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編集部2022年8月28日

秋のエギング入門/これから始める人が釣るための基本を6000文字で解説 前編

アオリイカ 魚種別釣りガイド

秋はまさに入門のベストのタイミングだ。タックルもシンプルなので、一式を揃えてしまえば周年楽しめる。できればロッドは専用ロッドを使いたい。シャクリを入れやすいテーパーだったり、ラインをピンッと張ったり緩めたりする独特のロッド操作でも釣りが非常に快適になる。

まずは必要な道具とエギの操作法を解説

写真◎松本賢治、形田淳、藤原武史、編集部 文◎編集部

 待望の秋がやって来た。いつもの秋より盛り上がるためにはやっぱりアオリイカの力が必要だ。さあ、この秋は本気でエギングに挑む!

この記事は月刊『つり人』2021年10月号に掲載したものを再編集しています

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秋はエギング入門の絶好機

 アオリイカのエギングは2000年代に入ると爆発的なブームになり、その後も右肩上がりで盛り上がったが、この10年近くは以前のようにたくさん釣ることは難しくなっている。

 『イカ・タコは海の魔術師(マジシャン)である!』を上梓したダイバー・尾崎幸司さんは、アオリイカが減ってきている理由についてこう語る。

「端的に言えば、温暖化の悪影響でアマモ場をはじめとする藻場が消失したことで、アオリイカの大事な産卵場が完全に不足しているからです。人工の産卵床を入れても第二陣の群れがやって来て第一陣の卵を引っこ抜いて捨ててしまい、そこへ自分たちの卵を産み付けています」(尾崎さん談)

 アオリイカは別名「モイカ」とも呼ばれるほど海藻や海草と密接な関係にあり、藻場が残された釣り場では釣果も安定している。

 また、夏が暑く台風の上陸が少ない年の秋は概ねアオリイカの育ちはよいとされる。

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本誌6 月号でも春の伊豆の大型乗っ込みのようすをお伝えしたが、やはりよく釣れていたのは海藻が繁茂している漁港だった

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秋の沿岸部のオカッパリで最高に楽しいターゲットがアオリイカだ。この秋は大いに期待したい

エギングに必要なタックル・道具

 まさに入門のベストのタイミングだ。タックルもシンプルなので、一式を揃えてしまえば周年楽しめる。

●ロッド

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 できれば専用ロッドを使いたい。昔はシーバスロッドなどライト系ルアーロッドを流用したが、シャクリを入れやすいテーパーだったり、ラインをピンッと張ったり緩めたりする独特のロッド操作でもコシのないPEラインが絡みにくいガイドを組み合わせているため、釣りが非常に快適になる。

 主流は外通しガイドだが、ロッド内にガイドが埋め込まれた中通しタイプもよく使われるのは、ガイド絡みというトラブルをほぼ完全に排したためで、最初の1本に選ぶのも悪くない選択だ。

 長さは8~9ft(約2.4~2.7m)が多くの釣り場で扱いやすく、また、3.5号を中心に3.0~4.0号までのエギが扱いやすい。

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ラインスラックを作った状態から連続ジャークを入れてもガイドにライン絡みせず軽快に操作できるエギング専用ロッド。エギングロッドは意外と多彩な釣りに流用可能だが、エギングには専用ロッドを使いたい

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外ガイドが主流ながらエギングには中通しのメリットもたくさんある。特に風のある夜など独壇場になる快適さだ

 

●リール

 PE0.5~0.8号が150m以上巻ける中型スピニングリール(2500~3000番)。エギング専用リールも充実している。

 ハンドルはシングル、ダブルのどちらでも構わないが、ダブルハンドル派のほうが多い。その理由は、シングルハンドルは止めた位置によってはノブの重みでハンドルが勝手に回ってしまうため。また、ダブルのほうがノブを掴みやすいためでもある。

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リールはダブルハンドルタイプが人気

 

●ライン

 ヒイカなどのライトエギングを除いてPEライン一択と考えてよい。太さは0.5~0.8号の範囲が使われることが多く、リーダーとのラインシステムをしっかり組んで潮の抵抗を極力受けない繊細な釣りをするなら0.5~0.6号、強度を持たせるなら0.8号がマッチ。

 比重やカラーリングなどさまざまなタイプがあるが、最初は海面に浮きやすいノーマルの低比重タイプから始めるのが無難。ライン変化でアタリを察知しやすいマーキング入りがおすすめ。

●リーダー

 フロロカーボン1.5~2号を90~150cm結ぶ。エギングでは極端なショートリーダーでは明らかに乗りが悪くなる。

 リーダーの先には小型スナップを結ぶとエギ交換がスピーディーになるほか、直結よりもエギの動きがよくなるメリットもある。

 メインラインとリーダーの接続はいろいろあるが、ノット部が小さいためキャストの際のガイド抜けがよく、強度も申し分ない摩擦系ノットが主流。その中でも今回は簡単にできてFGノットほどではないもののエギングには充分な強度がありノット部も小さいSCノットをおすすめしたい【図A参照】。

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●ランディングツール

 玉網を流用しても構わないが、イカは玉網に近づくと激しく抵抗するため、大型相手だとひとりでタモ入れするのはかなり難しい。

 そのためアオリイカ釣りではギャフを使うのが一般的だ。シルエットの関係か、ギャフが近づいてもアオリイカはさほど暴れない。玉網のようにあらかじめ広げたところへ誘動するのではなく、射程圏内まで寄せてからギャフを振り下ろす。その際に切れやすい脚やエンペラではなく、胴体の中心から先端側(とんがっている側)を目掛けて打つ。イカはジェット噴射して後進するので脚や目の周りに打とうとすると逃げられてしまう。

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玉網でのランディングはアオリイカが激しく抵抗するため、慣れないとひとりでは手こずる可能性もある

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足もとまでアオリイカを寄せてから脚とは反対側の太い胴体の先端付近にしっかりとギャフを打つ。不思議と玉網のときのように大暴れはしない

 

エギングのやり方・エギの基本の操作法

 キャストしたエギが着水したらすぐにラインスラックを巻き取り、ロッドティップを海面近くまで下げて、海面に浮いたPEラインを直線にする。こうすることで軽いPEラインが風の影響を受けにくくなる。

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キャストしてエギが着水したら素早くロッドティップを海面に下げてラインスラックを巻き取り、海面にPEラインを直線状にする

 ラインを直線にしたら、水深があるところではリールのベールをオープンにしてフリーフォール。水深がないところはラインを張ってカーブフォールあるいはテンションフォールさせる。

 着底あるいは任意のタナまでエギを沈ませたら、いきなり誘いに入るのではなく、まずはラインの軌道を修正する。エギは基本的にラインの方向へ進むためだ。高く跳ね上げようといくらロッドを真上にシャクっても、リーダーがエギよりも下側に垂れていればエギは跳ね上がらない。そのためリーダーをエギよりも上にある状態になるようライン処理してから誘いを入れる。

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エギを左右にダートさせるためにはエギの前のリーダーで充分にスラックを作っておくことが大事。このようにエギが右を向いているときはリーダーが左側にあるので次のシャクリで左にダートする

 

 エギはラインの方向へ進むという性質をよく理解し、エギを左右へダートさせたい際にはラインをピンと張った状態ではなく、ラインスラックがある状態でシャクリを入れる。スラックがあればシャクるとエギは瞬時に右または左へ飛ぶ。ラインが真っすぐならシャクってもエギは真っすぐ近寄ってきてしまい左右にダートしない。

 パンパンパンとリズミカルに3回シャクリを入れると、エギは右、左、右と3回ダートするが、ラインをピンと張った状態でパンパンパンとシャクっても、エギは前、前、前と近づいてくるだけだ。エギが右にダートすることで左方向にイトフケが生まれ、次のシャクリで左へダートし、右方向へイトフケが生まれるから右へダートするという理屈だ。

 このダートアクションは特に秋の活性の高いイカに有効で、エギが左右に動くためアングラー側に近寄ってこないことからたくさんの誘いが入れられる。誘いとはダートアクションとその後のフォールをセットにして考える【図B参照】。

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左右にクイックにダートするエギの背後に食い気満々のアオリイカが追尾してきた!

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ハンドルには軽く手を添えて利き腕でロッドを操作する。左右へダートさせるなら、斜め45 度くらいに構えてスナップを利かせてパンパンパンとシャクるといい

 

 アオリイカは10本ある腕のうち、2本の長い触腕を伸ばしてエギを抱え込むと同時に触腕を縮めて口元に運んで捕食する。このときにエギおよびラインが引っ張られるため、ティップに「グイー」とか「コンッ」というアタリが伝わりやすい。

 アタリはライン変化でも察知できる。アオリイカの多くは後方斜め上から近づきエギを抱くことが多く、このときにラインが「ススっ」と横走りしたり、着底する水深でもないのにイトフケが出たり、逆に引き込まれるといったライン変化が出やすい。

 アタリだと思ったら、肘は固定したままま鋭くロッドを立ててアワセを入れる。

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エギとイカのシルエットが重なった瞬間、あるいはラインやティップでアタリを察知したらロッドを立ててアワセを入れる

 

秋、アオリイカが釣れるポイントは?

 秋のアオリイカは「コロッケサイズ」から始まる。文字どおり胴体部分がコロッケくらいの大きさになると魚食性が高まりエギにも好反応を示すためだ。

 そしてシーズンが進むうちに足の裏サイズというように成長していく。

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秋のレギュラーサイズ。300g級の数釣りが楽しめる

 重さでいえば200g未満から始まり、300g前後の数釣りを楽しみ、シーズン終盤にはマックスで500g級の良型もねらえるようになる。

 良型ほどいい場所にいるのはどんな釣りでも同じである。波静かな港内の最奥には500円玉サイズの赤ちゃんイカがプカプカと浮いているが、こんな小型をねらっても面白みはない。

 では、地磯に隣接するどこにでもある漁港をモデルに釣り場を考えてみよう【図C参照】。

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春は大型の親イカたちが藻場を目指し、秋もまた小型のゆりかごになるのが藻場だ

 

 秋という季節に、まず探りたいのが地磯に隣接する右側堤防の付け根。しかも磯がワンドになっているのでベイトフィッシュやアオリイカをストックしやすい。手前から探り、次にチョイ沖の藻場、さらに沖の沈み根や沖の藻場を探る。ブイやロープもアオリイカは好んで居着くストラクチャー。ただしくれぐれも引っかけることのないように。日中で、なおかつスパイクシューズやライフジャケットなどの装備が万端であれば地磯側からアプローチするのもあり。

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アオリイカの多いゴロタ場にキビナゴなどのベイトフィッシュが回遊すれば「これはもらったもの!」となるはずが沈黙してしまうときは青物の回遊を疑おう。案の定、カンパチの若魚がベイトフィッシュを追い掛け回している

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こうしたロープ1 本でもアオリイカの着き場になる。ただしこれはあまりにも型が小さい

 同様に堤防外側の角付近、先端も好スポット。潮通しがよい分、早くからいいサイズがねらえる。こちらも近投から徐々に遠投で探る。藻場やカケアガリ、ベイトフィッシュの回遊もあればなお期待できる。

 港内は潮通しがよくない分、青物などの外敵も少ないため、小型のゆりかごであるケースが大半。特にスロープ付近や港内の藻場付近に遅生まれの小型が群れていることが多く、ある程度成長してから港外へ出ていく。ただし、水深のある大規模な漁港ではミオ筋を通じて港外と港内を出入りする群れもいて、沈み根や藻場周りで良型が連発することもある。

 

後編「釣れなときの考え方「アオリイカが見えない=いない」ではない」へ続く……

 

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