和歌山を拠点に25年近くエギングをやり込み、近年は日本海側や九州など全国各地でもサオをだす笠松仁さん。2026年春は島根・福井・山口と日本海を精力的に釣り歩き、いずれの釣行でも好釣果を収めた。地元・和歌山の海の変化と日本海の釣れ方の違い、カラー選択の本質的な考え方まで、この秋役立つエギングの考え方を率直に語ってもらった。

解説と写真◎笠松仁
和歌山県在住。南紀をホームグラウンドとし、シーズンに応じたソルトゲームをやり込んでいる。エギング歴は25年。
目次
和歌山のエギングで最初に見るのは水温。潮と地形の変化が重なる場所を探す
僕にとって和歌山は、時期に合わせてエリアを変えれば一年を通じてアオリイカをねらえる場所です。地元の人たちが釣果を発信してきたことで聖地の印象が強くなっていますが、初めて来た人には決して簡単ではない海だとも思います。長く通い込んでいる人に釣果が集中しがちで、20人が立てる磯で、釣れるのは3人だけということも普通にあります。
その和歌山で釣果を出すには、季節によるエリアの選択、水温、潮、地形を考え続ける必要があります。だから、和歌山で身につけた基本はほかの地域でも通用します。近年は和歌山だけでなく、日本海側や九州エリアでも釣りをさせていただく機会が多くあるのですが、和歌山で積み重ねてきた考え方で釣果を出せています。
僕が最初に見るのは水温です。アオリイカが動きやすい水温(16~20℃)、その条件を満たしたうえで、地形や潮の変化が2つほど重なる場所を探します。
黒潮大蛇行の数年間は、実績ポイントでも空振りに
僕が20年ほど釣ってきた和歌山の海では、「このポイントならこういう潮の変化があればチャンス」という経験則をそれぞれの実績ポイントで持っていたのですが、黒潮が大蛇行していた数年間は、そういう潮が来ても空振りになることが多かったんです。全体的には和歌山の西側が不調になり、東側や三重側がよくなる傾向がありました。
大蛇行が終わり、今後は以前に実績があった場所へ少しずつ釣果が戻ると考えています。青物は潮の変化に素早く反応しますが、アオリイカには藻場の生育なども関係します。そのため、環境がなじむまでには時間がかかると思います。
ただ、当たり年と外れ年の法則みたいなものは見えてきていて、自分の経験から言うと、秋イカシーズンが始まる1ヵ月ほど前、7月から8月にかけて災害級の台風が直撃した年は、秋も春も不調になる傾向があります。
和歌山で気になっているのは藻場の変化です。海藻類の生育には冬にしっかり水温が下がることが大事だと漁師さんにも聞いたのですが、温暖化の影響で平均水温が上がり、冬場に水温が下がりきらない年が続いています。
日本海は潮が動いた瞬間に反応する。岬とワンドが重なる場所をねらう
2026年春は島根と福井、6月には山口へ行きました。撮影や大会で日程の決まった釣行でしたが、どの場所でも数が出ました。2025年から日本海は好調という話が聞かれていましたが、僕もそれを実感したのは、潮が動いたタイミングで確実に反応があったからです。チャンスタイムに素直に反応があるのは、そのエリアにストックされているイカが多い証拠だと考えています。
和歌山のイカと日本海のイカでエギへのアタックの仕方が違うかというと、それはあまり感じません。アオリイカはアオリイカです。ただ、釣れ方の背景にある潮の動き方が全く違います。和歌山は地形的な影響で潮が動き続けるエリアが多いのに対して、日本海の潮が動く瞬間というのは、アングラーが体感できるほどはっきりした起爆剤的な変化として現われます。
日本海では藻場が広いため、藻の有無に加えて地形と潮の要素も重ねて場所を絞ります。たとえば、外の潮が当たる岬に、奥行きのあるワンドが組み合わさったような場所が有望です。2本の岬が張り出したクワガタのアゴ状の地形もいいですね。外を通るイカと、ワンド内で足を止めるイカの両方をねらえ、内側の潮が動けば活性が上がります。磯なら先端より少し手前を選ぶことも多いです。先端に当たった潮がつくる反転流やヨレにベイトが絡むからです。
状況変化を捉えやすいエギ「ドロー4」
全国各地を釣るようになっても、愛用しているエギは相変わらずドロー4(カルティバ)です。
ドロー4はひと言で表わすとマニュアルエギだと思っています。自分がアクションを入力した通りに動く。シャクった後のフォールを例に挙げると、エギが頂点まで上がりきってからフォールに移行するかどうかで、落とせる距離が変わります。バランスの悪い設計だと、頂点に達する前に鼻先の重さで水中へ突き刺さるように入ってしまうのに対して、ドロー4は最頂点からきれいに落とせます。フォールの時間を長く取れるということです。
もうひとつ、潮の受け方が伝わりやすい。前面の形状が潮を受けやすい設計になっていて、フォール中でもシャクりながらでも、潮の変化がタックルを通してダイレクトに伝わってきます。潮の流れとそれがない場所の境目、流れが急に反転するところ、そうした変化を早く捉えることが、イカのいる場所を絞り込む精度に直結しています。
エギングは不要な情報をどんどん削ぎ落として、必要な要素を絞り込んでイカに近づいていく釣りだと思っています。そのためには情報量の多いエギが武器になります。
サイズ→カラー→フォールのエギローテで反応を見る
そのエギが効いているかどうかを判断するには、やはり秋のサイトフィッシングがわかりやすいです。秋のサイトをやり込んでおくことで、エギを変えたらイカの反応が変わったという記憶が積み上がります。そのローテーションの記憶をそのまま春に持ち込みます。
操作方法(アクション)の解説は別の機会に譲りますが、エギのローテーションに絞って例を挙げてみます。今のエギで反応はあるけど抱ききらないというイカに対しては、カラーの前にまずサイズを変えます。サイズを落としたら素直なイカはすぐ抱きます。それでダメならカラーをナチュラルなものへ。それでもダメならフォール速度の遅いものへチェンジします。ゆっくり見せることでイカも抱きやすくなる分、次の一手が通用しにくくなりますから、(1)サイズ、(2)カラー、(3)フォールスピードという順番を間違わないように。そこまでやって抱かないイカには、それ以上時間を使わずに移動します。
それぞれのタイミングで反応が返ってくれば変えた要素が効いたと判断できますから、そういった経験を積むことでローテーションのイメージができてきます。その感覚は、ブラインドでねらう春イカにもそのまま生かせます。だから秋のサイトをやり込むことはエギングの上達に欠かせないんです。
カラーは下地で選ぶ。全国で釣れるのはUVのブルー系とパープル系
カラーについてよく聞かれるんですが、どのカラーでもアオリイカはエギ全体が見えていると思っています。多少見やすいか見にくいかのニュアンスだと捉えています。
それよりもフォールの質とか、潮の感じ方とか、探っているポイントにイカが本当にいるのかどうかという判断のほうが圧倒的に重要です。ただ、カラー選択がまったく関係ないとは言いません。澄み潮のときほど全体的に色の薄いもの、クリア系を選ぶ傾向があります。濁りが強いときはシルエットが出るもの、光を透過しないベースカラーのエギを使います。グローも夜より日中の濁りが強い場面で使うことのほうが多いです。
大事なのは背面の色より下地のボディーカラーで、潮の色に近いものを持っているエギのなかから選ぶというのが基本的な考え方です。
全国どこでも釣れたカラーには共通点
インスタグラムで全国各地どこでも釣れると紹介した67番「ピンキーベイト/UVゴースト」と54番「ピンククリア/UVブルー」については、2026年春の日本海遠征を経て確信が深まりました。UVのブルー系やパープル系というのは、日中の釣りでどこに行っても強いです。クリア気味で光の透過性があって、アピール度が強すぎない。フラッシング系の派手なエギと比べると、むしろナチュラルな存在感というか、イカに対して刺激が少ない分、嫌がられにくいのかもしれません。理由をイカ目線で言い切ることは正直できませんが、25年近くエギングをやってきた中で、結果が出続けているのは間違いないです。
秋はエギングの上達のチャンスですから、カラーで迷いがちな人は、これらのカラーや考え方をベースにローテーションを組み立ててみてください。
※このページは『つり人 2026年11月号』に掲載した記事を再編集したものです。

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