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編集部2019年4月22日

東京湾のマゴチ釣り入門レポート! この道40年のマゴチ神に2倍釣るための極意を教わる!!

コチ 船の釣り 魚種別釣りガイド

ユニークな外見と美味しさから大人気のマゴチ釣り。マゴチ釣り入門者のために、自身も初挑戦の編集スタッフが道具選び、エサの付け方、釣り方はもちろん、船の予約方法や乗り方までレポートします。

アタリは待つものではなく出すものである

つり人=写真と文

砂地に生息する肉食魚、マゴチ。
東京湾ではサイマキ(クルマエビの子ども)を使ったエサ釣りが一般的で、
そのユニークな外見と美味しさから大人気のターゲットです。
しかし、釣るのは決して簡単ではなく、時には0尾のまま終わってしまうこともあります。
そんなマゴチ釣りを初体験した
編集スタッフササキがレポートをお届けします。
アタリ数とフッキング率の両方が倍増する極意を教わってきました。




 

東京湾のマゴチ釣り概要


マゴチは砂地に生息する肉食魚。小魚や甲殻類を食べて暮らしています。怪獣チックなフォルムで大型は60cmを超えルックスの迫力は満点。さらに人によっては「ヒラメよりおいしい」と言うこともあるほど美味な魚として人気を集めています。甘みがあり腰がある肉質はフグに似ているという声もあります。

1 マゴチ。砂地に生息し大型は60cmを超える

東京湾にはマゴチ乗合を行なっている船宿がたくさんあります。盛期は4~9月で、船宿によっては一年中出船しているそうです。今回お世話になった新明丸も一年中マゴチ乗合を行なっている船宿のひとつ。産卵期に当たる6月、7月が最も数釣りをねらえますが、真冬でもいい時はひとり5尾釣れることもあるそうです。

釣り場は大貫や富岡、横浜、羽田。時期によっていい場所が変わります。

2 この日釣れた45cm級

仕掛けは15号前後の三日月オモリに1.5mほどのハリス(フロロカーボン5号)を付けるシンプルなもので、エサはサイマキがポピュラー。メゴチやハゼをエサにする場合もあります。おもにねらう水深は10~20m。夏場は2~3mの浅瀬で釣ることもあるそうです。

そんなマゴチ釣りにつり人編集スタッフのササキが初体験してきました。普段はルアー釣りに行くことが多くマゴチ釣りは未体験ゾーン。ずーっと釣ってみたいと思っていたけど、どうやら簡単な釣りではないとのこと……。無事1尾釣れるんでしょうか……?

釣れる『船釣り』最新テクニック
 男女を通じて人気・実力ともにトップクラスと誰もが認める〝忍ねえさん〟の船釣りノウハウや考え方を、初めて1冊に収録しています。理論を分かりやすくする、仕掛け図や釣り方イラストも豊富に掲載。東京湾、相模湾、千葉外房、駿河湾での四季折々の釣りものに、関西で圧倒的な人気を誇る大阪湾のテンヤタチウオの釣りも加え、掲載魚種は、タチウオ、カワハギ、ヒラメ、マダイ、アジ、イシモチ、メバル、マゴチ、アマダイ、アオリイカ、マダコ、ショウサイフグ、キンメダイの13種。ビギナーには分かりやすく、ベテランにも目からウロコの上達のヒント満載で、海釣りの楽しさを知りたい、深めたいすべての人に見逃せない1冊です。

 

マゴチ釣りの道具立て


まずは道具を揃えに釣具店に行きました。
マゴチ釣りについても書いてある「釣れる『船釣り』最新テクニック」で勉強すると……。

◆釣りザオはバットのしっかりした2m前後のライトゲームモデルでOK。マゴチ専用モデルもある
◆沖釣り用ベイトリールにPE1~1.5号を巻く
◆三日月オモリは船宿指定の号数を使う。新明丸は15号(違う号数を使うとほかの人の仕掛けと流され具合が変わるのでオマツリの原因になる)
◆ハリスはフロロカーボン5号を1~1.5m
◆ハリはマゴチハリ15~17号
◆ヒューズと呼ばれる針金のようなオモリをハリに巻くこともある。エビの浮き上がりを防ぎ姿勢が安定する効果がある

……とのことでした。
この教えどおり道具を買い揃え準備は万端です。

◆仕掛け図はこちら
https://www.honda.co.jp/fishing/picture-book/magochi/trap01

tackle
3 この日のために買ったベイゲームXマゴチ。先端部は軟らかめでマゴチの食い込みがよく、胴は強いためハリを貫通させることができる専用設計。リールは沖釣り用の両軸リール・ゲンプウ

4 ベテランはサオ受けを用意していた。仕掛け交換時やエサ付けがスムーズになる

5a 5b サオ・リール、道糸以外は三日月オモリとハリス、ハリがあれば楽しめるシンプルさが嬉しい

6a 6b マゴチはヒレやエラにトゲがあるので絶対に素手では触らない。フィッシュグリップやペンチがあるといい

7 エビを刺しやすいマゴチバリ。ヒネリが入っているものはエビが弱りやすいため避けよう

マゴチ釣りの予約、受付~出船の流れ
神奈川県・鶴見の船宿「新明丸」を例に


4月19日に神奈川県・鶴見の船宿「新明丸」に行ってきました。
事前の予約は受け付けていますが、なしでもOKのシステム。
出船(この日は7:30)の45分前に店舗に行って受付をすれば乗船することができます。

8 新明丸の受付。出船の45分前を目安に来よう

9 出船場所は店から徒歩2分

「朝起きてから行くかどうか決めてもらって大丈夫です」とこの日の船長・新明慶樹さんは言います。ただし、土日・祝日は客が多いので予約推奨とのことです。
傾向として平日は4、5名、休日は10名以上で出船することが多いとのこと。

受付後は船に向かい、各自好きな席に座って出船を待ちます。
ちなみにルアー釣りもしたい場合は事前の予約必須です。ルアーを投げた際にほかの人とオマツリにならないよう、ミヨシ(前方)側の席を確保してくれる仕組みになっています。

10 受付後は船に行き好きな場所に座ろう

11 出船! この日は千葉方面に向かった。東京湾ならではの景色を楽しみつつポイントへ

12 この日の船長は新明慶樹さん。質問すると優しく教えてくれる

 

マゴチの釣り餌・サイマキの付け方
ここで8割決まる!?


そしていよいよ出船です。
事前に新明船長に繰り返し教わったのは「エビの付け方が大事」ということでした。
エビがなくならず、なおかつ弱らない刺し方があるそうです。

13a 東京湾のマゴチ釣りで最もポピュラーなエサであるサイマキ。元気がよく丈夫なのでマゴチに襲われやすいのだ

刺し方については、この日隣に座っていた常連の佐藤一海さんが詳しくレクチャーしてくれました。聞けば佐藤さんのマゴチ釣り歴は40年!! ということは、昭和、平成、そしてこれからの令和の3時代を股にかけてマゴチを釣っているということですか……! 「せっかくだから釣り方も教えてあげるよ」と佐藤さん。初体験の日にこの道40年の名人に教えてもらえるなんて、僥倖であります!!

佐藤さんは言います。
「『この釣りはエサの付け方で80%決まる』と言う人もいます。サイマキは丈夫でよく動くエビなんですけど、この特徴をより生かせる付け方があります。自発的に泳いでくれる状態にできれば食いがいいですよ」
付け方は写真をごらんください。

重要!! サイマキの刺し方 14a サイマキを持つ。目の間から伸びる角をケンという。優しく触ろう

14b ケンの先端を折る

14c 口にハリ先を入れる

14d ケンの後方部からハリ先がわずかに出るように刺す

14e 14f 14g 14h さまざまな角度から見た完成系。ワタ(黒く見える部分)は急所なのでここに刺さないように注意しよう

このあとエビを海面につけてみて、足がヒョコヒョコ動いているようなら合格。
動きが鈍ったらマメにエサを付け替えましょう。
また、僕の釣りを見た佐藤さんは仕掛けの回収時なども気を配ったほうがいいと付け加えました。

16 海面やバケツのなかでハリが付いたエビを泳がせ、足がシャカシャカ動いているかどうか確認する。元気ならばOKだ

「回収をもっとゆっくりにしたほうがいいよ。効率重視で速くリールを巻いちゃうとエビが弱っちゃう。移動の際にバケツに入れるときも優しくしてあげよう」
なるほど! エビは最大限いたわります。
元気よく食べられてきてくれ!

15 釣りの最中、乗らないアタリがあったらエビを見てと新明船長。関節の部分だけかじられていたらイカの仕業だ



 

仕掛けの投入~誘い
マゴチ釣りの極意は「5秒に1回のタナとり」


基本的に仕掛けはキャストせず、船べりに投入します。まずはクラッチを切って底までオモリを落とし、すぐに1m前後オモリを持ち上げます。ハリスの長さ分オモリを浮かせることで、ちょうどエビが底スレスレを泳いでくれるのです。マゴチは底に潜ってエサを待ち伏せているので、エビが浮きすぎるとNG。逆にオモリが底に近すぎるとハリスが緩んでしまいアタリがとれません。

image
「オモリを持ち上げる長さはハリスの長さの半分が基準。これが一番エビを自然に泳がせられます。これを基準に潮が速かったり風が強かったりで船が流れる速度が速いときは持ち上げる長さを短く、緩いときは長くするのが基本です。潮が止まってなおかつベタ凪ならば最長でハリスの長さ分浮かせることもあります。また、潮が速いときはヒューズを巻くこともあります。ただ、ハリが重くなりエビが疲れる原因になるので付けないという選択肢もありです。両方試してマゴチに聞いてみてください」と新明船長。

僕も釣りを開始。
「海底でエビをスキップさせるイメージで釣ってみてください」というアドバイスどおり、エビのようすを妄想しつつ、
オモリを持ち上げたあとはサオを上下したり、リールを巻いたりすることなく、静かにアタリを待ちます。

もうひとつ出船前に船長に教わったのは「マメなタナとりが大事」ということ。
タナとりとはオモリを底に付け直し、再び持ち上げる動作のこと。
基本的に船は完全に同じ場所に常にいるわけではないので、こまめに底をとりなおさないと仕掛けが浮きすぎたりすることがあるのです。

tanatori
「昔は置きザオで釣る方も多かったですが、今は持って釣るのが主流です。よく釣る人ほどこまめにタナをとっています。アタリの数が倍違ってきますよ」と新明船長。

そして釣りをしていて驚いたことがあります。
僕の隣の席に座るマゴチ神・佐藤さん、僕にまったくアタリがない時間帯もひとりだけコンスタントに釣っていくのです。

17 釣りまくる佐藤さん。タモ入れは船長が素早く行なってくれる

18 佐藤さん、この日は10尾釣って竿頭。多くの人は1~2尾と難しい日だったのに……。マゴチ歴40年は伊達ではないのだ。いったいどんな秘密があるのか……

30分間で4連発、というシーンもありました。
すぐ隣なのに、なぜここまでの差が……。
質問すると優しく教えてくれました。
「ずばりタナとりの頻度だね」と佐藤さん。僕もマメさを意識して1分に1回くらい底をとりなおしていたんですけど……。

「いや、5秒に1回タナをとるくらいがいいよ」。
えー!! そこまでマメにやるんですか!!

「そう。このタナとり、単に仕掛けの位置を確認するという意味だけじゃなくて、実は誘いも兼ねているんですよ。オモリを上下させることでエビが動くでしょ? 肉食魚は動くものをエサと認識するから、タナとりの回数はアタリの数に比例するよ」

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佐藤さんの釣りを観察していて気付いたことがもうひとつ。
タナとりの際、僕はリールのクラッチを切ってオモリを底まで落とし、持ち上げるときはハンドルを巻いていたのですが、佐藤さんは両方の動作をサオのスローな上げ下げで行なっていました。これはナゼですか?

「実はこのタナとりの動作中にアタリが出ることがすごく多いんですよ。今日のアタリはほとんどそう。アタリがあったら食い込ませるために送らなきゃいけないんだけど、ハンドルを巻いてしまっていると急には止められなくてミスになりやすい。それに、サオの上げ下げでゆっくりタナをとったほうがアタリが出やすいと感じています」

19 佐藤さんはサオの上げ下げをゆっくり丁寧に行うことでタナとりをしていた。ここに秘密があったのだ

この話を聞いてからは僕もサオによる5秒に1回のタナとりを実践。
するとそれまで釣れない時間が長かったにもかかわらず、
直後の投入でアタリが!!
しかもタナとりの際にオモリを持ち上げる動作でコッとアタりました。
この1尾はこの日一番小さいマゴチでしたが、一番嬉しい1尾でもありました。
「アタリは待つものではなく出すものです」という佐藤さんの金言が胸に刻まれました。

20 佐藤さんは持ちザオのほかに置きザオも用意していた。オモリを持ち上げる高さや、ヒューズの有無を変えることでアタリの数を比較し、その日の当たりパターンを探していた。この日は置きザオはヒューズなしでオモリから海底までの距離は80cm。タナとりがマメにできない分、エビを自然に漂わせることを優先した。持ち竿はヒューズありでオモリの高さは1.5m。自分が操作したとおりにエサが動くことを優先した結果だ

21 わたくしです。マメなタナとりを心掛けていたつもりが……全然足りないことに途中で気づいた。そこからはアタリ連発!!

22 タナとりの際はクラッチを切ったりリールを巻くのではなくサオの上下をゆっくりと行なう

23 僕にも釣れました! アタリを出すまでの苦労と、アタリが出てからの攻防が嬉しさを何倍にもしてくれる

 

アタリとアワセ
「マゴチ20」とは限らない!?


マゴチ釣りを体験してみて、個人的に一番楽しかったのが
アタリがあってから掛けるまでの攻防。マゴチ釣りはアワセに失敗することが多い釣りと言われています。

マゴチの口は大きいですが、小魚やエビを食べるときは一発で飲み込むのではなく、獲物をゴリゴリと噛みつぶしながら食べます。そのためアタリが出てすぐにアワセを入れるとすっぽ抜けてしまうことが多いのです。インターネットなどで予習すると「マゴチ20」という言葉も出てきました。20秒待て、ってことですね、新明船長。

「個人的には『マゴチ20』ではなく『マゴチ7』がいいと思っています。即アワセはよくないですが、待ちすぎてもよくない。マゴチの本気度が高い最初のうちにアワせたほうが成功確率が上がります。

24 エビがピンピンと逃げるようすが伝わってきたら勝負開始!

 まず最初はエビがピンピンと逃げる前アタリが出ることがあります。これはマゴチが近くにいる証拠。その後グッとアタリが出たら、食い込ませるためにサオを送ります。このときとても大事なのはイトのテンションを掛けながら送ること。マゴチは逃げようとするエサはより本気で食おうとする修正があるので、イトのテンションが抜けていると『もう大丈夫』と思ってエサを離しがちです。イトを張りながら送ることで、『まだエサが動いている』と判断してより深く食べさせることができます。イトを送ってようすを見て、サオに一段と重い感触が伝わってきたら強くアワせましょう。感触がわかりにくければ最初のアタリから7秒でアワせてみてください」

事前にこのアドバイスを聞いていたおかげで、この日の僕は7アタリ5尾。
これは上出来です。プロ野球なら首位打者だ!!
……と思っていたら佐藤さんは12アタリ10尾(竿頭)。
すごすぎる……。

25 船によってはイケスがあり、釣ったマゴチを入れることができる。新明丸の船はイケスあり

「調子の悪い日で10回アタリがあって2~3尾。いい日は8~9尾釣れます。佐々木君の5/7はすごくいい数字だと思いますよ」とお褒めの言葉をいただきました。嬉しいです!

というわけで、新明船長と佐藤さんの適切すぎるアドバイスのおかげで初のマゴチ釣りを堪能することができました。
これからマゴチ釣りは最盛期を迎えます。
皆さまもぜひ東京湾へ!

26a 26b マゴチは帰港後に船長が神経締めしてくれる。氷の入ったクーラーボックスに入れて持ち帰り、ラップと新聞紙にくるんで冷蔵庫で3~4日寝かせると熟成が進んで美味くなると新明船長。マゴチの捌き方はここで確認できます

 

 

 

2019/4/22

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