アジング釣行を繰り返すなかで、ふと感じるアジの生態に関する疑問の数々。そもそもアジって、どんな魚?そんなアングラーたちの疑問を海と魚のスペシャリストにとどけてみました!
アジにまつわる素朴な疑問をスペシャリストに聞きました!前編
まとめ◎ 猪俣博史
質問者: 丹羽喜嗣 広瀬逹樹 橋詰大輔 藤原真一郎
アジング釣行を繰り返すなかで、ふと感じるアジの生態に関する疑問の数々。そもそもアジって、どんな魚?そんなアングラーたちの疑問を海と魚のスペシャリストにとどけてみました!
この記事は2021年秋に出版された「アジングAnglers!」に掲載したものを再編集しています。
回答者:工藤孝浩
神奈川県水産技術センター内水面試験場主任研究員。海や魚に関する書籍やテレビ番組などの監修も数多く手がける海と魚のスペシャリスト
こちらの記事は 2021年秋発行のムック本「アジングAnglers!」に掲載されています。ビギナーからベテランまで誰もが楽しめるアジング専門誌。この1冊を読めば最新アジングシーンがまるわかり!コチラからチェック↓↓↓
目次
Q1.アジには独立した地方系群があると聞いたことがあります。どんな種類がありますか?
日本周辺のアジには、生活圏を異にするいくつかの「系群」が存在します。最も大きいのが対馬暖流系群で、台湾北方の東シナ海から九州西岸を経て富山湾までの広域で産卵し、全国漁獲量の7割強を占めます。次に大きいのが太平洋系群で、東シナ海で産卵するものと九州南岸から相模湾までの太平洋で産卵するものがあり、全国漁獲量の1割強を占めます。そのほか、土佐湾や相模湾などで発生するローカル群も存在します。
Q.2 よく「昔にくらべて アジが釣れなくなった」 という話を聞きますが、全体の量は減っているのですか?
アジの資源量は10〜20年周期で大きく増減します。 1960年に60万tあった全国漁獲量は減少を続け、1981年の12万tで底を打って増加に転じました。その後、1996年の40万tをピークに再び減少に転じ、ここ数年は7万t前後で推移しています。
Q.3 アジのオスとメスは見分けられますか?
オスとメスの割合は1対1ですが、外見から判別することはできません。魚類にはオスメスによって成長速度や寿命が異なる種が多く知られていますが、アジにはそれがありません。したがって、どの大きさをとってもオスとメスの割合は変わりません。また、オスメスによる行動の違いは知られておらず、釣れ方もオスメスで変わらないものと考えられます。
Q4. 釣れる抱卵個体は、冬だったり初夏だったりと、地域によってまちまちの印象ですが、いつ産卵するのですか?
産卵期は南ほど早く、東シナ海や九州西岸では1〜4月、日本海では5〜8月となります。卵や仔稚魚は黒潮と対馬暖流によって沿岸各地へと運ばれて全長5〜8㎝ で着底します。
Q5.アジの成長のスピードは? どれくらい生きるのですか?
成長は系群によって異なりますが、平均すると1歳で17㎝、2歳で23㎝、3歳で27㎝、4歳で31㎝、5歳で34㎝、6歳で35㎝になります。ただし、最新の研究では、25㎝を超えると大きさと年齢は相関しなくなるので、大型だから高齢とは一概にいえなくなりました。1歳魚以上は初夏にエサを求めて北上し、秋冬に越冬と産卵のために南下します。2歳で半数以上が成熟し、寿命は15歳前後と考えられています。
Q6.アジは昼行性? それとも夜行性?
アジは基本的に昼行性で、夜に眠ります。夜にアマモ場などの浅場を潜ると、1歳未満の小アジ(全長15㎝以下)が海底に接地して寝ているようすが観察されます。ライトを当てても接近しても逃げず、熟睡状態です。しかし、成長に伴って眠りは浅く短くなり、やがてマグロ類のように泳ぎながら短時間眠るようになります。そうなると捕食行動の時間が長くなり、夜間にも釣れるようになります。
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