エリアの釣りは手軽に挑戦できるものの誰でも簡単に釣れるということはなかなかない。定番と言われるスプーンも初心者には実は扱いが難しい。手堅く1 尾、クランクベイトから始めてみてはいかが?
エリアの釣りは手軽に挑戦できるものの誰でも簡単に釣れるということはなかなかない。定番と言われるスプーンも初心者には実は扱いが難しい。手堅く1 尾、クランクベイトから始めてみてはいかが?
回答◎白井亮 写真◎編集部
クランクベイトのメリットって何?
一度釣られている魚が釣りやすいことです
エリアトラウトでは2 ~5cm くらいのものが使われることが多く、球体に近いものから側面がフラットなもの、細長いものまでさまざまな形状があり、潜行深度も10cm 以下から2m以上まで幅広いのが特徴です。
クランクベイト(クランク)の最大のメリットは放流されてから時間が経っている魚、一度釣られてリリースされた魚に口を使わせやすいことです。エリアではルアーを見ていないフレッシュな魚が放流されるタイミングがあるとはいえ、その魚たちが積極的に反応してくれる時間はそう長くありません。むしろ、朝夕の時合と放流直後やエサやりといったチャンスタイムよりもその後の落ち着いた時間のほうが長いです。そのなかなか釣れにくい時間こそクランクの独断場になることも多いです。
大きなリップが特徴のクランクベイト。可愛らしい目が気になるバービーロング(ロブルアー)はフローティングタイプで初心者でも使いやすい
クランクはウォブリングによって強く水を押すのが特徴だが、リトリーブ速度を遅くすれば動きを抑えて使うことも可能だ
特別なタックルが必要ですか?
エリアトラウト用であればOK です
極端な話、総額1 万円を切るようなタックルでも釣りはできますが、快適に釣りができるかと言われると難しいと思います。釣りをする時間よりも修繕する時間のほうが長くなるかも……。
ノントラブルで快適な釣りをしたいのであれば、リールはなるべくよいものを選びましょう。目安としては1 万円を越えるものだとライントラブルが劇的に抑えられます。番手は1000 ~ 2000 番になります。
ロッドはエリア専用であれば大丈夫です。できれば張りのあるファストアクションだとキャストしやすくてアタリも分かりやすいと思います。
ラインは釣りそのものが初めてなら扱いやすいナイロン3lb 相当、直径で言うと0.128mm のクリアラインを使いましょう。釣りの基本動作にある程度慣れているのであれば軟らかめのフロロカーボン2lb がライントラブルも起きにくくておすすめです。これらであればリーダーは不要になります。
ルアーとの接続は必ずスナップを使ってください。サイズは# 00 が万能だと思います。長く使うと疲労によってスナップが勝手に開いてしまったりするのでルアーのアイに当ててこじ開けるように付け外しするのは避けてください。
【白井亮さんのタックル】
右)メインタックル(エステル仕様)
ロッド:エキセントリックRM-1602ML-G(ロブルアー)
リール:ヴァンキッシュC2000SSS(シマノ)
ライン:スーパートラウトエリア ES2(バリバス)
リーダー:フロロカーボン0.6 号20cm
左)PE 仕様
ロッド:エキセントリックAR-2632M(ロブルアー)
リール:ヴァンキッシュC2000S(シマノ)
ライン:スーパートラウトエリア インフィニティPE X8(バリバス)
リーダー:フロロカーボン0.6 号3 m
どんなクランクを選べばいいですか?
まずは60cm ~ 1.2 mのレンジを探れるものを用意してください
悩みどころですが、魚がいることが多いレンジをトレースできるクランクを選ぶのが魚に一番近付けるのではないでしょうか。魚がいるレンジというのはさまざまな条件によって常に変化するので絶対にココというのはありませんが、経験上だとどのエリアでも60cm ~ 1.2 mの間にいることが多いです。このレンジをトレースできるクランクを選ぶといいと思います。ロブルアーのバービーロングはその辺りのレンジを誰でも引きやすいように作られているため、最初の1 個として初心者におすすめです。ただし、クランクには得意なレンジというものがあるため、より深く潜るタイプや浅い水深を引きやすいものなどいくつか種類があると釣りの幅は広がります。
カラーは派手系、中間色、ペレット系の3 色あればローテーションもできて1日楽しめると思います。
透けカラーが好きな白井さんおすすめの3 色。上から派手系のクリペナプラス、中間色のハリ砂夫、ペレット系のスケスケオリーブ。「この3 色があれば釣り初心者でも大丈夫です」
宮城アングラーズヴィレッジで与えられているペレット。これを撒くと一時的に活性が上がるのでその時は似たカラーを使うと反応がよい
どうやって使えばいいですか?
一定速度でのただ巻きが基本的な使い方になります
釣り場に着いたらすぐにキャストしたいところですが、まずは足もとでルアーを泳がせてみてルアーの動きをチェックしてください。アイが曲がっていてまっすぐ泳がないこともありますし、一番大切なのはどのくらいのリトリーブ速度でどう動くのかを把握することです。フローティングタイプであれば潜ろうとする力と浮力がどのくらいの速度だと拮抗するのかは確認しておきたいところです。
エリアの基本はその時の状況にルアーを合わせていくということですが、その優先順位は①レンジ、②スピード、③カラーという順番になります。この色じゃないと絶対ダメということはそうありませんが、レンジはよくあります。このレンジ合わせが難しいのですが、クランクは魚を寄せる力が強いため、レンジがピッタリ合っていなくても反応してくれます。足もとを泳がせたようすを元に水中を想像しながらリトリーブしてください。スピードはまずはプルプルとルアーの動きを感じる速度を一定になるように巻き続けるだけで大丈夫です。反応がないようであれば一投ごとに速くしたり遅くしたりしてみます。カラーは派手系から中間色、ペレット系の順で交換していくのが基本です。反応がなければ違う系統の色に交換してみてください。リトリーブ速度によってルアーのアクションは変わります。プルプルと動いているのを感じる時はウォブリングというアピールの強い動きになり、ゆっくり漂うように張らず緩めずでリトリーブするとプルプル感は失われているのにルアーがフラフラと動きます。これはロールと言われるおとなしい動きでスレた魚をねらう時に効果的です。ロブルアーのクランクはこの感覚が分かりやすくなっています。ただし、リトリーブ速度が変わると同じクランクでも水中での軌道やレンジも変わるので注意してください。クリアレイクで魚の反応が見える時にありがちなのが、追っている姿が見えた時にリトリーブスピードを落としてしまうことです。アタリをもらおうとしてリトリーブスピードを落とすと大抵釣れません。むしろ気持ち速く巻くようにすると食ってくれることが多いです。
ロッドを水に突っ込めばより深いレンジをトレースすることができる。1 種類のクランクでも幅広いレンジを探れるのでいろいろと工夫したい
「リトリーブ速度はリールのハンドルを見てチェックとよく言いますが、ハンドルよりもローターを見たほうが正確です。一定速度になるようにしつつ、ゆっくり巻きましょう」と白井さん
アタリは多いのですが、バラシも多いです……。
強く合わせすぎているかもしれません
アタリは小さいものから大きいものまでさまざまですが、瞬間的にロッドだけで合わせようとせずにリールを巻きながらバットを使ってハリ先を押し込むようなイメージで合わせれば大丈夫です。手もとに伝わってくるアタリの9 割はフックセットできているはずなので過度なフッキングパワーは必要ありません。エリアの釣りでのバラシはフックが刺さっていないからというよりも口切れでバレている場合がほとんど。バシッと合わせてしまうのはハリ穴をむやみに広げてしまうのでNG です。
フックがしっかり刺さっている場合もあれば薄く皮を拾っているだけの場合もある。よりキャッチ率を上げたいのであれば2フック仕様のクランクがおすすめ
ティップが曲がるほどのリトリーブはかなり速め。そこからティップがまっすぐになりつつもプルプル感が伝わるくらいがバービーロングの標準的なリトリーブ速度
釣れなくなってきたら何かチェックすることはありますか
第一にフックを確認してください
小さいアタリがあるのに掛からないな……と思ったらフックを確認してください。爪にハリ先を軽くあてて滑るようであれば交換しましょう。エリアトラウトは魚がルアーをモグモグするわけではなく、じゃれついてきた魚を掛ける釣りです。ハリ先の鋭さが釣果に響くので頻繁に確認するようにしましょう。何尾釣れたら交換と考えるよりも触ってチェックしたほうが確実です。正直なところ、ルアーを2 個買うのであればルアー1 個と替えのフックを1パック買うほうが釣れると思います。
また、ラインも時々チェックしてください。特に大型魚を釣った後は傷んでいる可能性が高いです。キンクやパーマ、ササクレを見つけたらすぐにカットして結び直してください。
ハリ先はこまめにチェックする。軽く爪に当てて滑るようなら即交換
釣果に直結するので替えのフックは必ず用意したい。バービーロングに使われているのはSW-21F(ヴァンフック)の#8
※このページは『つり人2024年2月号』を再編集したものです。