雪解けを迎えた春の渓。河畔林の足もとや山肌に目を凝らすと、芽吹きを迎えた多くの山菜を見つけられる。なかでも見つけやすく食べやすい、おすすめをピックアップ。
北国に春を告げる味わい
写真と文◎浦壮一郎
雪解けを迎えた春の渓。河畔林の足もとや山肌に目を凝らすと、芽吹きを迎えた多くの山菜を見つけられる。なかでも見つけやすく食べやすい、おすすめをピックアップ。キク科キク亜科フキ属
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:低山帯の田畑付近のあぜ、渓流沿い、陽当たりのよい場所に多い
食べ頃:3~5月(地域や標高による)
渓流釣り解禁当初の東北や北陸。釣り人は残雪がそこかしこに見られる中でサオをだす。木々の芽吹きはもう少し先。周囲を見上げてもまだ本格的な春を感じることはできないが、同じ頃、足もとでいち早く春の訪れを告げるのがフキノトウだ。
雪の多い地域では、残雪の中で淡い黄緑色のつぼみが光る。まだ気温が低い山間部の渓流でも、柔らかなフキノトウが頭を出しているのを見ると、「これから日一日と暖かくなるのだな」と感じさせてくれる。
味覚に関しても、「フキノトウを食べないと春を迎えた気がしない」という釣り人は多い。ほろ苦い味わいはたくさん食べるようなものではないだろうが、スッと花に通る香りと苦みはくせになる。一般的にはまだつぼみが開いていないものが食べ頃とされるが、開いていても充分に食べられる。
定番は天ぷら。アク抜きする必要がないので簡単なうえ、ほんのりと残る苦みが美味しい。アク抜きのための下茹でをしたフキノトウは、酢味噌和えやおひたしもいいし、細かく刻んで味噌汁に入れるだけでも春の味わいが楽しめる。
アク抜きは塩を入れた熱湯で茹でたあと、すぐに冷水にさらすだけ。水を切って冷凍し、使う際に自然解凍させることで長期間その味を楽しむこともできる。
2018/4/5