだろうか。

