食わせるタナが違うので魚種ごとに配合剤の比重が違う
食わせるタナが違うので魚種ごとに配合剤の比重が違う
解説◎前西喜弘
グレとチヌのフカセ釣りをマルチにこなす。和歌山県の磯と大阪湾の堤防がホームグラウンド。がまかつ、マルキユー、東レのインストラクター、ラグゼスタッフ。グレ闘友会と藤原ファミリーに所属。1968年生まれ
配合材の違いと特徴
グレとチヌの配合材は比重が全然違います。それはなぜかというと、食わせるタナが違うからです。基本的にグレは浮きますが、チヌに関しては超浅ダナまで浮くということがあまりありません。
グレは水深の半分よりも上層をねらうイメージで、チヌはどちらかというと水深の半分よりも下層をねらうイメージです。そういった理由からグレ用の配合材は比重が軽く、チヌ用は比重が重たいといった違いがあります。
もうひとつの違いは、拡散性です。チヌは底にポイントを作って食わせるのが基本的な攻め方なので、チヌ用のマキエをあまり拡散させてしまうと、底にポイントを作りにくくなります。ダンゴ状でドボンドボンと底に効かせる感じなので、まとまりと粘りが強く作られています。
チヌ用とグレ用で粘りという意味合いは違うのですが、チヌ用は海中に落ちてから底まで粘って落ちてくれる粘りで、グレ用の粘りというのは遠投ができてポイントまで粘って飛んでくれるという粘りで、着水すると海面でパッと拡散する感じになります。
グレとチヌの習性
グレは上を向いてエサを拾う習性があるので、上からふわふわっと拡散する配合材になっており、逆にチヌは下を向いて底にあるエサを食べる習性があるため、底に効きやすい配合材になっています。
「グレは潮を釣れ」、「チヌは地形を釣れ」とよくいわれていますが、まさにその通りで、グレは潮に敏感な魚なので、潮が悪いと食わない傾向にあります。
基本的に潮が当たる潮目とか、潮がマキエを溜めてくれるところがグレ釣りのポイントになるので、比重が重たいと潮にマキエが溜まりづらくなります。そういった理由からグレ用は比重が軽く、拡散性が大きいのもあります。
チヌは極端にいうと、潮がとまっているときでもグレに比べたら比較的釣りやすいです。もちろんグレと同じで潮で釣れることもありますが、どちらかというと底やチヌが付くシモリ周りなどの地形にエサを溜めて釣るので、比重が重たくなっています。
配合材の選び方
ある程度やり込んでいけば、自身の釣りのスタイルに合わせて好みが分かってきますが、数多くの配合材が売られているので悩むと思います。配合材は大きく分けて、ベース用とブレンド用があるのですが、まずはオールマイティーに扱えるベース用を準備します。
これは私の内容ですが、チヌの場合は磯でも堤防でもいろいろな配合材は混ぜません。単品でも十分に釣りが成立するという理由からですが、グレ用に関しては単品だけではなかなか思い通りにいかない部分があるので、ベースの配合材と、のりグレなどのブレンド系を混ぜます。
ベースの配合材は、赤系が好みであればグレパワーV9、白く濁るのが好みならグレパワーV11を使えばいいと思います。
マキエの割合
グレの場合は、時期によって変わるのですが、梅雨グレシーズンや水温が高い時期は、エサ取りをかわすために遠投が必要になります。オキアミをたくさん入れてしまうと遠投が利きにくくなるので、配合材の割合が多くなります。
私の場合は生オキアミ12kgに対して配合材を5〜6袋入れますが、初心者の方はそこまで撒ききれないと思うので、配合材の割合を多くすることを意識しといていただければいいと思います。
逆に冬場のエサ取りが少ない時期だと、オキアミの割合を多くします。
チヌの場合だと、朝から夕方までの釣りを想定すると、生オキアミ6㎏に配合材を4袋です。これが半日の釣りであれば、単純にオキアミ3㎏に配合材2袋になります。
全解凍が扱いやすい
私はオキアミを全解凍にしてから混ぜます。それにも理由があって、半解凍だとオキアミに含まれている水がまだ凍っている状態なので、半解凍のままでマキエを作ってしまうと配合材と混ぜるときの水の分量が難しくなります。溶けた水分が後から出てくるので、自身が思っていたよりも軟らかいマキエになったり、扱いにくい仕上がりになる可能性があります。
オキアミは原型残す
グレもチヌもできるだけオキアミを潰しません。その理由は、オキアミを原型で残しておいたほうが海中でのアピール力が高まるからです。それと、サシエが原型に近い形をしているので、より自然にマキエと合う感じにしたいのも理由です。
これはエサ取りが多い時期、少ない時期に関係なく、通年潰さないようにマキエを作ります。そのためにも、オキアミは全解凍のほうがいいです。半解凍だとどうしても刻みを入れて混ぜることになるので。
水量を正確に測る
マキエ作りで失敗を避けるためには、水の量に注意することです。私の場合は分量をきっちりと決めています。水汲みバケツとか、マルキユーのバッカンだったり、配合材の袋に目盛がついているのできっちりと計測しています。
水の量は人によって好みがあるので、今1ℓ水を入れたな、2ℓ入れたな、とかきっちりと量りながら水を足していって、分量を覚えておくと毎回同じマキエを作ることができます。
配合材のパッケージ裏にオキアミに対して配合材と水の量が記載されているので、まずはそれを目安にして、そこから自身の好みに仕上げていけばいいと思います。
※このページは『磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.05』を再編集したものです。
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