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編集部2024年2月22日

管釣りで「ボトムを耕す」 面白さ

ニジマス 魚種別釣りガイド

エリアトラウトの釣りには「ボトム」というカテゴリーがある。名のとおり底ねらいの釣り方で水温低下時など渋い展開でもよく釣れる。マニアックス代表の駒崎さんは「時には一投一尾の釣果が出るストロングパターンになります」と言う。

エリアトラウトの釣りには「ボトム」というカテゴリーがある。名のとおり底ねらいの釣り方で水温低下時など渋い展開でもよく釣れる。マニアックス代表の駒崎さんは「時には一投一尾の釣果が出るストロングパターンになります」と言う。

写真と文◎編集部

今回ボトムの釣りを解説してくれたのはルアー専門店「アングラーズショップマニアックス」を経営する駒崎佑典さん。エリアトラウトの世界に深く精通する

今回ボトムの釣りを解説してくれたのはルアー専門店「アングラーズショップマニアックス」を経営する駒崎佑典さん。エリアトラウトの世界に深く精通する

 

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ボトムの釣りのタックル選び

「ボトムルアーのアクションはダート性能の高い横っ飛び系かバイブレーションのような上下の動きをするルアーが多いです。スプーンやクランクベイトのように巻くだけではなくマニュアル感のある操作が楽しい。〝釣れた〟ではなく〝釣った〟という実感が深く味わえる釣り方で、魚が底に沈みがちな厳寒期も強いです」

そう語るのはマニアックス代表の駒崎さん。では、どんなタックルが適しているのか。

 

タックル

ルアーを弾く操作が多いためロッドは6フィート前後の先調子で張りの強いモデルがおすすめ。ラインはレスポンスを高めるためにもPEラインの0.2~0.3号が主流である。リーダーはフロロカーボン3ポンドを1m。極細PEとリーダーの結束はFGノットなどの摩擦系ではなく、オルブライトノットや電車結びといった簡易的な結びでよい。

「主流はPEですがデメリットもあります。ボトムをねらうため入水したラインが魚にプレッシャーを与えやすく、特に蛍光グリーンなど高視認なラインカラーは魚がスレるのも早いです。またPEは軽いのでフケやすく浮力抵抗もあり、強風時は操作しにくい。ショートバイトが 取りにくいことも多々あります。見直されているのはエステルで無色を選べばスレにくく、伸びも少ないからレスポンスも悪くない。ただしボトム用ルアーは重いのでキャスト時や操作時に切れやすいです。0.4号とやや太めがよく、フロロリーダー0.6号を20cm結束します」

 

ルアー選択

「ボトムルアーの2大アクションがダートとリフト&フォールです。長い距離を深くチェイスしてくる魚がいれば、横っ飛び(ダート)するボトムプラグが効果的です。魚の追いが悪く、定点でしか反応しなければルアーの移動を速くせず、鉄板バイブやタテに動くプラグをリフト&フォールさせてねらいます。ボトムの釣りといえば底に張り付いたような魚を釣るイメージを抱くでしょうが、中層表層にいる魚を底に集めて連発ヒットに導くこともできます。時にはリフト幅を大きくして上にいる魚の目線を下げるのも効果的です。このようにルアー操作でボトムに魚を集めることを〝ボトムを耕す〟とも言います」

ボトムを釣るということは、エリアの底質も関係してくる。ヘドロの多い釣り場ではルアーが埋もれ、魚に見つけられない恐れもある。また石や障害物が沈むゾーンは当然不向き。藻が繁茂するエリアも成立しにくい。藻は高水温期に多いのでボトムの好機は必然的に冬となる。

「カラーはメタリックや蛍光系の派手な色がアピール度は高く、ボトムに近い茶色やオリーブが食わせやすい色です。その中間といえる色がグロー系です。これらのカラーローテで魚の目先を変えてスレさせないようにします」

では実際にどんな釣りかを見せていただいた。

 

横っ飛び系プラグ

横っ飛び系プラグ
左から時計回りにシャインライド(ヴァルケイン)、ダートラン(ティモン)、トレモポゴ(ムカイ)、ベルオーガ(ディスプラウト)

 

バイブレーション

バイブレーション
左下から時計回りにライオーム(ヴァルケイン)、DS ベビーバイブ(ディスプラウト)、タップダンサー(ティモン)クロボール(ティモン)、ヴァルキャノン(ヴァルケイン)

 

カラーローテ

カラーローテ
左の蛍光系からスタートして右のナチュラル系というぐあいにローテ。基本的にボトムの色に近い茶色系が強いとされる

 

 

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ブレイクで食わせる

ブレイクで食わせる

11月下旬、駒崎さんとマニアックススタッフの齋藤純さんは静岡県裾野市にある「すそのフィッシングパーク」を訪れた。例年なら各地のエリアでボトムの釣りが盛り上がる季節。だが、今年は気温が冷え込まず魚が底に沈んでいないため比較的水温の低い釣り場を選んだ。しかし見た感じ、浮いた魚ばかりで底層に魚影は薄い。またこの日は南西20mという爆風が吹き荒れルアーの操作をしにくい状況だった。

 駒崎さんは手始めにシャインライド(ヴァルケイン)を選択。小刻みなボトムノックや鋭い横っ飛びと多彩なアクションで魚を誘えるボトム用プラグだ。自重3.6gで飛距離も出る。まずはデジ巻きでアクションさせる。沖では反応がないもののブレイクゾーンでは興味を示す魚が増えた。今度はボトムバンピングでダートさせると手前の魚は反応がよい。

「ブレイクの2m沖に食い気のある魚が多いです。その魚をブレイクまで寄せるような感覚で操作をしています。基本的にベイトを追い詰められる場所がルアーフィッシングの好ポイントです。それとルアー軌道が変わる回収間際にドラマは起きやすいんですよ」

ではブレイクに直接ルアーを落とすとどうなるのか? 駒崎さんが実際にやってみるとルアーに見向きもしない魚ばかり。やはり捕食スイッチを入れ、追わせるためのストロークが必要である。

魚は追ってくるが食い切らない。ここで駒崎さんはワイドゲイプのフック#6を細軸のナローゲイプ#6に交換。すると一発でニジマスが乗った。

「ボトムプラグはワイドゲイプのフックがセットされた製品が多いです。ワイドゲイプはハリ先が開いているので口にコンタクトはしやすい。ですが魚が反転しないとしっかり刺さりにくいのです。ルアーへの反応はよいのに乗せきれない。そんな時は種類やカラーを変える前にフックを替えてみるのもひとつの手です」

何度かシャインライドでヒットを得た後は、タップダンサー(ティモン)に替える。自立式と呼ばれるバイブレーションで着底時に自動的に姿勢が立つ。ヘドロに埋もれにくいのもメリットである。

「基本操作はボトムから20cmほど上下させるリフト&フォールです。ロッドを立て、バットからベリーにルアーの重みを乗せるイメージで操作してください。細かくシェイクしたり、ゆったり動かしたり、一投毎にアクションに変化をつけてみます」

駒崎さんはルアーチェンジ後の1投目は寄せることを意識して「食えばラッキー」という気持ちでボトムを耕す。この時スイッチの入った魚がいれば、2投目はその魚に口を使わせるイメージでねらい撃ちする。

「バイトはフォール中に出ることが多いです。ただ今日みたいに風が強いとイトがフケてバイトを感じにくい。特にPEラインは風の影響を受けますね」

そう言ってエステルラインを巻いたタックルに持ち替える。また、このロッドはソリッドティップである。

「口にルアーが入ってもすぐに吐き出されてしまう時はソリッドティップに持ち換えるのも効果的。しなやかなティップは〝ハリ残り〟がいいですから」

つまりルアーが弾かれにくいのである。フック交換のようにタックルバランスを調整するのも1尾を引き出す一手であり、実際1尾のキャッチにつながった。続いて鉄板バイブのヴァルキャノン(ヴァルケイン)をセット。

「鉄板バイブも樹脂バイブも操作はリフト&フォールが基本。鉄板のよいところはフォールが速く、テンポの早い釣りができます。一方で抵抗感が強いので食わせの間もしっかり取れる。小粒なので食わせやすいのも魅力です。ブルブルっという強い抵抗感は強風時も操作感が得られやすい」

そう言ってヴァルキャノンで3尾が連発。ニジマスだけでなくアマゴも混じった。

 

ニジマスだけでなくアマゴも混じった

 

「空いている釣り場なら話は別ですが、エリアトラウトは基本的に同じ場所を釣り続けなければいけません。一投一投をきちんと釣らないと目の前の魚がスレていく。魚に飽きられないように工夫して釣果を持続させる。これがたまらなく面白いんです」

そう言って駒崎さんは5時間の釣りを終了した。ヒットポイントのほとんどはブレイク際だった。それにしてもこの日は金曜日。平日というのにすそのフィッシングパークは満員御礼にちかいにぎわいである。

「これだけ多くのお客さんがいるのは、エリアの釣りが手軽かつ奥深いからです。ボトムの釣りもやるほどにのめり込みますよ(笑)」

 

 

 

※このページは『つり人2024年2月号』を再編集したものです。

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