悠々と泳ぐあの大型トラウトを釣ってみたいと思う人は少なくないはず。西日本最大級の人気エリア、フィッシャーリゾートしょうばらでエリアトーナメンターでもある長田太一さんに大物のねらい方を教わった。
悠々と泳ぐあの大型トラウトを釣ってみたいと思う人は少なくないはず。西日本最大級の人気エリア、フィッシャーリゾートしょうばらでエリアトーナメンターでもある長田太一さんに大物のねらい方を教わった。
写真と文◎松本賢治
大型レインボーの回遊ルートは日替わり
広島県の山間部に位置する庄原市。ここにあるのが、周囲1kmのポンドでエリアトラウトが楽しめる西日本最大級の大規模エリア、フィッシャーリゾートしょうばらだ。自然に囲まれ、広々とした環境で釣りができるのが特徴で、ポンド中央には桟橋も架かっているため、釣り座に困ることはない
また、週末にはセミナーや大会などのイベントも多く開催されており、初心者からベテランまで楽しめる。放流されている魚種は多彩で、サイズも50cmを超す大型レインボートラウトやヤシオマス、イトウも放流されている。
「ここはポイントが広いので足で探すのか、回遊を待つのか。どちらのスタイルでも楽しめます。レインボーは回遊するんですけど、イトウみたいに決まったルートを回遊するわけではなくて、その日その日でルートが違う。その日の状況で居心地のいい場所が違ってくるので、そこからの回遊になります。釣り方のパターンに加えてポイントの傾向も同時に探します。冬場は陽が差して水温が上がってきてからが本番になることが多いですが、僕は状況の変化も知りたいので朝イチから入るんです」
魚がどこにいるかは他のアングラーのヒットの他、ライズやジャンプでも確認できるが、ポイントセレクトが正解かを確かめるにはチェイスが一番わかりやすい。
「チェイスがあるということはルアーへの興味があるということですよね。でも、食ってこないってことは何かが違うわけです。ネイティブなら同じルアーのカラー交換とかして再度、その個体をねらっても効果があるかもしれませんが、エリアトラウトの場合、僕はその時点で違う個体をねらいます。その理由は食ってこないのは完全に見切っている証拠だからです」
サイズねらいでも基本は変わらない
「フラフラ泳いでいるレインボーは、その時は食ってこないかもしれませんが、どのタイミングでスイッチが入るかわかりません。いつか食ってくる可能性はありますね。魚の姿が見えると〝今日はこの近辺に溜まっているな〟っていうことが多い印象がありますね」
スイッチはいつ入るか、そして、入ったとしてもどういう釣り方で反応してくれるかはわからない。そういった理由からも長田さんは常にルアーローテションを強く意識している。
「管理釣り場のトラウトはネイティブとは違って、養殖されて育った個体なので、エサを撒かれた時のために水面に落ちてくるものを常に意識している。かといって、フォールを意識した縦の釣りばかりするわけではありません。水面の釣りもすればボトムの釣りもしますし、クランクも必要です。その時の状況にいかに早く合わせていけるかが数でもサイズでも釣るためのコツだと思っています。寒い冬場でも水温が上昇してくる時間帯や状況によってはトップも選択肢に入ります」
エリアトラウトの場合、決まったエサ撒きの時間があるが、そのタイミングが必ず時合というわけではない。
「エリアトラウトって、その日の天候とか光の差し方による明暗のでき方とかで食うタイミングが結構ハッキリしています。だから、その日のパターンをいかに早く見つけられるかがコツだと思っています」
多い日は約100 人も訪れるというフィッシャーリゾートしょうばら。農業用水池であるため、夏は減水し水温も上がるため休業期間となる。一般的に言われているトラウトの適水温は13 〜15℃。本格的なシーズンインは例年だと10 月上旬から5月いっぱいだという
何かしら一つの要素にアレンジを加える
長田さんは各地で行なわれる大会に出場するトーナメンターでもある。エリアの大会では数を競うため数釣りをメインにゲームを組み立てるのが得意なのだが、大型を釣るのもその延長線上にあるという。
「大型に絞って太めのタックルでされている方もいますが、僕は大型をねらう時でも数釣り同様にタックルはいろいろ持っていきますし、ねらい方はそう変わらないです。というのも、魚の探し方も食わせ方も一緒。ただ、レンジがアベレージサイズよりも一段下とか、ルアーサイズだとか、アレンジすべきところがあるだけです」
長田さんはトーナメント志向であるため、食わせ優先。ルアーにマッチさせたタックルを5セット用意し先述したように、いち早く魚のいるスポット、レンジを探し当てようとする。そのためには、まず選んだポイントでの当たりルアーと当たりレンジ、そしてリトリーブスピードやカラーなどのパターンを探し出すためにタックルローテーションを頻繁に行なう。
右)DW『ペラくるりん』は見たとおりのダブルスイッシャー。シンキングタイプで飛距離もかなり出る。シンキングではあるが、トップからボトムまで幅広くサーチでき、抵抗があるためデッドスローでも引けるためスレた個体にも効果的だ。25mm、2g。カラーは5色。「僕はトップや少しレンジを入れてたい時に使います」左)フェザー系のDW『もこタンSS』は0. 9g。フックサイズは#8。フォールはもちろん、ボトムバンプやシェイキングで。タングステンヘッドでシルエットも小さく飛距離も出てフォールも速い。カラーは全5色。なお、『フィッシングリゾートしょうばら』では使用禁止。フェザー系は各エリアのレギュレーションを要チェック
大物ねらいだからといって特殊なことはあまりせず、ポッパーから1g アンダーのスプーンまで幅広く使う。これにニョロ系と呼ばれる細長いクランクも使用することもあるが、長田さんは基本的にこれらで勝負するケースがほとんど
多い時は3ケタ釣れる日もあるほどだが、逆に渋い日もある。そんな時はフックポイントの鋭さが釣果を大きく左右することも珍しくない。そのためフック交換はマメに行っている
長田さんのタックルバッカン。特にトーナメンターはここへこだわる。整然とシステマチックにルアーや小物たちを並べることも楽しみのひとつ
ねらいめは小型が釣れるレンジのひとつ下
大型の魚は小型よりも酸素を多く必要としているので水の動くインレットやアウトレット、噴水周りは居着きやすい場所になる。その場所で長田さんは表層からボトムへとレンジを探っていくのが常。活性の高い個体から拾っていくためだが、上層、中層、ボトムと大きく3つに分ける程度でそれほど細かくはレンジを刻まない。しかし、大抵の場所はこれで探れるという。
「小型と大型はねらい方に大きな違いはないんですが、レンジは小型よりも大型のほうが少し下になります。あとは派手めのカラーに替えるのも有効かな。特に大型に効くとされているのがピンクやイエロー。僕も実績がありますね」
では、大型が反応しやすいアクションなどはあるのだろうか?
「ボトムバンプやリフト&フォール、ズル引き、デジ巻きなどはアクションの幅を最初は小さくして反応がなければ徐々に大きくしていきます。あと、ミノーでトゥイッチする時もダート幅をだんだん大きくしていきますね」
大型をねらう際はスレた個体をねらう感覚と同じだと長田さんはいう。
「大型とスレた個体の共通点は、ルアーをよく見ているというところです。そういう魚には反射的に口を使わせるリアクションの釣りがすごく有効だと感じています。また、レインボー以外の魚の習性も知っておくともっと楽しくなってきます。たとえば、イトウは回遊ルートが決まっているので1日で何度も同じ場所で見られます。タイミング次第でうまく怒らせられたら食ってきます。なんといってもデカいですからね。見つけたらぜひチャレンジしてみてください」
フィッシャーリゾートしょうばらには、ニジマスからチョウザメまで、13 種類の魚たちが放流されている。毎週末、大体600 尾ほどのニジマスを放流していることから常にフレッシュな個体もかなりの数いる。ニジマスのレギュラーサイズは30 〜35cm。釣りあげられたマックスサイズは昨年だと79cm。これまでの記録は82cmだという
ここでは、ラインやルアーなどひと通り購入できる。レンタルタックルもあるので手ぶらでもOK。スタッフが気軽に近況なども教えてくれる。スタート前にメインハウスでレギュレーションも要チェック
※このページは『つり人2024年2月号』を再編集したものです。