オールラウンドなルアーロッドである「ブルーカレントⅢ」ならさまざまな釣りをワンタックルで楽しむことができる。今回は尺アジとホタルイカを求めて富山湾を探検した。
オールラウンドなルアーロッドである「ブルーカレントⅢ」ならさまざまな釣りをワンタックルで楽しむことができる。今回は尺アジとホタルイカを求めて富山湾を探検した。
写真と文◎編集部
尺アジを釣ってみたい!
4月某日のつり人編集部。完成した月刊つり人5月号を読んでいたトガワは富山湾のホタルイカパターンの記事を見て驚愕した。記事内の釣れっぷりは未だ尺アジを釣ったことがないトガワにとって夢のような釣果だ。その記事を担当していたナガシマに話を聞いてみるとシーズンは5月いっぱいまで続くらしい。
「もちろんアジも釣れるけど、今年はホタルイカの大群が海岸に押し寄せてきているっぽいから前回ガイドしてくれた廣野好昭さんに詳しく聞いてみようか」
廣野さんは富山県在住のロコアングラー。ソルトルアーや渓流釣りなどマルチに富山の釣り物を楽しんでいる。シーズンになると毎日のように海岸に通い、ホタルイカパターンで釣れるポイントを探しているという。ホタルイカが最も湧きやすいのは新月大潮という条件下だが、海岸にたくさん打ち上げられているとエサが多すぎて釣果が渋くなると廣野さん。ホタルイカの接岸は深夜からであるため、夕マヅメから湧き始めくらいまでが尺アジねらいの勝負時になりそうだと教えてくれた。
「今年のホタルイカはまれに見る豊漁らしいよ。いやー、楽しみだな! 尺アジもたくさん釣れるといいね!」
と行きの車内でそわそわしているナガシマ。先月号の取材ではホタルイカの身投げは見られなかったためか顔には「魚よりホタルイカ」と書いてあるように見えた。トガワも「僕たちは釣り雑誌の編集部員ですよー」と呟きつつ胸を高鳴らせた。
強いバットパワーがあれば尺アジもゲストも安心
廣野さんがいうには、尺アジの群れはホタルイカが湧くまではシラスなどの小型ベイトを追ってサーフに回遊してくるらしい。ロングキャストを必要とするためフロートリグが好適だそうだ。
「せっかくだからご当地ルアーでも釣りたいよね。地元の釣具店に行けばホタルイカパターン用のプラグが売ってるらしいからさ」
とナガシマ。今回はフロートリグとホタルイカ大(5~10cm)のプラグの使用を想定してタックルを組むことにした。
ナガシマが使用したロッドは「ブルーカレント85/ TZ NANO All-Range」。ヤマガブランクスのライトゲームロッドのフラッグシップモデルであるブルーカレント TZ NANO シリーズの中でも、まさに「なんでも」できるロッドだ。その名のとおりどのレンジにおいても高い感度で状況を把握しやすく、よく曲がり込んで大物の引きでもいなしやすいバットパワーを持ち合わせている。
「ホタルイカパターンだとマダイやクロダイが釣れることもあるらしいからバットパワーが強いと安心だね」
という理由でのチョイスらしい。リールは12ヴァンキッシュC2500(シマノ)、ラインはPE0.5号、リーダーはフロロカーボン8ポンドを使用した。
トガワが使用したロッドは「ブルーカレントⅢ82」。フロートリグやキャロライナリグの遠投、7~9cmのプラグを使用する釣りを得意とするモデル。バイトを弾きにくいしなやかな曲がりが特徴だ。ロックフィッシュを想定したバットパワーも備えているため尺アジの引きはもちろん、大型ゲストにも充分対応できるはずだと踏んで選んだ。リールは20ヴァンフォード2500S(シマノ)、ラインはPE0.6号、リーダーはフロロカーボン6ポンドを組み合わせた。
尺アジの回遊は日没とほぼ同時
まず向かったのは富山県黒部市にある釣具店、フィッシングジョーズ。目的はご当地ルアー探しだ。店内に入ると入口から一番近い棚に「ホタルイカパターン」の文字が。2人とも見た目がホタルイカそっくりなズィークイッド(アグア)シリーズを購入した。ポイントに着いたのは昼過ぎ頃。未知のホタルイカルアーを足もとで泳がせて観察しているうちに時間は過ぎ、夕方になって廣野さんが合流した。
ご当地ホタルイカ型ワームの「ファイヤーフライ」(アグア)を購入
UVライトを照射すると青く光る!!
「最初はフロートリグをメインにして探ってみてください。ホタルイカがちらほら現われたらプラグの出番です」
アドバイスに従い、使用したフロートは飛バッシュ!(ジャングルジム)のLサイズ・ダイビングタイプ。自重は16.1gだ。ジグヘッドは0.5gを使用し、ワームは3インチの前後、クリアカラーのストレートワームを組み合わせた。
沖の回遊ポイントをねらうにはフロートリグが好適だ
「おお!食った!」
最初にロッドを曲げたのはトガワ。太陽が能登半島に顔を隠すかどうかのタイミングで投げ始め、2投目でのヒットだった。じっくりとロッドを曲げ込みながら慎重に寄せる。顔を見せてくれたのは念願の尺オーバーだ。
宙を舞うアジの大きさに驚き。ブルーカレントシリーズのバットパワーで不安なく抜き上げられた
その後も約30分ごとにヒットが続き、ナガシマ、トガワ、と交互にロッドを曲げた。
ナガシマもベイトライクなカラーのストレートワームで尺アジをキャッチした
「群れの規模はそこまで大きくないと思うけど、回遊のタイミングでコンスタントに釣れるね」
とナガシマ。キャスト後に5カウントほど沈め、ときおりシェイクを織り交ぜながら誘う釣り方で計6尾の尺アジをキャッチした。21時ごろになるとちらほらと海面に青い光が見え始めた。
ホタルイカパターン開幕!
海面をライトで照らしてみるとホタルイカがフワフワと漂っているのが見える。さっそくプラグに結び換えてフロートリグで釣れたコースと同じポイントにフルキャストする。
トガワが使用したズィークイッド68はまさにホタルイカと同じくらいのサイズ感
「ホタルイカパターンはルアーをあまり移動させずに放置するのがキモです。着水後に任意のレンジまで沈め、そのまま波に揺れるホタルイカをイメージしてみてください」
と廣野さんのアドバイス。トガワが使用していたのはフローティングタイプなのでリーリングで潜らせてから張らず緩めずのテンションをキープ。ナガシマが使用していたのはスローシンキングタイプだったため、探りたいレンジまでルアーを沈めてからステイさせた。
「よっしゃ!ひったくられた!」
今度はナガシマのロッドが大きくしなる。上がってきたのは立派なメバルだった。
立派!!!
再びプラグにバイトしてきたのはマルタウグイの亜種で日本海側に生息しているジュウサンウグイ。いずれもホタルイカをお腹いっぱい食べているのか、パンパンに太っていた。
爆湧きしているホタルイカをたらふく食べている(?)ジュウサンウグイ
好釣果に喜ぶ僕たちだったが、足もとにはどんどんホタルイカが打ち寄せてきている。
「そろそろホタルイカねらいの人も増えてきたし、ネットに持ち換えますか!」
というワクワクとしたナガシマの声で納竿。フロートリグやプラグなどの多彩なルアーを使い、ワンタックルで計3種類の魚と出会うことができた。
眠気吹き飛ぶホタルイカの祭典
だいぶ夜も更けた時間ではあるが、海岸はホタルイカ掬いをしている人で満員状態。あちらこちらから歓喜の声が聞こえ、自分のヘッドライトを消しても海中のようすが分かるくらいに周囲が照らされていた。トガワの横で網を入れていた大学生3人組は山梨県から、その隣の男性は長野県から足を運んだそう。この時期だけのビッグイベントに参加すべく、県内外から多くの人が集まっているようだ。はじめはまばらだったホタルイカもみるみるうちに増えていき、およそ30cm間隔で海面に漂っているほどの密度に。僕たちもどんどんバケツの中にホタルイカを溜めていく。ものの数すくいでLサイズのジッパー付きビニールがいっぱいになった。
ホタルイカは身の危険を感じると2 本の触腕の先端が青く光る
ホタルイカが増えてくるとアタリも遠のくのでホタルイカ掬い。日中に「筋肉痛なんだよね~」とぼやいていたナガシマは無心で網を振っていた
午前4時過ぎ。10時間近く釣りとホタルイカ掬いをしていたが、あっという間のお祭り騒ぎだった。持ち帰ったアジはタタキや刺身、ホタルイカはボイルや沖漬けなどさまざまな料理で味わった。トガワは念願の尺アジを手にし、ナガシマも3魚種を釣り(ホタルイカも沢山すくえて)大満足だ。富山湾の豊かさを目一杯感じた後、疲れた体を温泉で癒してから帰路についた。
消波ブロックの切れ間から魚やホタルイカが接岸してくる
案内をしてくれた廣野好昭さん。タイミングさえ合えばかなりの量のホタルイカを掬えるという
地元の釣具店、フィッシングジョーズは富山県の釣りに密着した品ぞろえと情報量が魅力
廣野さんもお気に入りのご当地ルアー・「ズィークイッド」(アグア)シリーズ。アジングだけでなくクロダイ、シーバス、ロックフィッシュなどさまざまなスクイッドイーターに効果てきめんだ。プランクトンパターンにも対応したカラーなどの多彩なカラーラインナップも魅力
アジとホタルイカは持ち帰ってさまざまな料理でいただいた
※このページは『つり人 2024年6月号』を再編集したものです。