バスやトラウトでは定番の虫ルアーですが、ロックフィッシュではどうでしょうか?まだ愛用者は多くないとはいえ、使い方しだいで大きな可能性を秘めます。ここでは虫をイメージしたワームの使い方を、エキスパートがアドバイスしてくれました。
文=菊地正彦(札幌市)
根魚ねらいの新しい定番?
ロックフィッシュ・ゲームでのワームシェイプを大別すると、甲殻類系と小魚系を思い浮かべるアングラーがほとんどだろう。これがトラウトフィッシングになると、セミやバッタなど虫ルアーのカテゴリーが存在する。
トラウト好きにとっては、〝虫ルアー=トップウオータープラグ〞という認識を持っている方が多いかもしれないが、最近は〝沈む虫ルアー〞のラインナップも増えてきている。トラウトの虫ルアーといえばプラグだが、我々ロックフィッシュ・アングラーが多用するワームまで選択肢を広げると虫系の種類は多岐にわたる。そこで、〝虫ワーム〞にスポットを当てたい
代表種はフナムシ?
ロックフィッシュねらいにおいて、私が考える虫ワームのイメージは、フナムシや蛾、はたまたエビなどをイミテートできるルアーだ。
もっとも、フナムシは「ムシ」の文字が入っているとはいえ昆虫ではない。等脚目フナムシ科に属する甲殻類の1種で、エビやカニの仲間だ。海辺近くに生息しているが、水中では暮らせない。海に落ちると少しの間は泳げても、いずれ呼吸困難になり最悪の場合は溺れてしまう。雑食で海藻類や魚の死骸、人間が置いていった食べ残しまでエサにすると言われている。魚からすると意外に美味なのかもしれない!?
見た目はゴキブリのようで敬遠されがちとはいえ、触ってみるとボディーは比較的柔らかめ。ダイオウグソクムシ(等脚目スナホリムシ科に属し、全長50㎝ほどになる世界最大の等脚目)とは違い人気はないが……。
アピール度は抜群
虫ワームをパッと見ると、細かいパーツが目につくルアーだと感じるはず。ちょっとした水流や潮の動き、そしてロッドアクションに対して機敏に反応してくれるのが特徴だ。同じ位置でシェイクするだけでも大なり小なりの水を動かし、アピール度はかなり高い
虫ワームの存在は知っていても、まだ使っているアングラーは少ないのが現状。そのシェイプに魚も見慣れていないのか、アングラーの多い札幌近郊の港でも活躍してくれる。
見逃せないのはデイゲームとナイトゲーム、どちらでも効果的な場面があること。ロックフィッシュねらいならどこに行くときでも携帯して損はない。
どんな状況で効く?
主な使いどころとしては次のようなシチュエーションが挙げられる。たとえばストライクゾーンが狭い状況。具体的には根固めブロックや被覆ブロックの穴を攻略するときに持ち味が活きる。ブロックの裏側にアプローチし、狭い移動範囲でロックフィッシュに口を使わせたい場面で有効性を感じるはず。低水温により魚があまりルアーを追わなくなる厳寒期はとくに頼りになる。虫といえば夏だが、ロックフィッシュねらいでは冬も欠かせないルアーなのだ。
もちろん実際にフナムシをよく見かけるテトラ帯の隙間や、漁師さんの作業場付近でも試してみる価値がある。
適したリグはナニ?
私の使うリグをいくつか紹介したい。出番が多いのはテキサスリグとフリーリグ。前者については、根固めブロックや被覆ブロックの穴をねらう際、シンカーストッパーを装着する。後者はシンカーストッパーを付けずに使用することが多い。
より深い場所を探りたければ、フリーリグを選択するとよいだろう。根掛かりが気になるかもしれないが、他のアングラーが攻めきれないスポットに付く魚をねらうこともできる。
その他、ヘビーなダウンショットリグも面白い。水平に近い姿勢を維持しながらアクションさせよう。大きめの虫ワームは自重があるため、ノーシンカーでアプローチするのも手。その際は水平にフォールするようフック自重とのバランスを考えたい。
タックル選びの注意点
上記のように狭い範囲でアピールできるのが虫ワームの利点。可能な限り移動距離を抑えたシェイクで誘うには、スピニング、ベイトタックルともにファーストまたはレギュラーテーパー寄りのロッドが適している。バット近くまでダルダルのロッドはラインを震わせてシェイクするだけならよくても、ケーソンなどを乗り越えにくく、根掛かりが多発して釣りのリズムが崩れがち。あまりおすすめできない。
ラインはフロロカーボン、ナイロン、PEのどれでも可とはいえ、ラインスラックが出ている状態でもアタリを感じ取りやすいフロロカーボンがベターだ
使い方と操作のコツ
リフト&フォール、ボトムバンプ、ズル引き、シェイクが基本になる。特殊な使い方として海藻にリンクさせるアプローチがある。堤防際のコンブにラインを引っ掛けながらシェイクしたり、コンブや海藻に乗せてから隙間を探るのも効果的。その際、茎の部分のほうに隙間ができやすい。その隙間から沈ませるとよい。
ところで、水中に落ちてしまったフナムシやエビが、わざわざ魚に対して食べられるような行動を取るはずがない。自然界の理念に反するアクションは警戒されやすいことを頭の片隅に入れておきたい
【記憶に残る虫ワームの実釣】常時アクションが効いた⁉
まだ山に雪が残っていた頃、虫ワームで印象深い釣りを経験した。私はその日、時期的に定石といえるケーソンの穴撃ちを繰り返していた。ワームシェイプはホッグ系、クロー系、小魚系といろいろ試すもバイトを得られない状況……。魚がまだ入っていないと判断しそうだったが、ふと虫ワームでのアプローチが頭に浮かんだ。
その後は瞬く間にグッドサイズのアイナメを3尾キャッチ。水温が低く、魚の活性が上がらない状態でストライクゾーンが狭かったと推測。そんな中、虫ワームの触覚が微振動を起こしバイトに持ち込めたと感じた。
プラスして港内にもかかわらず潮が動いており、アングラー側が意図しないアクションが常時生まれ、ナチュラルな動きを演出してくれたのもよかったのだろう。常時アクションしているワームは見切られにくいうえ、魚に学習されにくい。そのため、頭のよい大ものやフィッシングプレッシャーの高いエリアでも大きなアドバンテージがある。
新しい使い方を探しに……
最後に、虫ワームはバスフィッ シングを想定して開発されたもの がほとんどだが、いろいろな可能性があるルアーだと感じる。魚からすると何に見えているのか? それが気になるところでも、そこに正解はいらないと思う。フナムシをイメージしても、エビをイメージして操作してもよいだろう。ルアーは本物に似れば似るだけ難しくなると言われている。固定概念を捨て、自分のイメージを大切にして楽しむのが一番だ。
ここではアイナメを想定して書いたが、虫ワームはソイ類やエゾメバルにも効果的。蛾に似たタイプはトップウオーターで真価を発揮する。新しい虫ワームの使い方を探しにフィールドに出かけてみては?
※このページは『根魚釣り北海道』を再編集したものです。
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