ジグ単では攻めきれないポイントを釣るためにスプリット、キャロ、フロートとリグのパターンは多いが、 とっさにリグチェンジして沖のシャローをスローに釣るならハードルアーであるプラグにかなうものはない。 そんなプラッギングを実践する丹羽喜嗣さんの基本戦略とノウハウを公開。前編は出し時と動かし方についてご紹介します!
ジグ単を凌駕するプラグという新領域
まとめ◎高崎冬樹
ジグ単では攻めきれないポイントを釣るためにスプリット、キャロ、フロートとリグのパターンは多いが、 とっさにリグチェンジして沖のシャローをスローに釣るならハードルアーであるプラグにかなうものはない。 そんなプラッギングを実践する丹羽喜嗣さんの基本戦略とノウハウを公開。前編は出し時と動かし方についてご紹介します!
この記事は2021年秋に出版された「アジングAnglers!」に掲載したものを再編集しています。
丹羽喜嗣(にわ・よしつぐ)
シマノ・フィールドテスター。ソルトルアー歴20年あまり。ライトゲームからジギングまで、あらゆるジャンルをこなすが、アジングに本腰を入れだして10年以上。広島県在住
こちらの記事は 2021年秋発行のムック本「アジングAnglers!」に掲載されています。ビギナーからベテランまで誰もが楽しめるアジング専門誌。この1冊を読めば最新アジングシーンがまるわかり!コチラからチェック↓↓↓
カタクチにキビナゴ 小イカも好パターン
現在のアジングはジグヘッド単体、いわゆるジグ単が基本にして大定番になっていて、キャロやスプリット、フロートリグを含めてもワーム=すなわちソフトルアーの使用経験しかないアングラーもいるに違いない。
しかし、いかにもルアーらしいルアーといえるハードベイトのプラグが威力を発揮する場面も実は多い……と丹羽喜嗣さんは語る。プラグの釣りに興味はあっても「どんなシチュエーションでプラグが威力を発揮するかが分からない」というのが大多数のアングラーの声だろう。
「アジングが世に広まる以前、たとえばメッキやカマスなどをねらう小さなプラグにマアジがヒットするのは、それほど珍しいことではなかったわけで……」と丹羽さん。そこで、あらためてプラグが威力を発揮するシーンを丹羽さんに整理してもらった。
基本はベイトパターン。シーズンが重要
「ナイトゲームのアジングでプラグが効く場面は基本的にベイトフィッシュパターンなのですが、大きく2パターンあると思います」
まずひとつめが「小魚パターン」だ。アジが捕食しているベイトが小魚である場合はプラグ優位は間違いない。ベイトフィッシュサイズが5〜7㎝。瀬戸内海だとカタクチイワシ、太平洋側だとキビナゴだ。これに加えてもう1つが小イカがベイトの時で、これもプラグの釣りが効力を発揮する。アジが小さなヒイカやミミイカなどを食っているケースだ。
小魚パターンにはプラッギング!
ただし、これらベイトパターンは当然時期が重要である。「鉄板は間違いなく秋から冬場。10月後半から2月ぐらいまでですね」と丹羽さん。中秋から真冬はアジが小魚を意識して動くという。もちろん地域差や小魚の種類で違いはあるが、いずれにしてもベイトの小魚が密集している場面でプラグを使用するのが基本である。
瀬戸内海では春先からイカナゴが回遊する。これも小魚のベイトなのでプラグが効くか? と思うかもしれないがイカナゴに関してはシェイプが近いワームのほうが効果があるのだそう。もしくは同じハードルアーでもメタルジグに軍配が上がるという。
小イカパターンは瀬戸内海と宇和海特有のもので、3〜4月がシーズンなのだそう。イカはヒイカ、ミミイカ、スルメイカとさまざまだが、要するに生まれて時間が経っていないミニサイズの稚イカをアジが食っているのである。イカの見た目からすればクリアなワームがマッチしそうだが、小イカほどのボリュームがあるファットなアジング用ワームは意外と少なく、それよりもプラグのほうが手っ取り早いということだ。
巻きかフォール 釣り方はジグ単と同じ
いずれのパターンにしても釣り方はワーム&ジグ単の釣りと同じでよいと丹羽さんは語る。特別なことをする必要はないそうだ。ジグ単の基本である漂わせ系のただ巻きとフォール系の釣りがそのままプラグにも応用できる。シマノ・ソアレライズショットDIをはじめアジング用プラグはファースト、スローがあるが、ほぼシンキングタイプ。
プラグがジグ単に勝る点はレンジキープ力だろう。ジグ単はシャローに弱いという欠点があるが、プラグならイージーにシャローレンジを引くことができる。
ルアー操作はジグ単の延長。ロッドを立てれば表層もスローに引ける
シマノ・ソアレライズショットDIはI字アクションなのでジグ単と同じようにスーっと素直にスイミングしてくれる。ただ巻きで食わせてもよいし、ストップ&ゴーなどでフォール中に食わせてもかまわない。まったくジグ単と同じ感覚で釣りが可能。ただ巻きで反応が出なくなったらロッドでアクションをつけダートさせてもOK。
特にシャロー。ジグ単で表層近くをゆっくり引くには1〜1.5g と軽いジグヘッドを使う必要があるが、それだと飛距離が出ず遠いポイントは探れない。遠投しようと重いジグヘッドにすると、今度は速く引かないと浅いレンジをトレースできないのでスローな釣りには無理がある。遠投優先で重いジグヘッドを使い、ゆっくりフォールさせて食わせるには、かなりの技量がなければ厳しい。
その点、プラグなら飛距離は出るしゆっくり引いてもレンジキープが容易だし、ロッドを立てて操作すれば表層を引くのも簡単。とにかくシャローねらいでは非常に便利なのだ。
ベイトフィッシュがカタクチイワシでもキビナゴでも釣り方に変わりはない。カタクチイワシとキビナゴがベイトの時は巻きのパターンオンリーでもかまわないとのこと。一方、小イカの場合は、より表層のスロー引きを意識する、もしくはボトムからの斜め引きをするかの二択になる。丹羽さんによればアミパターンに近いという。
プラグに変えて大成功!快釣メモリアル①
ある年の1月、愛媛県・戸島のナイトゲームでのこと。オレンジ色の外灯光で海面に明暗がくっきりできる防波堤。そこにアジが集まり常時ライズが発生する表層パターン。ところがジグ単でねらうとポツポツとしか当たらない。釣れるアジは25~28㎝。
そこで違和感をなくそうとジグヘッドをさらに軽くしてみると、それなりにヒットが続く。問題はライズまでの距離。ジグヘッド1g程度ではまったく届かない。遠投性を重視した重いジグヘッドだと浅いレンジがキープできないし、食い込みのよさを重視して軽いジグヘッドにするとポイントに届きにくく釣りの効率は非常に低下する場面だった。
そこでベイトフィシュは確認できないもののプラグにチェンジ。ここから爆釣が始まったという。プラグは3g。空気抵抗はあるがジグヘッド1gよりはるかによく飛ぶ。また浅いレンジキープも容易だった。
後編に続きます!
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