水面を炸裂させてルアーにアタックしてくる貪欲さと愛くるしい表情のギャップが魅力のナマズ釣り。ここでは初心者向けに基本知識を解説。
水面を炸裂させてルアーにアタックしてくる貪欲さと愛くるしい表情のギャップが魅力のナマズ釣り。ここでは初心者向けに基本知識を解説。
ナマズってどんな魚?
扁平な頭に2本の長いヒゲ、幅の広い口に小さい目が特徴的なのがナマズだ。可愛らしい顔つきとは裏腹に、ドジョウやタナゴのような小魚はもちろんカエルなどの小動物をもひと飲みにしてしまうどう猛な大型肉食魚で70cmオーバーが釣られることもある。
本来は近畿以西の本州や四国、九州に分布していたが、江戸時代に関東地方に人為的に導入され、現在では全国各地に定着している。年間を通して水位が安定している大型河川には必ずと言っていいほど生息していて、支流や用水路にも入り込む。繁殖期はだいたい4月~6月で、用水路や水が張られた田んぼなど、とても浅い場所で夜に産卵する。釣期は水が暖かくなる5月から釣れ始め、11月ごろまで楽しめる。
日本にはナマズ目ナマズ科ナマズ属に属す4種がいて、ナマズ、イワトコナマズ、タニガワナマズ、ビワコオオナマズとなっている。霞ヶ浦水系を中心に分布を拡大している特定外来生物のチャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)はナマズ目アメリカナマズ科なので別物だ。
シーズンはいつ?
4~5月:繁殖期で用水路の奥まで入ってくる
6月上旬~中旬:アフターで一時的に食いが悪くなる
6月中旬~7月:回復して高活性
8~9月:高水温期に入り、水温の安定した流れ込みや日陰に集まる
10~11月:秋の荒食いで高活性
時期は上記の通りだが、実際ナマズを探そうとしても難しい。しかし、同じエリアにいることが多いコイであれば簡単に見つけることができるはず。コイの周辺にナマズがいる可能性が高いので丁寧に探るとよいだろう。時にはコイの群れに混じっていることもあるほどコイとナマズの親和性は高い。
どこをねらえばいい?
ナマズをねらう場所はずばり小河川や用水路。規模が小さいほどねらい打ちしやすい。小場所ほど水深が浅いことも多いが、小魚の他にカエルなどの陸上から落ちてくる小動物を捕食するナマズにとって見ればむしろ好ましい環境ともいえる。そのため、水深50cmを切るような場所でも平気で潜んでいることが多い。さらにボトムが砂や泥、ウィードあるいはフラットなコンクリートといった身体が傷つきにくい場所だと潜んでいる可能性が高くなる。細い用水路など、こんな浅い場所はいないだろうと決めつけず、試しにルアーを投げてみるか、底まで見えるようであればよく観察したい。流れの規模からは考えられないようなサイズが釣れるアシのポケットウィード流れ流れのヨレ水門や流れ込み足元もチャンスあり!ナマズの付き場イメージことも充分にあるのがナマズ釣りだ。
大きな落ち込みなどは下にいるナマズに気付かせるためにわざと着水音を大きくさせるのがコツ
なお、ナマズを見つけた時はヒゲの向きをチェックしたい。ヒゲが前方に飛び出ているほど活性が高く、後ろに倒れ込んでいる魚はルアーに反応しにくい。
ヒゲが後ろに倒れ込んでいる
ヒゲが前方に!
ナマズは基本的に夜行性なので、日中はシェードの中でじっとしていることが多い。隠れられるようなオーバーハングや流れ込み、橋の陰などをタイトにねらえば昼間でも充分に釣りは成立する。夕マヅメでローライトになるにしたがってナマズたちは動き出し、シェードから離れたオープンエリアでもルアーを追うようになる。
おすすめのルアーは?
ナマズをねらう場合、トップウォーターの釣りが主流だ。水面でルアーを動かしているとボフッと弾け、聴覚と視覚で楽しめる。よく使われるトップウォータープラグは音と振動で誘うノイジー系と呼ばれるものだ。その中でもルアーの口元に金属のカップが付いたカップ系が使われることが多い。他にも金属の羽根が付いたウイング系、水面直下を引けるウエイクベイト系なども使われる。なお、フックはバーブレスフックを使うこと。ナマズの硬い口に掛かりやすくなるだけでなく、リリースする際に不要なダメージを与えない。
日中の釣りではピンスポットにキャストしていわゆる「落ちパク」でねらうことが多い。キャスト精度が重要なのでラインの放出をコントロールしやすいベイトタックルが基本となる。また、ナマズねらいが成立する用水路などは水面近くまで下りることができない場所も多い。ヒットしたナマズを抜き上げられるようなしっかりとしたバットを持つロッドが好ましく、カバー打ちでミスキャストした際に引っ掛かったルアーも外しやすくなる。MやMHクラスのバスロッドも使えるが、やはりナマズ専用ロッドがおすすめだ。しっかりしたバットにしなやかなティップが組み合わされ、バイトを弾きにくくなっているのが特徴だ。長さは6フィート後半から7フィートほどあると足場が高い場合でも使いやすい。
ラインは必ず太いものを使用すること。ルアーをロストする心配がなくなるのでPEであれば4号以上、ナインであれば5号以上を使いたい。PEを使う場合はリーダーとして60ポンドのナイロンを接続するとルアーへの絡みも減るはずだ。
カップ系ノイジーのふく鯰(ダイワ)はブレードチューンが施されていてカップ音、ラトル音、ブレード接触音でナマズにアピール。ブレードの抵抗でスローに引けるだけでなく、大きめのカップで移動距離を抑えた首振りアクションも得意。手前からカツオノエボシ(新色)、トランスルーセクトグラスキャット(新色)、ゴンズイ、デンキナマズ
バスタックルを流用する時の一例
・ロッド:リベリオン701MFBーG(ダイワ)
・リール:タトゥーラTW80XH(ダイワ)
・ライン:UVF フロッグデュラセンサー×8+si2 3.5号(ダイワ)
ノイジー系の使い方のコツ
ナマズは目が小さく、シルエットや明滅は認識できるとされているものの、エサは匂いや音、振動をひげや側線で感じ取っている。そのため、ルアーも着水音やラトル音、振動などを積極的に出していかないとナマズに気付いてもらえない。
ノイジー系はただ巻きでも充分に音や振動を出すのだが、注意してほしいのはラインを張り過ぎないこと。ナマズは吸い込むように捕食するのでラインが張っていると吸い込めずになかなかフッキングしない。ラインのたるみを作るように意識してリトリーブしよう。ただ巻きではなくシェイクしながら巻いてくるとより大きなたるみを作ることができるだけでなく、移動距離も抑えられる。
ラインスラックが多くとれるのでナマズも吸い込みやすい
なお、ナマズの視力は弱いためチェイスやミスバイトがあったからと言ってルアーを止めてしまうとナマズがルアーを見失ってしまい、帰ってしまうことも多いので要注意。
ナマズは体側だけでなく体全体に側線がある。白い点線が側線だ
近距離をねらうならピッチングがおすすめ
近距離のカバーやピンスポットをねらい打ちする場合、ピッチングができるようになると精度も手返しもよくなる。ピッチングとはバスフィッシングでよく使われているタラシをルアーが掴めるくらい長くして振り子のように投げるキャスト方法だ。
バスプロの梅田京介さんによれば、カバーに打ち込むコツはサミングでスプールを抑え過ぎないようにすることだそうで、微調整を効かせやすいのは指先でのサミング。最近のベイトリールはコンパクトなため握り込みがちになり、親指の腹がスプールに当たって微調整が効かせられない。リールを握る位置を普段よりも少し下に浅く握ることで、指先でサミングできるようになり、+30cmはカバー際に近いアプローチができるようになるとのこと。
釣りあげた後は優しく扱おう
ミスバイトが多いのもナマズゲームの特徴でもある。バイトがあっても即アワセではなく、ロッドに重みを感じてから合わせよう。活性が低いときは一度で終わってしまうこともあるが、2回、3回とバイトしてくることも多いので慌てずにルアーを動かし続けて態勢を整えておく。
水面炸裂の瞬間は迫力満点
足場が高いことが多いこの釣りでは抜き上げてランディングすることが多いが、気を付けたいのはナマズを乾いた地面に置かないようにすることだ。ナマズには鱗がなく、ヌメリで皮膚を保護している。乾いた熱いコンクリートや砂利の上に置くとヌメリがすぐに取れてしまうので草の上など少しでもダメージを抑えられるような場所で優しく扱おう。
ナマズの歯は細かく鋭いのでフィッシュグリップを使うと安全。ナマズにダメージを与えにくい縦持ちが推奨されている。写真を撮る時など横持ちをしたい場合はお腹を支えるようにすること。リリースの際も水面近くまで降りるか、ランディングネットを使ったりして優しいリリースを心掛けよう。
リリースも簡単だ
ネットがないときは草の上に置くなどして皮膚が傷つかないようにしたい
※このページは『つり人 2023年7月号』を再編集したものです。
あわせて読みたい
・写真でわかる!アンバサダー1500Cのハイギヤ化方法とパーツ交換の手順
・渓流ミノーの使い分け!水深・流れ・対象魚に合わせた選び方と釣り方のコツ