<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=170559842213036&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">
編集部2023年12月21日

【北海道】港用のロックフィッシュロッドを考える

アイナメ 魚種別釣りガイド NorthAnglers

専用ロッドの開発に携わった経験からロックフィッシュ用ロッドの過去、現在、未来について、道内屈指のトーナメンターが解説。港ロック用ロッドの移り変わりには魚影や環境が大いに関係していた!?

専用ロッドの開発に携わった経験からロックフィッシュ用ロッドの過去、現在、未来について、道内屈指のトーナメンターが解説。港ロック用ロッドの移り変わりには魚影や環境が大いに関係していた!?

写真と文◎三上顕太

距離で分けられる

距離で分けられる

◎長さ・パワー・ルアー

現代の港のロックフィッシュ(以下、港ロック)は、①ショートディスタンスの壁際、足もとのリーリング、ハードルアーを駆使した巻き物の釣りと、②ミドルディスタンス(40〜80m)とロングディスタンス(80〜120m)において、フリーリグやビフテキリグなどを駆使した釣りが主流になっている。大きく分けると①②とはいえ、対応ロッドの幅は広く、今ではロックフィッシュに力を入れているメーカーから、バスフィッシングに引けを取らないほど数多くのロッドがリリースされている。

そのスペックを見てみるとショートディスタンスの場合は、スピニングとベイトとも全長7フィート〜7フィート6インチが定番。パワーアクションはスピニングならL〜Mクラス、ベイトならM〜Hクラスになり、ルアーは5〜35gのウエイトを使い分けるのが基本だ。

ミドルディスタンスの場合は、スピニングが主体になり、全長は7フィート3インチ〜8フィート、M〜XHクラス、ルアーウエイトは17.5〜35gが多用される(もちろんベイトタックルにPEラインを入れ、キャスティングでねらうのもアリ)。

最後にロングディスタンスの場合は、全長8〜10フィート、MH〜XHクラスのスピニングが主流になり、ルアーウエイトは24〜56gの使用頻度が高くなる。

 

 

◎テーパーについて

テーパーについては、いわゆる撃ち物系(ビフテキ、テキサス、フリーリグなど)を使用するのであれば、エキストラファーストやファーストが扱いやすい。ただし、ファーストテーパーの曲がる範囲は狭いため、キャスト時はレギュラーよりもクセがある。また、魚を掛けた後のバラシもレギュラーより起きやすいことを理解したうえで選択してほしい。

ビフテキ

s-P076-079-A-03

 

 

一方、巻き物系(スピナーベイト、チャターベイトなど)を使用するのであれば、レギュラー寄りのテーパーが理想的。なぜならロッド全体が曲がることでキャストがしやすく、しっかり曲がることでよりナチュラルなルアーの演出が可能なため。曲がることでバラシ軽減にもつながり、レギュラーは巻き物に特化したテーパーといえるだろう。

スピナーベイト

 

◎グリップは2タイプ

ロッドのグリップに関しては、ショートやミドルディスタンス向けはセパレートタイプを採用しているものが多い。これは進化した現代のリールの軽量化に伴い、取り回しのよさや、軽量化による感度の向上などをふまえたうえでの形状。

対してロングディスタンス向けはキャスティング時、グリップの持ち手位置を選ばないことや、リールと組み合わせたときのバランス(手もとに重心がくることが理想的)を加味し、ストレートタイプのグリップを採用しているものが少なくない。

いずれにしても、「選択できる時代」になった今、しっかりと使用用途に合わせることで、ロッド本来の性能を最大限に引き出すことができる。

 

 

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT

 

ADVERTISEMENT

 

ADVERTISEMENT

 

歴史は語る

◎草創期のタックル

そもそも「ロックフィッシュ」という言葉が浸透し始めたのは2000年前半。当時の私は学生だったが、本格的にロックフィッシュをスタートさせたのがこの頃だった。振り返ると25年近く、ロックフィッシュとともに釣りの道を歩んできた。

釣り方においては「磯ロック」、「ボートロック(船から堤防や磯周りをねらう)」、「港ロック」と細分化されていくが、とくに今回のテーマである港ロックは私自身、最も思い入れのあるジャンル。昔、ロックフィッシュ専用ロッドを出しているメーカーはかなり限られ、バスフィッシング用を流用するアングラーは少なくなかった。私も当初、6フィートのバスロッドを使用していた。

草創期、ロックフィッシュの魚影は近年と比較して数、サイズともによく、足もとの釣りだけでも充分に成立した。そんな背景もあり、当時の港ロックで定番だったスペックはスピニング、ベイトとも6フィートから長くても7フィートクラス。メインラインはフロロカーボンだった。ルアーウエイトはスピニングなら5〜10g、ベイトなら10〜28g。

撃ち物系はテキサスリグほぼ一択、巻き物系はジグヘッドリグのスイミングが一般的。パワーアクションはスピニングならUL〜Mクラス、ベイトならMH〜HまたはEXHクラスが主流だった。

 

 

◎沖を釣る必然性

時代は流れ、ロックフィッシュアングラーの増加に伴い、各アングラーのレベルが上がっていく。そうなると当然のことながら、ロックフィッシュは連日訪れるアングラーからのプレッシャーにより、学習能力が高くなり一筋縄では釣れなくなってくる。

さらにフィールドの環境も変化した。地球温暖化により海水温が上昇し、港周りの釣りは厳しさを増していく。とくに足もとでの釣りは顕著な影響を受け、ロックフィッシュの釣り方は2010年前後に変革期を迎える。よりフレッシュ(スレていない)な魚を求め、足もとの釣りから100m前後までの沖を視野に入れた「遠投スタイル」がブームを巻き起こす。港ロックにおいても遠投でねらう人が急増する。

できるだけ遠投しようと考えた場合、フロロカーボンラインだと限界がある。今でこそPEラインがロックフィッシュでも当たり前になったが、遠投スタイルが台頭してきた頃からPEの進化が著しくなり、各ラインメーカーから実践的なアイテムが続々と投入された。そうして遠投スタイルを後押しすることになる。

 

 

◎転機はベイトフィネス

一方で、ショートディスタンスの釣りはすたれていくが、ベイトリールの進化により転機を迎えた。

従来のベイトリールはスピニングに比べ、10g以下のウエイトは扱いが難しく、港ロックでは軽量リグを使用する際、スピニングを片腕にするアングラーが多かった。今でも繊細さにおいてはスピニングに分があるとはいえ、フロロカーボンにしてもPEにしてもラインは細くせざるを得ず、根周りに潜む大型ロックフィッシュとの駆け引きではラインブレイクのリスクが高くなる。

その点、リールの構造上、ある程度太いラインを使ってもトラブルが起きにくいのがベイトの利点。そのベイトが軽量リグも扱えるようになれば、キャッチできる魚は必然的に増えるのは明らかだ。ベイトフィネス対応リールの普及は、再びショートディスタンスの釣りに光を当て、大いなる可能性を広げる起爆剤になった。

 

 

◎ハードルアーの有効性

ショートディスタンスに潜むロックフィッシュが釣りにくくなり、ロングディスタンスにシフトするアングラーが増えたものの、釣れないことは悪いことばかりではなかった。魚影の多かった時代は、強いルアー(アピール度やサイズの大きいタイプを指す)を使っても、大型ロックフィッシュより先に活性の高い元気な魚がバイトしやすく、大ものに的を絞りにくい面があった。それが、全体的に魚影が少なくなることで、釣れる数は減ったとしても、しっかり魚の特性をとらえることができれば、より高いレベルでの釣り分けが可能になった。

だからこそ、ソフトルアー中心だった港ロックに、スピナーベイトやチャターベイト、クランクベイトといったハードルアーによる攻略パターンが確立したといえる。専用ロッドはソフトルアー、遠投、ハードルアーとジャンルにより求められる要素を含め、この10年で劇的に変わったと感じる。

 

歴史は語る

 

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT

 

ADVERTISEMENT

 

ADVERTISEMENT

 

私の使用ロッド

私の使用ロッド

◎初期〜2010年頃

港ロックの歴史とともに私の使用ロッドを振り返ると、入門時代は6フィート〜6フィート6インチのバス用スピニングで、ソフトルアーをメインに壁際、足もとの釣りを中心に展開していた。2010年以降、スピニング一本での攻略に限界を感じ、ベイトでスピニングの領域をカバーしつつ、大型ロックフィッシュのキャッチ率を上げるための釣りにシフト。

初めて手にしたロックフィッシュ専用ロッドはベイトで、ノリーズ『ロックフィッシュボトムTR78MHC』。ソフトルアーで足もとの釣りだけでなく、ファーストからレギュラーテーパー寄りの特性を活かし、チャターベイトなど巻き物系ルアーの使用頻度も高くなっていく。それまで流用してきたバスロッドの大半はエキストラファーストテーパー。撃ち物系の操作性は抜群でも、巻き物系になるとアタリ弾いてしまうケースが多々あった。

 

 

◎2014年〜現在

2014年以降、ノリーズ・エコギアプロスタッフとして、ロックフィッシュ専用ロッドを使用するようになる。メインロッドは自身がプロデュースしたベイトモデル『ロックフィッシュボトムパワーオーシャンRPO72MHC2』。この1本で7〜14gのビフテキやフリーリグ、そして巻き物系ルアーまでカバーできる。

より繊細な釣りが求められるときはスピニングの出番。フロロカーボンラインを使用する際は、『ロックフィッシュボトムパワーオーシャンRPO610MS2』が相棒。ショートディスタンスでは5〜7gのウエイトを多用する。ミドルディスタンスでPEラインとのセッティングでは『ロックフィッシュボトムパワーオーシャンRPO86XHS2』に持ち替え、17.5〜28gを状況により使い分けている。

私の場合、以前から港ロックはショートディスタンスの釣りが得意。昨今のロングディスタンス時代には反しているのかもしれないが、上記3タックルをメインにして釣りを組み立てている。

今後は数多くのアイテムを選択できるからこそ、たとえ時代に逆行しているとしても感度や軽さの追求のみならず、ロッドとしてのトータルバランスなどを含め、アングラーの納得するモノ作りが大事になると思っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※このページは『North Angler's 2024年1・2月合併号』を再編集したものです。

おすすめ記事

記事検索

  • 検索フィールドが空なので、候補はありません。

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。