アタリが分からない、釣果が伸びない…。そんなティップランエギングの悩みを解決!相模湾をホームとする野呂昌明さんが、エギの姿勢を安定させるステイの極意や、ライン角度の秘密など「釣れる5つの絶対条件」を公開。ピーカン・無風・澄み潮という絶望的な状況下で、キロアップを引きずり出した戦略とは?

解説◎野呂昌明(のろ・まさあき)
神奈川から伊豆半島をメインのホームグラウンドに据え、多種多様なターゲットを追い求めるエキスパート。ティップランエギングにおいても、ロッドの監修などを行う第一人者のひとり。
目次
- ティップランエギングのベストシーズンは?
- 秋の新子シーズンから深場へ移動する冬イカへの変化
- ティップラン専用ロッドとリールの選び方
- ショートからロングまで!ロッドの長さ(レングス)による使い分け
- リールはローギア推奨
- ラインはPE0.6号
- ティップランエギングに使うエギ
- 「ダートマックスTRZ」に注目
- 天候や水色に合わせたエギのカラーローテーション術
- アオリイカの釣果を劇的にアップさせる「基本の五ヵ条」
- エギの重さの選択
- 1.フォール中のフェザリングは絶対に行なう
- 2.ステイ中はロッドを動かさず船の揺れを吸収する
- 3.静止中のライン角度は「100度」を維持する
- 4.10秒間ステイさせてアタリがなくてもそのまま誘い上げない
- 5.エギのカンナは常に清潔に保ち見切られを防ぐ
- 悪条件の相模湾でキロアップを叩き出した戦略
- ピーカン・無風・澄み潮の五重苦を打破したロングロッドの恩恵
ティップランエギングのベストシーズンは?
日本全国津々浦々で楽しまれているティップランエギングだが今シーズンは当たり年と言われている。ベストシーズンはエリアによって大きく異なるが、私のホームグランドである相模湾や東京湾では9月下旬~11月下旬までが新子の数釣りが楽しめる秋イカシーズン。ねらう水深は10~20mで入門にも最適だ。
秋の新子シーズンから深場へ移動する冬イカへの変化
そして12月以降、気温、水温ともに低下して潮の透明度が増してくるとアオリイカも水温の安定する深場へ移動するため、ねらう水深も30~50mと深くなる。1~2kgクラスの良型がねらえる冬イカシーズンであり、この状態は産卵を意識した親イカが一気にシャローに差してくる春イカシーズンが開幕するまで続く。
ティップラン専用ロッドとリールの選び方
ロッドは、ティップ部の配色にこだわり、ティップ部の変化を即座に視覚で捉えられる専用タイプがよい。水深や潮流によってはシンカー込みで100g近い重さのエギをシャクるため強靭なバットパワーが必要だ。逆に、風の弱い日にはエギを20g程度まで軽くするので、これらを両立できるロッドが必要である。
ショートからロングまで!ロッドの長さ(レングス)による使い分け
長さは5ft台の短尺、6ft台の中尺、7ft台の長尺の3種類を揃えるのがベストだ。同船する周りのアングラーと同じ長さのロッドでは周囲と差が生まれず、同じ動きをするエギは埋没しがちなためである。特に長尺のロッドはエギの動きもワイドになり、アピール力も長ける。
ロッド: SKUAD SKS78M TIP-RUN WIDE DART SPECIAL / リール:2500番クラス(ギア比5.8:1)
ロッド:SKUAD SKS68M TIP-RUN MIDDLE DART SPECIAL / リール:2500番クラス(ギア比5.1:1)
ロッド:SKUAD SKS58L TIP-RUN TIGHT DART SPECIAL / リール:2500番クラス(ギア比5.1:1)
リールはローギア推奨
リールはPEラインの0.6号が100m以上巻けるスピニングの2500~3000番でなるべく軽量なもの。5.1:1~5.3:1程度のローギアを推奨する理由は、ハイギアのリールだとラインの巻き取り量が多くラインが張った状態になってしまいエギのダートする動きを抑制してしまうためだ。また、エギをステイさせる瞬間にもラインを巻き過ぎて、止める寸前のエギに余計な動きが伝わってしまう。
ラインはPE0.6号
PEラインは0.6号より細いと根掛かり時の回収率が低減し、フッキング時の高切れも発生しやすい。逆にこれより太いと水圧や潮流の影響を受けやすくなり、エギが着底した感覚がつかみにくくなり、ステイ中のエギの姿勢も安定させにくくなるデメリットがあるので、0.6号が一番フィットしている。ラインマーカーがあるとより視認性が増す。リーダーはフロロカーボン10を1ヒロ半にしている。
メインライン:アバニエギングマックスパワーPEX9の0.6号
リーダー:アバニエギングプレミアムショックリーダー10Lbを1ヒロ半
ティップランエギングに使うエギ
オカッパリのエギの自重は20gほどと軽く、浮力を活かしたスローフォール中にアオリイカのバイトを取るが、ティップランエギング用のエギは30~40gが基本自重で、フロントヘビーに設計され、ファストフォールと静止中のバランスが命となる。
「ダートマックスTRZ」に注目
その中でも高い人気を博しているのが、Fish League / ダートマックスTRシリーズ。フォールスピード、ダートアクション、姿勢、イカが触れたら離さない布地、ショートバイトも逃さず掛けるビッグカンナが人気の理由で私も愛用者の一人としてストレスを感じたことがなかったが、アシストシンカー装着時の使用感に磨きをかけたのが新登場のダートマックスTRZ3.5号である。
ボディー素材やヘッド形状の改良などのマイナーチェンジが行なわれているが、見た目での変化はバランスを取るためのフロントの羽根がエラストマー素材に変更されたこと。これによりしっかりと水噛みをしてフォール中のスパイラルを抑制し、ピタッと止まるメリハリのあるアクションを演出。静止中のバランス保持もより完璧なものになった。
天候や水色に合わせたエギのカラーローテーション術
TRもTRZもサイズは3.5号、ウエイトは30gと40gの2種類(TRZは今後3号の30g、40gもリリース予定)。カラーは圧倒的にパープル系が大人気だ。私自身もパープルは万能カラーとし、晴れ、澄み潮はナチュラル系を選択。ボディーベースは赤テープやマーブル、背色はグリーンやオリーブ系がセオリー。ローライト時はシルバーやグローのボディーベースに背色はオレンジやピンクが効果的。晴れて濁っていればボディーベースはゴールドにオレンジやピンクが効く。
アオリイカの釣果を劇的にアップさせる「基本の五ヵ条」
船は基本的に風まかせで流しながら広範囲を探るドテラ流し。釣り人は風上(無風や微風のときは潮上)側の片舷に並んでエギを足もとに落とし、着底したら3~5回程度シャクってアクションをつけ、10秒間静止させる。アタリがなければまたエギを着底させ、これを2~3セット繰り返したら、一旦エギを回収して足もとから投入する。
アタリの9割はエギを静止した瞬間から3秒以内にある。残りの7秒は止めたエギを船の流れと一緒に移動させるための時間である。
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エギの重さの選択
エギの重さの選択の目安は「重さ=水深」で、30mの水深なら30gが基本だが、船の流れる速度も加味し、「重さ=水深+10g」を目安とするのがおすすめ。まずはしっかり底取りできる一番軽い重さから始めて微調整する。
アオリイカからのアタリは「ツンッ」とティップが引き込まれる、「フワッ」とティップが戻される、「モゾモゾ」と感じるなどが代表的。このシグナルを視覚や手感度で察知したら、すかさず鋭くフッキングさせる。
1.フォール中のフェザリングは絶対に行なう
ラインを弛ませながらのフォールは着底の瞬間が解りにくいため、フォール中はしっかりとフェザリングし、着底と同時にアクションをつけよう。
アオリイカはエギをフォール中から追いかけているため、着底した瞬間に素早くエギをアクションさせることが大事なのである。
2.ステイ中はロッドを動かさず船の揺れを吸収する
ステイ中のエギの静止状態が完璧であるほどアオリイカの反応はよくなる。船の揺れに干渉されてロッドティップを上下させると水中のエギも上下してしまい、アオリイカは警戒してエギに手を伸ばさなくなる。船の揺れが大きい時は長めのレングスのロッドを使用することで揺れを吸収できることを覚えておこう。
3.静止中のライン角度は「100度」を維持する
私の経験上ではロッドのトップガイドから出ているラインの角度が100度くらいを維持できる状態は一番アタリが出ると思っている。この角度のときが水中のエギが一番いいバランスで静止しているからだと推測する。
4.10秒間ステイさせてアタリがなくてもそのまま誘い上げない
着底後エギを3~5回シャクり上げ、10秒ステイしてもアタリがないとき、そこから誘い上げたり、そのままステイを延長したくなるが、それをやると釣果は激減する。
5.エギのカンナは常に清潔に保ち見切られを防ぐ
特に根掛かりしたあとはカンナを必ず確認する。小さな異物でもエギがバランスを崩し、アオリイカに見切られる原因になるので徹底してほしい。
悪条件の相模湾でキロアップを叩き出した戦略
2025年12月10日の取材当日は久留和港の武丸から出船。梶谷船長は自身もティップランエギングのエキスパートであり、いつもノーストレスで釣りに集中させてくれる頼れる船長だ。天気は晴れ、北の風が5m程度吹く予報だったので、ほどよく船が流れるティップラン日和を期待したが……。
釣り座はじゃんけんで決める。この日の乗船は8名定員に対し6名。そこまで釣り座にシビアになる釣りではないが、隣同士の距離が近くなることから、希望の釣り座はミヨシか大ドモだったが、結果はミヨシから2番目に。港で海面を覗くと、くっきりと海底が見える状況。これは沖の水色も透明度が高いことが想定された。
午前6時に出船。夜明け前の少し暗い時間帯から20m前後の水深をねらう。最初に選択したエギはダートマックスTRZ3.5号30g。予報どおりの北風を感じながら、スタートの合図とともにエギを落とし、着底後に5回シャクリ、ステイ10秒間のセットを3回ほど繰り返したが、ラインに角度がつかない。船長から「風と潮がぶつかっちゃって船が動かない」とアナウンス。結局、ヒット率の高いモーニングチャンスに船中1パイのみで、私は不発。今までの経験上、朝の時間帯に釣れない日はその後の展開が非常に厳しくなることが多いのだが、その想定を大きく上回る激シブ状況が続いた。しかも、予報に反して風も止んでしまった。
ピーカン・無風・澄み潮の五重苦を打破したロングロッドの恩恵
ピーカン、無風、無潮流の三重苦に加え、水温が前日よりも上がってしまって澄み潮という五重苦……。
かれこれ3時間以上、誰のエギにも触りもしない厳しい状況に船長が作戦変更。それまでの根周りからマンメイドストラクチャーのロープにつくアオリイカにねらいをシフトした。
するとトモのアングラーにようやく船中2ハイ目のヒット。ややあって私も待望のアタリを捉えた。アワセを入れるとずっしりとした重量感の後にドラグを出す走り。手ごたえからキロアップを確信した。無事にランディングしたのはこの日最大の1.26kgのオスのアオリイカだった。
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この1パイに至るまで、エギの重さを変え、カラーを変え、TRとTRZを使い分けるなど手を尽くした。なかなか突破口を見出せなかったが、落ち着いて船上を見渡すと乗船者6人中4名がダートマックスを使用していた。
この状況で差をつけるための自分の武器はロッドの長さだ。他のアングラーと同じく、私も初めはショートロッドを使用していたが、他のアングラーが使用していない7.8ftのロングロッドに替えた途端のヒットだった。かなりの悪条件下でワンチャンスをモノにできたことは今後の自信につながる。
納竿時間が迫る中、船中ではアオリイカを手にできていないアングラーが2名いた。最後の流しとなり、船上は共に苦しんだ者同志の一体感すら生まれていたが、最後の最後にその2人のロッドが海面に絞り込まれ、この厳しい状況で見事全員安打となったところでタイムアップとなった。船長、流石のひと言に尽きる。
この日のヒットエギはパープル系のカラーに完全に偏っており、内4ハイがダートマックスでのヒットだった。
※このページは『つり人 2026年2月号』に掲載した記事を再編集したものです。
