エギングの永遠のテーマでもあるカラー。この月の高さなら、この潮色なら、このベイトならこの色のエギ。そんな方程式があるようにも思えるディープな世界。ベテランアングラーに色々と質問をぶつけてみた。
エギングの永遠のテーマでもあるカラー。この月の高さなら、この潮色なら、このベイトならこの色のエギ。そんな方程式があるようにも思えるディープな世界。ベテランアングラーに色々と質問をぶつけてみた。
回答◎笠松 仁(cultiva Draw4 テスター)写真◎藤原武史(笠松さん以外)
色々知りたいエギのこと
エギングの永遠のテーマでもあるカラー。この月の高さなら、この潮色なら、このベイトならこの色のエギ。そんな方程式があるようにも思えるディープな世界。ベテランアングラーに色々と質問をぶつけてみた。
今回、すべての質問に回答してくれた笠松仁さん。和歌山県南紀をホームグラウンドにエギングをメインに多彩なライトゲームに精通するマルチアングラー。通称・JIN ちゃん、ひとっさん
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Q1.エギとはどのような釣り具でしょうか?
「餌木からエギへ。しかし本質は変わらず」
「餌木」は江戸時代が起源とされる日本古来の擬似餌です。餌木を使ったアオリイカ釣りは特に薩摩の武士たちの格好の遊びとして人気を博したことで、細部にわたり改良が加えられ発展したとも言われています。様々な資料を見ても、それは餌木と分かるものばかりであり、烏賊を釣る道具として成熟を極めた物であると考えられています。
木製の餌木に比べて現代のプラスチック製の「エギ」は材質や見た目のシャープさは変わるものの、一定層を引くアプローチで抱かせる、シャクリ上げで誘い、沈降時や底での待機時に抱かせるといった点は何ら変わらないと言えます。私が愛用するDraw4シリーズに共通しているのは、アングラーの入力に対して素直な動きを見せてくれること、潮受けがよいため水中の変化を捉えやすいこと、様々なアクションが自身のさじ加減で演出できること。車で例えるなら「MT車」といった印象で意のままに操り攻めの展開をできるエギです。
Draw4 シリーズのラインナップはノーマルの2.5、3、3.5 号。このほか、深場でのエギングを容易にするディープ、スローフォールするタイブレーカー、大型モンスタースペックのモンスターザライドの4 タイプをラインナップ。このほかオモリグやイカメタルのドロッパー用であるストロングポイントもある。
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Q2.Draw4シリーズには全何色ありますか。また、それほど多くのカラーバリエーションが必要なのですか?
「十人十色ならぬ百イカ百色。色や柄ごとに反応が異なります」
現在のDraw4は2024年の新色3色を加えると全69色ありますが、モンスターザライドやタイブレーカーなど全シリーズのカラーを合わせると100色を超えます。
イカ類の中でも特に大きな目を持つアオリイカは、昨今の研究の結果から視力は0.6程度(イカ類の中では非常によい)ながら色覚は持たないと言われています。ならば色は関係ないのかといえば、そんなことはなく、実際に現場においても同サイズのエギでカラーや柄を変えてやるだけで反応が全く変わることは私だけでなく多くのエギンガーが幾度となく体験してきているはずです。
これはつまり色のない世界で目の力に頼ってターゲットを見ているということ。だからこそカラーや柄や素材が変わることによるコントラストの違いで見せ方を変えイカにエギをプレゼンテーションしているという考え方です。
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Q3.エギの下地にはどんな種類があり、一般的にどのような使い分け方がおすすめですか?
「ざっくり言えば日中ならクリア系、ナイトはライト系」
エギの多くは二重構造になっていて、ベースとなるのが下地あるいはテープといわれる部分です。Draw4シリーズで言えば、クリア系かボディーに塗装が施されたものかに大別されます。塗装はゴールド、レッド、グローなどのほかマジックミラー効果のあるトリック加工やUV加工が施したものもあります。
分かりやすい使い分けとして、日中はクリア系ボディー、ナイトはボディーにしっかりと塗装が施された透けないマットカラーのボディーを基本軸に、水質や光量などその日の状況に応じてカラーローテーションしています。
夜はボディーが透けるクリア系よりもマット系が効く
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Q4.エギの上地にはどんな種類があり、一般的にどのような使い分け方がおすすめですか?
「下地を活かす上地かフィルターをかける上地かを考えます」
Draw4シリーズで言えば、基本的に目の細かな布地と目の粗い化繊のネットに二分されます。それぞれに吸水率の違いはあるものの使用する上でアクションやフォール速度の違いを気にするほどのものではありません。
下地カラーを活かす目の粗い化繊ネットなのか、下地にフィルターをかけたうえで上地カラーとのコントラストを演出する目の細かい布地なのかという視点でエギのカラーを考えてみることをおすすめします。また、上地の色も重要ですし、色と同じくらい重要な柄が施されているのが上地です。
よく見ると上地の化繊ネットの目の粗さが大きく違う。目が粗いほど下地カラーを活かされ、目が細かいほど下地にフィルターがかかり上地カラーとのコントラストを演出できる
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Q5.Draw4スペシャルサイトではシチュエーション別(日中、マヅメ・ナイト、澄み潮、濁り潮、高活性、低活性、シャロー、晴天、曇天、月夜、夏イカパターン、春イカパターン、秋イカパターン、ウイードエリア、岬)のおすすめカラーが検索できますが、笠松さんも同じ考えでしょうか。共通点と違う点があればそれぞれ教えてください。
「色を導く方程式はほぼ同じ考え方です」
上記のサイトと基本的な考えは同じですが、少し違う点で言えば、シャロー帯においてはサイトに持ち込むことが多いため、自身が見やすい視認性の高いエギを選びます。エギの視認性が高ければ早期にイカの追尾を確認できるため、自身から遠い段階でアクションに対するイカの反応を確認できますので、藻場などに乗っ込んできたナーバスなイカをなるべく少ないキャスト数で抱かせに持ち込みやすいです。
Q6.日中、朝夕マヅメ、夜では効く色は変わってきますか?
「光量によってエギの見え方は変わります」
エギの色選びの基本は光量です。光量が減るにつれて、イカに見つけてもらいやすいようシルエットがよく出る下地、つまり、クリア系ボディーではないエギを選ぶようにしていくのがセオリーになります。あとは光量以外の要素である潮色や活性に応じて自分なりの方程式を組み立てていくのがエギングの楽しみです。
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Q7.高水温期と低水温期で効く色は変わってきますか?
「傾向はあれど万能色もあります」
個人的には水温よりは当日の水質や光量を重要視して色を選んでいます。ただし、水温の違いで水中のプランクトンの量が変わり、澄み潮=不純物が少ない、プランクトンが少ない。濁り潮=不純物が多い、プランクトンが多いというふうに実際は関連していると思います。澄み潮の時は水質に対してコントラストの弱いカラー、濁りの際は逆にコントラストの強いカラーやグローを活用します。視力のよいイカから見やすい状況下ではあえて見えにくく、濁りなどで見えにくい状況下では見つけてもらいやすいようコントラストを意識してカラーを選びます。
ちなみにDraw4スペシャルサイトでは、澄み潮に効くベースカラーはシルバーホロ、マーブル、ゴールド、濁り潮に効くベースカラーはレッド、マーブル、グロー、ゴールドなどが多く、さらに適した上地が選択されています。傾向は見て取れますが、実際にはオールラウンダーも多く、Draw4スペシャルサイトでも72ピンク杉/ゴールド、73オレンジ杉/ゴールド、83ゴーストベイト/トリックGグロー、84ゴーストシュリンプ/トリックBグローの4色は、夏イカ、春イカ、秋イカ、澄み潮、濁り潮のすべてに効くカラーとされています。ただし、83ゴーストベイト/トリックGグローはマヅメやナイトによいとされ、他の3色は日中がよいという違いがあります。
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Q8.そもそもアオリイカはエギをナニと思って捕食するのでしょうか?
「イカがナニと思っているかはわかりませんが私は猫じゃらしと思って操作しています」
生態から紐解いていくと、目がよく好奇心が強い生き物で、色覚がないとしたうえで、エギは餌ではないと認識しながらも目で見て本能的に反応していると。これを私は猫じゃらし的位置付けと理解しエギングを楽しんでいます。
Q9.さまざまな模様のパターンも釣果に関係しますか?
「柄をガラッと変えましょう」
カラーも重要ですが、私自身は柄によるコントラストの違いを強く意識しています。柄をガラッと変える!ってやつです。親父ギャグと思われそうですが、見え方が全く変わるのでアピールの強弱が変わり、イカの反応も大きく変わります。実際、柄を変えることで吉と出ることが経験上多いです。
イカからの見え方の違いやコントラストを意識して全く性質の異なるカラーや柄のエギを使う
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Q10.釣果を重ねて墨で黒くなったり布が噛まれて破けたエギは使わないほうがいいですか?
「私は一度釣ったエギを当日内は使いません」
イカの吐いた墨や粘液には危険信号となる成分があると考えているからです。瀬渡しのエギングでは必ず同色の予備エギを持って行き、荷物を少なくしたランガンの際は、車に戻った際に入れ替えます。しっかり真水で洗って汚れを落としてから次の釣行でまた使うようにしています。噛み跡は程度によります(笑)。
Q11.Draw4シリーズの中で特に笠松さんのおすすめのカラーがあれば教えてください。
「ゴースト柄を採用したゴーストシリーズです」
先ほども万能色として登場した83ゴーストベイト/トリックGグロー、84ゴーストシュリンプ/トリックBグローに代表されるゴーストシリーズはカラーを考案する際のコンセプトが「昼夜も潮の清濁も問わない幅広いオールラウンダー」でした。紫外線発光するゴースト柄は、光量により背、側面、腹と見る角度を変えてやるだけで、それぞれ別の色彩に変幻し視覚優位のイカの興味を引き続けます。
このように個人的なおすすめカラーは存在しますが、ユーザーさんから「どのカラーが一番釣れますか?」と質問された際は逆に質問します。「今までどのカラーが一番釣れましたか?」と。カラーも重要ではありますが、釣果に結びつける上でカラーと同じくらい重要なことは状況に応じたアプローチや一つ一つの丁寧な所作です。投げているエギに不安や疑念があると釣りが雑になってしまいます。釣れた経験の多いエギ=釣れるエギ、釣れた経験の多いカラー=釣れるカラーという考えでいいと思います。
エギングは深く考えなくても釣れる釣りです。でも、深く考えるとさらに釣れる釣りです。ロッド、リール、ラインの先にはエギというシンプルな構造だからこそ釣果に差が出やすく、その奥深い部分のひとつがエギの色ですが、決してすべてではありません。釣果を伸ばすために一番大切なことはターゲットについてよく知ること。特性を理解したうえでアプローチを組み立てていくことが「釣りの進化」であり「遊びとしての深化」だと思います。
大型がねらえる春シーズンも楽しいが、秋の数釣りシーズンも非常に楽しい。色々と考えてやるほうがもっと楽しい!
Draw4シリーズを使うなら下記のアクションを使おう
① 3D ダート
シャクリやジャークに対してエギの前方向への移動を極力押さえ、横のダートに縦の動きを合わせた立体的な動き。
②フラッシュジャンプ
素早い2 段ジャークによる真上への急浮上でイカの視界からエギが消え去るようなアクション。
③ホバリングスライド
フォール時にラインテンションをかけてやることで潮受けのいいボディーがレンジをキープしながら安定したフォールを演出。
④バンジーフォール
フォール時にテンションを抜いてやることでエギが急降下をし、見切りそうになっているイカに対しアクセントとなるアクションでスイッチを入れる攻めのフォール。
※このページは『つり人 2024年11月号』を再編集したものです。