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編集部2018年12月10日

ワカサギ釣り/ドーム船であったかフィッシング

ワカサギ 河川・湖の釣り 魚種別釣りガイド

厳寒期のワカサギ釣りは暖房完備のドーム船が快適でおすすめだ。 ワカサギエキスパートの井上聡さんに入門者向けに解説していただいた。

寒くない!山梨県山中湖・旭日丘観光出船のワカサギ釣り

井上 聡 文、編集部 写真

設備が充実したドーム船はビギナーにもおすすめだが、エキスパートを熱中させる奥深さも併せ持つ

厳寒期のワカサギ釣りは暖房完備のドーム船が快適でおすすめだ。
ワカサギエキスパートの井上聡さんに入門者向けに解説していただいた。

この記事は『つり人』2016年2月号に掲載したものを再編集しています。



今が旬の好敵手


 ワカサギはサケ目キュウリウオ科の魚で、1~5月に湖へ流入する川に上り産卵。受精から孵化までは低水温ほど長く、7℃で38日ほどしてから生まれる。ユスリカの幼虫や動物プランクトンなどを食べながら成長し、初秋から初冬にかけて成魚となり、年を超えた頃から成熟魚となる。

 基本的に1年の命だが、湖によっては2~3年生きる。大きさは生息する条件で大きく変わり7~10㎝。大きいものになると、16㎝ほどの大型も生息する。水に対する順応性も優れており、多少の汚れでも生息することができる。そのため、全国各地の湖、池、沼などにいる。集団で行動することが多く、季節や湖の水深や形状などによって、回遊ルートが異なる。主に秋は中層。冬は底付近。春先にかけて浅場にポイントは移動する。真夏でも釣れるが、水温低下とともに成魚となり、食べても美味しい初秋から春先にかけてが、人気のシーズンだ。


入門におすすめのドーム船


 ワカサギ釣りには大きく分けてボート、桟橋、氷上、ドーム船がある。今回紹介するのがドーム船だ。ドーム船は寒さを心配せず、温かな室内で飲食しながらワカサギ釣りが楽しめる。船内は照明もあって明るく、電子レンジも完備されているところもある。釣れるポイントへ案内してくれ、タナや釣り方も教えてくれる。レンタル品も充実しており、気軽に釣りが楽しめる。

 ドーム船は釣り船によって仕掛けを落とす開口部の広さや形状が異なる。また、床面に座布団を使用するところもあれば、椅子を使用するところもある。それに合ったタックルを準備することで釣りやすくなる。

 電動リールは、巻き上げスピード調整機能や穂先の手前で自動に停止するオートストップ機能など装備が充実している。最新機種になると、ねらうタナを記憶する機能も付いている。手軽でコンパクト、それでいて多彩な機能を持つ電動リールは、今やドーム船の主流になっている。

 スプールに巻くラインは、PE、ナイロン、フロロといったものがある。PEは、細くても強度があり、伸びがないため感度もよい。吸水性がないため、劣化しにくくイトグセも付かない。



 ナイロンは、厳冬期のようにガイドが凍ってしまうような場合でも仕掛けが落下する利点がある。価格も安いのが特徴だ。

 ドーム船では、35㎝以下の穂先が適しており、25㎝くらいがよいだろう。長さは釣り座前の穴の大きさによって変わってくる。

 先調子は、胴体部分が硬くてアタリが先端に素早く出るため、聞き上げる誘いや、繊細なアタリを捉える場合に有効。ただし、オモリが重すぎると先端の弾力性が少なくなる。

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DSC_6305 井上さん愛用のワカサギ仕掛け。今シーズンはオーナー『時短ワカサギ』の出番が多い。袖とキツネのいいとこどりの形状が魅力だ。ドーム船では仕掛けが全長60㎝前後だと使いやすい

 胴調子の場合、胴から先端にかけてアタリが表われる。オモリをフワリと誘い上げてから、ラインを保持しながら沈み込み、一尾掛かっても弾力性がほどよく効いて、追い食い効果を発揮する。多点掛けにも適し、重いオモリに対応する。これから始める人には、少し軟らかめの穂先であるシマノ『ワカサギマチックシステム穂先SHS 02』がおすすめだ。

 ドーム船で扱いやすい仕掛けの長さは50㎝~1m。慣れない方は、トラブルが少ない短い仕掛けがおすすめだ。ハリの大きさは、渋い時には小さめのハリにする。1・5号と2号サイズと、袖形状のハリがあればまずは大丈夫だろう。

 オモリは水深に合わせるのが基本だが、ドーム船は風によって船が流されるため、他の釣り人と仕掛けの動きを合わせることが重要だ。一人だけ極端に重さの違うオモリだと、仕掛けが前後左右の釣り人と絡んでしまうので注意。

 そのほか、電動リールと穂先の間に介して使う延長アダプターや角度チェンジャーがあると、長さや調子を変更できて便利だ。

DSC_6308 オモリにセットする下バリにはハリス付きのオーナー『赤ワカサギ』2 号、『渋りワカサギ袖』の1. 5 号を用意。ハリス長は2~3 ㎝にカット。あまり長すぎると仕掛けに絡んでしまう

DSC_6311 オモリはナス型の1~3号を用意。下バリがセットできるオーナー『満天ワカサギオモリ』は底付近に固まっている状況下で力を発揮

DSC_6318 電動リールはシマノ『ワカサギマチックDDM- T』を使用



DSC_6312 最近発売になったマルキユー『寄せっコ』は集魚効果が高く、食い渋り時などに効果的

DSC_6353 穂先は各種揃えたいが、一気に揃えるのは難しいだろう。最初の1本におすすめなのが、シマノ『ワカサギマチックシステム穂先SH02』

DSC_6363 シマノ『クイック角度チェンジャー』で穂先を下向きに。使用しているのは先調子の穂先だが、それがさらに強調される

DSC_6369 穂先を水平近くまで持ち上げると、胴調子気味になる

DSC_6418 アワセは後方に持ってくるようにすると穂先が曲がらず、ハリに力が加わる

DSC_6592 メインタックル以外で用意しておきたいグッズ。電動リールの替え電池、魚を入れるジップロック、電動リールの落下を防ぐコード、ハサミ。ハサミはサシを切るのに使う必須アイテムであり、最低2つは持っておこう



富士山を愛でながら

DSC_6244 山中湖は富士山を愛でながらサオをだせる絶景フィールドだ


 富士五湖の1つ、山中湖に到着すると、すでに桟橋に接岸されたドーム船内に明かりが灯され、我々を出迎える準備ができていた。受付で料金を支払い、指定された釣り座で準備を開始。目の前に準備された台に電動リールとエサ箱をセット。シマノ『ワカサギマチックDDM.T』の電動リールに、角度チェンジャーを付けてから、穂先は初心者にもお勧めのシマノ『ワカサギマチックシステム穂先S H02』を使った。

 仕掛けは、オーナーばり『時短ワカサギ』1・5号88㎝。この日向かったのは最近よく釣れている長池。山中湖では深いポイントになる。12月上旬の山中湖はターンオーバーも終わり、水質も水温も安定し始め、中層に群れていた当歳魚も底付近にまとまりだしたとのことで、期待充分だ。水深13mと聞き、サオとの相性も考えてオモリは1・5号を選択。

用意するエサと付け方

 シロサシ、ベニサシがあればOK。両者は着色してあるかの違いだが、渋くなった時や、天候によって変えることで、アタリが出始めることも多い。
 エサの付け方は、チョン掛けしてからハサミで半分に切る。内容物を出すことで、集魚効果が期待できる。エサ交換をこまめにかつ手際よく行なえると釣果アップにつながる。1日1袋を使い切れるようになると、いつしか束超えを体験できるだろう。

kakomi02_DSC_6294 半分に切って、体液を出して魚を誘う

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kakomi02_DSC_6563 エサはシロサシ、ベニサシを用意したい

 この湖の定番といわれるベニサシをハリに付けてから、ハサミで半切りにした。ポイント到着後、合図を待ってから釣りを開始。スプールをフリーにすると、仕掛けは湖底をめがけて落下。穂先が水平になったら着底した合図だ。

 5㎝ほど巻き上げてから、ライン止メにミチイトを引っかけて固定。半切りにしたエサが水中を漂うように、一度大きく煽ってから停止。2~3回小さく穂先を10㎝ほど上下させてから、台座に電動リールを置いて、仕掛けが静かに漂う時間を作る。2~3秒したら同様の動作を繰り返す。

 エサ交換直後の誘いは大きめに、次は小さめの誘い。この動作を繰り返していると、穂先がピクッと反応。アワセは穂先がやや真っすぐになるようにし、後方(肩)へ引っ張る感じで対応する。こうすることで、穂先の弾力を奪い、アワセ遅れがなくなるばかりか、ハリがしっかりと刺さる。

 慣れてくると、手の平にかかる重さでハリ掛かりした尾数まで分かるようになってくる。5~10回ほど仕掛けを引き上げたら、釣れていなかったとしても白くなったエサは交換だ。

 釣れない理由の1つに、落下途中でイト止メにひっかかり、ねらったタナまで仕掛けが到達していないことがある。時々、しっかりと底を取れているか、確認することが重要だ。釣れた時はどのハリに掛かっているか確認することも重要だ。上バリが多ければ、群れが上ずっている証拠であり、仕掛けを30㎝ほど上げることもある。

 仕掛けを落としてすぐにアタリが出ることが数回続いたため、いい群れが入ったと判断。1尾掛かってもすぐに引き上げず、頃合いを計ってから合わせて多点掛けをねらった。案の定、多点掛けが連続した。

DSC_6522 アワセを入れたら電動の巻き上げスイッチをオン。「何尾付いているか?」。抜き上げる時はいつも胸が高鳴る

 11時近くになると、活性が悪くなり、アタリが朝方より遠くなってきた。繊細なアタリが多くなってきたため穂先を『SHS 01』に変更。延長アダプターを付けてさらに先調子を演出した。また、角度チェンジャーでサオの角度を変更し、アタリがはっきり現われてアワセの際に、ハリ掛かりする角度を捜した。オモリも1号の軽いものに変更。この作戦が功を奏し、釣果が途切れることなく釣れ続いた。

DSC_6439 1尾掛かってもすぐに上げない。追い食いを待って連掛けねらい!

DSC_6444 魚を外す時はこんな便利グッズがあると、簡単であり素早くできる。手返しアップにつながり釣果も伸びる


 アタリが少なくなった時は、仕掛けの中間か、上部に市販のブドウムシを半切りにしてセットするとよい。大きく上下させ、内容物を漂わせる。最近ではマルキユー「寄せっコ」という集魚効果のあるものも発売されたので使ってみるとよいだろう。カットしておくだけで、内部のエキスが出て魚を誘う。食い気の少ないワカサギが、突如釣れ出すことが多々あるので、ぜひ試していただきたい。

 ひとたびドーム船に乗れば、周りの釣り人は家族みたいなもの。お互い気持ちよく釣りができるように、初めての方は釣り座の両サイドの方に「慣れないもので迷惑をかけるかもしれません」と一言挨拶をしておくと、親切にいろんなことを教えてもらえる。船長さんも親切である。ドーム船で気軽にワカサギ釣りを始めてはいかがだろうか。

ワカサギアシストグッズ
シマノ『探見丸スマート フィッシュファインダー』

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 スマートファンが魚探になる便利グッズ。振動子を水中に浮かべると自動的にスイッチオン。あらかじめ専用アプリをダウンロードしておいたスマートフォンと接続すれば水中のようすがスマートフォンに映し出される。より戦略的な釣りが展開できるだろう



kakomi01_DSC_6545 水に浮かべると自動的にスイッチが入る。赤いランプが灯ればスイッチが入った証

kakomi01_DSC_6347 底付近にワカサギの群れが見える。「群れが来ているので、1尾釣れても、少し待ち多点掛けに持ち込む」といった戦略を展開することも可能

DSC_6590 半日で200尾の釣果に井上さんもにっこり

エリアマップ
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交通●中央自動車道から東富士五湖道路に入り山中湖ICで降り、山中湖へ
問合先●旭日丘観光(℡0555・62・3059)、入漁料金=600円、ドーム船料金=大人(中学生以上)4000円、子ども(5歳以上)3500円

2016/12/8

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