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編集部2017年1月26日

ヘラブナ釣り/身近な管理釣り場でチャレンジ :前編

河川・湖の釣り ヘラブナ 魚種別釣りガイド

セミメーター、カッツケ、ウドンセット……。姉妹誌にして、ヘラブナ釣りの専門誌である隔月刊DVD付きマガジン「ボーバー」に躍る楽しそうなタイトル。 が、まったく意味が分からない。マブナと同じフナなのに、ヘラブナ釣りはどうしてこうも違うのか?

友部湯崎湖なら手ぶらでOK

つり人編集部=写真と文

冬場に放される新ベラは白銀で姿も美しい

セミメーター、カッツケ、ウドンセット……。姉妹誌にして、ヘラブナ釣りの専門誌である隔月刊DVD付きマガジン「ボーバー」に躍る楽しそうなタイトル。
が、まったく意味が分からない。マブナと同じフナなのに、ヘラブナ釣りはどうしてこうも違うのか? 
ビギナーがまず一尾釣る。とにかく基本中の基本でよいので「ヘラブナ釣り」を体験したい。
そんな一点突破の夢をかなえてくれる釣り場がある。
編集部員がさっそくチャレンジ!




「=イコールアタリ」でない奥深さ


 ヘラブナをやってみたい理由は至極単純。東京近郊でできる魚釣りはと見渡せば、圧倒的に多いのが、実はヘラブナだからだ。管理釣り場のほかに、公園の池や河川敷の三日月湖にもファンの姿が見られる。ちなみにヘラブナ釣りを嗜む人の間では、同じ管理釣り場でも、敷地が広く深さもあって整ったタイプは「管理池」、そうでない小規模なものは「釣り堀」と呼ぶらしい。

 ヘラブナ釣りでは、これまでに2度、痛い目にあっている。道具はすべて知り合いから借りてチャレンジ。ウキがツンと動き始めて「そのうち釣れそうだ」と思うところまではいくのだが..、そこから沈黙。ようやく手応え! と思うと、口の外にスレ掛かり。やがてアタリもなくなる(あんなに魚がいたはずがなぜ?)。

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (32) ヘラブナは植物性プランクトンを吸い込んで食べる食性の持ち主。それがこの釣りを難しくかつ面白くしている

 今回、まっさらな状態で再入門し、改めて基本を身につけようと決心。そして、自分が理解できていないこともいくつか浮き彫りにできた。前述の件でいえば、ヘラブナ釣りでは「ウキが動く」ことがそのまま「魚がエサを食った」サインにならない。まずこの大前提を理解する必要がある。でもだからこそ、この釣りには尽きない楽しみが待っている。

『困った時はココ!東京近郊キラキラ釣り場案内60』
「ドーム、ボート、氷上 鈴なりを作る最新スタンダード」をぎっしり詰め込んだ 月刊『つり人』で、首都圏近郊小もの釣り場の紹介記事を長年執筆してきた著者が、 その圧倒的な釣り場情報量をはじめて一冊にまとめた! 東京都心部、水郷周辺、千葉、埼玉、神奈川県まで60の釣り場を厳選してピックアップ。 釣り場のようすがひと目で分かる写真付きで、釣り方を含めていねいに解説しています。

友部湯崎湖なら手ぶらでOK



 ヘラブナ釣りのもう1つのハードルが道具とエサ。トラウトの管理釣り場ならレンタルタックル一式が常備されているのが常識だが、ヘラブナ釣り場はこの点で整備が遅れている。しかし、その中で先進的な取り組みをしているのが、茨城県笠間市の「友部湯崎湖」。サオ、仕掛け、入門者にはひとまずこれでOKという単品エサのほかに、この釣りでは必須になるサオ掛けも含めて、真新しいものが1セット1080円(税込)で借りられる。消耗品であるハリス付きのハリと板オモリだけは別途購入する必要があるが(受付で販売している)、施設そのものもきれいで女性でも安心。文字通りの「手ぶら」釣行が可能なのだ。さらに入門者には、釣り始めに基本も手ほどきしてくれる。

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (2)_1 ビギナーにも優しい「友部湯崎湖」

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (4)_1 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (5)_1 明るい受付。料金は1日2000円(11時以降1500円)で、レンタルタックルは一式1080円。
『友部湯崎湖』
 ●住所:茨城県笠間市湯崎1099-5 ℡0296・78・0127
 ●利用時間(10~3月):7:00~16:00(日祝は15:30)
 ●アクセス:常磐自動車道・友部SAスマートICから5分


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (6) 釣り場を運営するフィッシングリゾート株式会社代表取締役で、ビギナーへの最初のレクチャーも行なってくれる茅根佳和(ちのねよしかず)さん

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (7) 8尺ザオのほか、ヘラブナ釣りで必需品となるサオ掛け、取り込み用のタモもセット

p116-119 tackle 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (8) 座布団代わりの発泡ブロック、手拭きタオルとハサミ、食わせエサ、バラケ、8尺ザオ用の完成仕掛け、エサを作るためのボウルと計量カップ。受付で買い足す必要があるのは板オモリとハリス付きハリのみだ



チョウチンのセット釣り


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (9) 釣り座のセットを教わり基本のレクチャー開始

 今回教えていただき、なおかつ現在のヘラブナ釣りシーンにおいて、「入門者がやるならまずこれ」といえる釣り方となっているのが「チョウチン」での「セット釣り」。2本バリの上バリにバラケ(練りエサによる寄せエサ)、下バリに食わせエサ(ウドンや市販の固形エサ)を付けて1セットにし、ウキは穂先の近くにして釣る方法だ。エサの付け直しがほぼバラケだけで済み、サオのすぐ先を釣ることになるので、ヘラブナ釣りの基本である、同じ場所を繰り返し釣っていく(仕掛けを常に同じ場所に振り込む)作業がやりやすい。湯崎湖でも、まずはこの釣り方を前提に教えてもらえる。チョウチンで釣る場合、タナはサオの長さで自動的に決まる。今回は扱いやすい短めの8尺(2・4m)ザオなので、穂先からウキまでの長さをのぞいた、表層から2m付近を釣ることになる。なお、管理釣り場のヘラザオは8尺、9尺、10尺あたりが基本だ。

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (10) 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (11) 完成仕掛けに結ぶ2本バリは専用器具で作る(受付で借りられる)。それぞれのハリを欲しい長さのメモリに引っかけたら、ハリス2本をまとめて持ち、専用器具の突起部分またはカラス口を使って片結び。余りを2~3 ㎜残して切ったものを片結びでサルカンにセットする

「ウキの調整」と「エサの調整」ができれば入門スタート


 ヘラブナ釣りではすべてのシグナルをウキから得る。ウキの動きから「水中にある仕掛けの状態」「周りにヘラブナがいるか、いないか」「バラケの状態」を把握する。そのために見るのがウキのトップのメモリだ。

 そしてウキの動きから「次のバラケはどんな加減にするか?」「大きさはどれくらいにするか?」を考える。ヘラブナ釣りでは特に前者を「エサのタッチ」と表現する。水中で起きている状況に合わせてエサが溶け出す早さや量、崩れ方を調整し、本アタリが出る状態を自ら作りだして初めて魚が掛かるのだ。ここを理解せず、適当に練ったエサを打ち返しているだけだと、驚くほど魚が釣れない。

タックルをセットしたら最初にエサ落ちメモリを調整 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (12) ●ウキはまずエサを一切付けない状態でトップの1/3くらいが沈む状態にオモリを調整する。ウキのトップが出る状態はオモリが軽すぎる

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (13) ●少し多めに付けた板オモリを少しずつカットし、下から1/3ほどが水面に入るようにし、その時のメモリを覚える(オモリ調整=エサ落ちメモリの設定完了)

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (14) 板オモリは最初にハサミの刃を当ててまっすぐの折り目を付け、ミチイトに沿わせて密に巻き付ける。カットは端をまっすぐ切り、最後の微調整の時だけ角を落とす

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (15) ウキは穂先から40~60㎝くらいにセット。チョンチョンと穂先で水面を叩いて場所を確認し、毎回同じ場所に仕掛けを振り込むようにする


バラケを作る 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (16) 奥深いバラケエサの配合だが、友部湯崎湖のレンタルセットに付いて来るのは100CCの水を入れるだけでOKの単品タイプ(マルキユー「釣っテク寄せエサ」)


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (17) どんなエサでも大切なのは指定水量をきっちり守ること。水を張ったバケツに100CCカップを沈め、すりきり一杯の水を取る


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (18) 乾燥したボウルに入れたバラケに水を加えたら、手を熊手状にして全体をまんべんなくかき混ぜる。全体がしっとりすればOK


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (19) バラケは乾きやすいので、あとで使用する半分ほどは1つにまとめておく。使用中に乾いてきたら、手を濡らすなどして都度調整する


エサの付け方 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (20) 食わせエサは「マルキユー釣っテクくわせエサ」の中心にハリを通すだけ


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (21) 大切なのがバラケ。まずは指定の水量で作り終えた直後のエサの軟らかさを覚えておく


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (22) バラケの大きさは親指の先ほどが目安。まずはハリをまん中に入れることが大切だ


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (23) ハリが途中で傾かないようにしてダンゴの中央にハリ先からまっすぐ埋め込む


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (24) そのまま指の間にハリスを入れ、ハリのチモトまでしっかりバラケの中に埋め込む


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (25) ハリスを張った状態で、チモト側を軽く押さえてやるとエサ持ちがよくなる




116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (26) 涙型にバラケが付く。ここまでを基本形とすればOK


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (27) さらにエサ持ちをよくするにはバラケの下部も少し押さえる


116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (28) ここで紹介したのは一例。バラケはまん丸がよいという人も、両手で形を整える人もいる。自分のやりやすい方法を試してみよう

p116-119-01 omori 116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (29) ウキに現われる変化を読み、期待どおりに来た一尾の手応えは格別



まずはしっかりなじませてみよう


 とはいえ、入門者がいきなり「最適なタッチ」と言われても難しいだろう。実際、ヘラブナ釣りでは「硬い⇔軟らかい」「ボソ(ボソボソ)⇔ネバ(粘りがある)」の組み合わせでタッチを幾通りにも表現する。最初は「しっかりまとめたエサはタナまで持つ」「軟らかくまとめたエサは魚を寄せやすいが、ねらった場所以外でバラケてしまうと〝タナが崩壊〟して釣りが成立しなくなる」という2点を押さえたい。チョウチンのセット釣りでは、当たり前だがハリより上の層にどれだけ魚がいても釣れない。上層にエサをバラケさせてしまい、ヘラブナが上ずってしまったら、むしろ一度休んでから魚を寄せ直すほうが得策だ。一方で、自分のサオの下には少しでも早くヘラブナを寄せないとアタリは出ない。魚を寄せ、次にウキに反応を出し、最後に食わせる。自分が今、どの段階にいて、次に何をすべきか。そんな頭脳ゲーム、あるいはパズルのような楽しみを味わえるのがヘラブナ釣りといえる。

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寒ベラは3尾釣れれば一人前


 この日は快晴。風もなく絶好のヘラブナ釣り日和。開始からしばらく、同じ位置へ仕掛けを振り込む操作にも慣れてくる。着水点の真上にチョンとウキを置いたら、握りは持ったままサオ掛けにサオを置き、水中に穂先を入れた状態でウキを注視する。

 オモリがなじみ始めたところで、まずウキが立ちあがり、そのままトップが徐々に沈み始める。そのスピードがトンと一瞬早まればバラケまでが完全になじんだ合図。そこからバラケが解けていくに従い、今度はトップが徐々に上がって来る。バラケが完全に落ちたら打ち直し。まずはこれを繰り返す。魚が寄るまでは待ち過ぎず、とにかくまめに打ち返す。魚が寄っている時は、食わせエサにヘラブナが食って来る可能性があるので数秒待ってから打ち返す。

p116-119-02 uki
 チョウチンのセット釣りでの理想的なアタリは、トップが下がって一度仕掛けがなじんだ後、徐々に上がって来る段階でウキのトップが「ツン」と勢いよく入るパターン。この時は、バラケの煙幕の中に浮き上がってきた食わせエサがきれいに入り、それをヘラブナがスッと吸い込んだ状態。するときれいに口掛かりする。

 実際は魚が寄って来た段階で、まずウキのトップが沈む動きが遅くなったり停滞したりする。これはヘラブナの動きで水流が生じているためだ。さらに魚が寄って来ると、イトやハリスに魚が触れることで、ウキにモヤモヤとした動きが出たりする。ウキのなじみの停滞、モヤモヤと、ステップを踏みながら、バラケのタッチは水中のようすをイメージし、少しずつ硬め、あるいは小さめにしていき、魚の寄る範囲をよりハリの近くに絞り込んでいく。そして「いよいよ次か?」と期待が膨らんだ時に、本アタリが出れば最高に面白い。

 とはいえ、実際はツンで合わせても何度も空振りしたり(カラツンという)、スレで魚を散らしてしまい、振り出しに戻って寄せるところからやり直しとなったり、なかなか簡単には行かないもの。そこがまた熱くなる。

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (1)_1 「や、やりました?」と念願かなってヘラブナ再入門を果たしたのは『つり人』編集長のY


 この日の釣りは午後3時まで。しっかりアタリを取って口掛かりで釣れたのが3尾。アッパーカット(下アゴへのスレ掛かり。本アタリには届いていないが惜しいところまでは行った)が2尾。ウキの挙動に見入り、回らない頭を一生懸命回し、水中のようすをイメージしながらエサ付けを繰り返していたら、あっという間に時間が経っていた。

 まさにオモムズカシイ、大人の釣りだ。ヘラブナ釣り、たしかにハマります。

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (31) サオは水でゆすいでタオルで拭いて返却。とはいえサオ掛けなどは落水すると回収不能なので水ぶきでOK

116-119-hakoduri-herabuna_cs6 (3)_1 ヘラブナ釣りの最先端を伝える『ボーバー』は毎偶数月発売!




2017/1/26

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