オカッパリからもボートからも楽しめるシーバス釣りだがその中間にあるのがウエーディングというスタイルだ。岸際に縛られることがないため自由度が増ししっかりと地に足をつけて釣るスタイルはボートよりも手軽。しかし、危険と隣り合わせでもあることも事実。どのような釣りなのかを理解したうえで他の2釣法と比べても安全対策に万全を期して楽しみたい
オカッパリからもボートからも楽しめるシーバス釣りだがその中間にあるのがウエーディングというスタイルだ。岸際に縛られることがないため自由度が増ししっかりと地に足をつけて釣るスタイルはボートよりも手軽。しかし、危険と隣り合わせでもあることも事実。どのような釣りなのかを理解したうえで他の2釣法と比べても安全対策に万全を期して楽しみたい
文◎林悠一 写真◎編集部
秋の干潟が盛り上がる理由
これから秋の本格シーズンを迎えるシーバス釣り。今回はその中でも人気が高い干潟でのウエーディングゲームを紹介したい。
なぜ秋がウエーディングのシーズンインのタイミングになるかといえば、9月下旬頃から大潮のタイミングで夜の潮位がグッと下がり、ナイトゲームで大きく前進できるようになるためである。
東京湾の中央部に広がる干潟は10月下旬頃から水温が下がり始めると、干潟の浄化作用により水色はクリアになっていき、11月に入れば透明度の高まり、気持ちがいいロケーションで楽しめるようになる。
その頃になればシーバスの群れも一気に回遊してくるので大型の数釣りも期待できるようになるからますます盛り上がるというわけだ。
そんなウエーディングゲームは通常のオカッパリに比べて、今まで届かなかったポイント、地形変化や潮目をダイレクトにねらうことができ、釣り人側が非常に有利な立場で釣りをすることができる。その反面、オカッパリと比べ危険を伴うので装備はさらに強化しなくてはいけない。
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ウエーディングゲーム6つの注意点
1つ目は、ライフジャケットの着用。自動膨張式は絶対にNG で、必ず浮力体があり、ルアーケースなどの収納ポケットが多い専用のゲームベストを選ぶこと。
2つ目は、「アカエイ」の毒針から足を守るエイガードの装着。河口や干潟、サーフとウエーディングゲームを行なうポイントには必ずといっていいほど多くのアカエイが生息している。私も過去に何度か刺されたが、エイガードの中でも防御力に優れた「レイガードⅡ」を履いていたおかげで助かった。アカエイは、摺り足で歩けば大丈夫ということもなく、擦り足でも一度刺されている。100%安心というわけではないが、軽症ですむことが多い。実際はガードを履かれてない方が多くいるが、毒針が貫通してしまうと、酷い場合は全治3ヵ月ほどの重症になってしまうので絶対にガードは履くようにしたい。ウエーディングスティックがあればなお安心である。
3つ目は、点滅灯の「フラッシャー」を背中に付けること。主にナイトゲームの装備だが、これは後方から来るウエーディングマンや航行している船に自分の位置を知らせる役割がある。フラッシャーを付けていないと、後方から来るウエーディングマンは暗闇に溶け込んでいる自分を見つけることができずにルアーを撃ち込まれたり、投げているコースへクロスされたりとトラブルの元になり、最悪ルアーが当たって怪我をすることも考えられる。ウエーディングする際はお互いに装着することが最低限のマナーになるので必ず装備したい。
4つ目は、スマホ等の通信手段の携帯。沖に出てから何かトラブルがあった場合、助けを呼べる手段は必ず用意し、防水タイプでない場合は防水ケースに収納する。なお、車のスマートキーも海水に浸かると故障しやすいので注意したい。
5つ目は、その日の潮位の上げ下げを確認したうえで、現場でもこまめに時刻を見て潮の動きを予測すること
6つ目は、立ち入り禁止区域への立ち入りや駐車禁止区域に駐車しないこと。当たり前のことだが、実際に現場ではトラブルが起きている。多少遠くてもコインパーキングに駐車すること。くれぐれも漁港内に駐車したり、 漁港から入水しないこと。
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極端に潜るルアーは必要ない
今回はアクアラインに近い千葉側の干潟でウエーディングをしてみた。釣りのポイントになるのは船が通るミオ筋や海藻帯、ミオ筋が起点となるスリットやブレイクラインなど。シーバスは地形変化が多く、潮通しがよい場所を好むからだ。当然、地形は深くなったり浅くなったりするので地形の把握は重要になる。安全のためにも必ず経験者と一緒に釣行すること。
潮が当たるスリットのエッジや海藻帯の端などは絶好のポイントになる。このとき重要なのは流れが利いているのか、どちらから流れているのかを把握すること。流れの下流側から投げてしまえばルアーは水を噛まず上手く泳がない。ルアーがちゃんと水を噛むポジションまで移動して理想のコースを引くことができるのもウエーディングゲームの強みである。
水深は、深いからよいとは限らない。ベイトフィッシュの有無や、流れが利いている理想の箇所であれば水深が40~50cmでもシーバスは入り込んでいる。干潟はポイントによってはブレイクラインまで数km歩くこともあるが、ポイントの把握ができてない最初のうちは手前のシャローポイントを丁寧に探っていくのも重要である。
干潟には多彩なベイトフィッシュがいる。トウゴロウイワシやカタクチイワシ、サヨリ、コノシロ等のベイトに合わせて、使用するルアーもサイズや潜行深度を使い分けたい。といっても水深は自分が立っていられるほど浅いため極端に潜るルアーは必要なく、表層、水面直下、30〜 40cm潜るルアーを中心に組み立ててみよう。
水面直下を泳ぐルアーで反応しないのに10cmほど潜らせただけでいきなり連発したり、同じ泳層なのにルアーの波動を変えたら連発することもある。シーバスはレンジと波動に非常に敏感な魚なので、そこを意識して攻略するのが面白い。
水中に入りながらのキャストのため、タックルは取り回しのよい8〜9ftの長さがマッチ。スピニングリールは3000番台のバランスがよい。ラインはPE0.8〜1.5号、ショックリーダーはナイロン20〜25ポンドを40〜50cm接続するのがおすすめ。
【当日のタックル】ロッド:Flows810(リップルフィッシャー)リール:エクスセンスC3000MHG(シマノ)ライン:アバニ シーバスPE マックスパワーX8の0.8 号(バリバス)リーダー:シーバスショックリーダーVEP-F ナイロン22 ポンド(バリバス)
【水面から水面直下で反応がよいとき】上から順に、サルディナ127F(マングローブスタジオ)コモモSF-125(アイマ)コモモSF-110(アイマ)クー100F X AR-C(シマノ)サルディナ107F( マングローブスタジオ)
【レンジを下げたほうが反応がよいとき】上から順に、ハルカ125F(スミス)コモモ110S カウンター(アイマ)レスポンダー109F(シマノ)サスケSF-95(アイマ)
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取材当日の様子。濁りと海藻に苦戦も
取材当日は大潮。そう、夜に潮位が大きく下がる最高なタイミングであった。フィールドによっても異なるが、最初は下げ潮の潮位70cmを切ったあたりから前進を開始し、潮位が下がるにつれてスリットや海藻帯を撃ちながら徐々に沖へと進んでいくといい。干潮潮位が10cm台よりも下がる日であればブレイクラインまで楽に前進可能だが、所々に深いスリットがあるので無理に前進しなくても手前のスリットや海藻帯でも充分に釣果は期待できる。
上げ潮になるとフレッシュな新しい群れが入ってくるが、慣れないうちは干潮潮止まりまでやって撤収したほうが安全だ。上げ潮は日によっては30分くらいで一気に潮位が上がってくるので、把握していないスリットが深くなって取り残される場合もあるので注意したい。
ちなみに取材前日にようす見に行ったときは南西強風で荒れ気味だったが、トウゴロウイワシの群れがかなり入っていてブレイクラインまで行かなくても手前の海藻帯で40~50cmの小型ながらポツポツと拾うことができた。
ヘッドライトの光に集まってきたトウゴロウイワシ
取材当日は夕方から凪いだものの昼まで風が強かったことから底荒れしており、濁りと浮遊する海藻に邪魔されてねらったコースにルアーを通すのが難しい状況だったが、浮遊する海藻を拾わない筋を見つけることができ、前日よりもサイズアップすることに成功。
※このページは『つり人 2023年12月号』を再編集したものです。