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編集部2023年9月22日

夏枯れの室蘭沖堤でアブラコを釣る方法

アイナメ 魚種別釣りガイド NorthAnglers

ロックフィッシュの聖地と呼ばれることもある室蘭沖堤の夏枯れ時の探り方を解説している釣行記です。北外防波堤、南外防波堤など渡れる沖堤の特徴もまとめています。

ロックフィッシュの聖地。夏枯れ時はどう探る?

解説=Takanori Nakagawa

渡れる堤防は南側から以下の5基

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はじめに、渡れる5基の特徴をまとめてみた。訪れる際は参考にしてほしい。

 

【絵鞆防波堤】

全長約400m。外海側にはテトラが積まれ、撃てるのは港内側のみ。東風に弱く、全体に水深は浅め

 

【白防波堤】

全長約150m。外海側にはテトラが積まれて撃てない。北風に強く、先端部の船道にかけて水深がある

 

【赤防波堤】

全長約190m。西側はテトラ帯でねらえるのは東側。荒天に強い。一年を通じて釣果が安定している

 

【南外防波堤】

全長約800m。外側の根もとに消波ブロックが沈んでいて起伏が激しい。魚影は多いが根掛かりに注意

 

【北外防波堤】

全長約1300m。崎守側はシャローで、南に向かって徐々に深くなる。風の影響を受けやすいのが難点

 

 

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実際の釣行記:連日の猛暑を受けて

室蘭沖堤

「いや〜、毎日暑いですね……」そんな挨拶が当たり前になった今夏。熱中症警戒アラートがたびたび発表されるなど、お盆を過ぎても北海道とは思えない高気温が続いている。8月中旬、『ノースアングラーズTV』の撮影のため、室蘭港沖堤でロッドを振った石狩市の甲斐隆之介さんは開口一番、「先々週来た際は、こんなにエゾメバルの反応はなかったのですが……連日の猛暑で一気に夏モードに突入した感じ」と話す。

事前情報ではギリギリ夏枯れに達していないということだったが、数日前に降った大雨で状況が大きく変わってしまったよう。夏枯れとは水温の上昇により、低水温を好む魚が適水温を求めて移動したり、居付きの魚が夏バテしたように食い気がなくなりルアーを追わなくなる現象をいう。もちろん夏でも活発に行動する魚もいるが、低水温を好むアイナメやソイ類の釣果は落ちるのが普通。そんな条件下、アイナメは釣れるのか?

 

 

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使用したタックル

室蘭沖堤

●写真左 ロッド:RV-C66M-LST(ジャッカル)リール:メタニウム MGL(シマノ)ライン:レッドスプール 14lb(ジャッカル)壁際の縦の釣りや、根固めブロック周りなど近距離を探るときに出番。主に7~17.5gのテキサスリグ、ビフテキリグをセットする

写真右 ロッド:B2-S68ML(ジャッカル)リール:ステラ2500S(シマノ)ライン:レッドスプール 7lb(ジャッカル)前出のベイトタックルと同じく壁際の縦の釣りで用いるが、主にベイトよりも軽めの5~10gのテキサスリグをセットしている

《使い分け》 魚の反応が比較的広いレンジでみられ、速めの上方向へのアクションでねらう際はスピニングタックルに手が伸びる。一方、レンジが狭く、縦ストラクチャーなどを絡めないと口を使わないようならベイトタックルに替える

 

 

室蘭沖堤

写真左 ロッド:BRS-S74L-LG(ジャッカル)リール:ルビアス LT 3000S-CXH(ダイワ)ライン:エックスブレイド アップグレードX8 0.6号(YGK)リーダー:レッドスプール 14lbを1ヒロ(ジャッカル)近~中距離をねらうときに手にするスピニング。主に14~21gのビフテキリグをセットし、状況が分からないときのサーチ用として

写真右 ロッド:BRS-S96M-SJ(ジャッカル)リール:セルテート LT 3000-CXH(ダイワ)ライン:UVF ソルティガデュラセンサー8+Si2 0.8号(ダイワ)リーダー:レッドスプール16lbを1.5ヒロ(ジャッカル)遠距離用のタックルで、ルアーウエイト28~56gと幅広い。アクションのスピードを速めるためにもヘビーシンカーを選択することが多い

 

室蘭沖堤

今回使用したワームは、ジャッカルの新商品『ジャグポッド』。ロックフィッシュ専用に開発され、多彩なギミックを搭載。3インチと3.6インチの2サイズ展開。状況に合わせてセレクトしたい

 

室蘭沖堤

ヘッド部分をカットすることでサイズチューンが可能。どちらも0.3インチのサイズダウンができる。ベイトのサイズに合わせたり、食いが浅いときに試してみたい

 

室蘭沖堤

テールの先端部をカットするのもアリ。これによりアクションパワーの調節が可能で、カット前はアピールと食わせを両立するバランスの取れたアクション、カット後は振りの大きなアピール&パワー重視に変わる

 

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スピードを上げるために

室蘭沖堤

午前5時、今回は夏枯れを想定し、沖堤のなかでも水深のある北外防波堤に渡った。ここで降りたのは15人ほど。ハイシーズンに比べると半分以下で、人が少なくラン&ガンしやすいのはグッド。甲斐さんはロングロッドを手にし、35gのビフテキリグにジャッカルのロックフィッシュ専用ニューワーム『ジャグポッド』3.6インチをセットして外海側を探る。

外海側は足もとからブロックが敷き詰められ、沖に向かって傾斜している。その先は砂地に根が点在し、例年なら夏でも速めの動きに好反応を示す大型のアイナメやヒラメがいる。朝イチは潮止まりの時間帯で潮位が低く、広範囲をスピーディーに釣って魚の反応をうかがう作戦。

2週間前は遠投した先にある飛び根周りで良型のアイナメが連発したそうだが、今回釣れるのは小型のエゾメバルばかり。周りも同じような状況で、完全に夏枯れ進行中といった雰囲気。エゾメバルのアタリはキャストごとにあるものの、アイナメからのシグナルはない。

 

室蘭沖堤

壁を探っていたらエゾメバルのヒットが続いた

 

室蘭沖堤

外海側は内海側よりもエゾメバルが多く、ボトムまで落とし込むのに苦労するほどアタリが頻発

 

「夏枯れになると人間がバテるのと同じで、魚も追ってまで食わなくなります。だからといってスピードを落としてスローに誘うと、魚影の多いエゾメバルが先に食ってくる。さらに水温が上がるとフグが多くなり、ワームが食いちぎられてしまいます」

ここでシンカーを42g にアップし、速めの誘いに切り替えてエゾメバルをかわす作戦に変更。が、またしてもエゾメバルのヒットが続く。場所を内海側に移動して足もとの根固めブロック周りを探ってもアイナメより先にエゾメバルが反応する。

「内海側は20mほど先まで被覆ブロックが敷き詰められていて、その境目をねらいます。重めのシンカーを使うのは遠投するためだけでなく、できるだけボトムにシンカーが着いた状態でクイックに動かしたいため。夏枯れ時季は反射的に食わせるアクションが重要。リアクションバイトを誘発できるシンカーウエイトを選択しています」

しかし、その後もエゾメバルのみ。仕方なくタックルを替え、壁際に落とし込むことにした。

使用しているのは2タックル。ワームはどちらも『ジャグポッド』3インチをセットしているが、ベイトタックルはフロロカーボン12ポンド、ビフテキリグ17・5g。スピニングタックルはフロロカーボン7ポンド、テキサスリグ10g。

「リグとラインによりアクションに違いが出ます。ねらうレンジやフォールスピード、それにフォールで食わせるか、誘い上げで食わせるかで使い分けます。私の場合、タイトに壁際を探るときは、スピニングでバレットシンカーを使ったテキサスリグ。ベイトはリアクションバイトを誘発したいときや、壁際の変化のある場所を点で釣りたいときにビフテキリグをセットすることが多いです」

 

 

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快適な居場所はどこか?

室蘭沖堤

水深のある場所をひととおり釣った後、基部側に大きく移動。スピニングのシンカーを14g に替えてスピードを上げてみる。それまで曇り空を考慮してラメ入りカラーを中心に選んでいたが、ブラックフレークのウォーターメロンにチェンジ。途中、シンカーを18gに上げる。が、「今日の感じだと14gのほうがマッチしていそう」と言い、すぐ14gに戻した。

待望のアイナメがヒットしたのは、再び水深のある先端側に戻ったとき。ベイトタックルに持ち替え、壁際をビフテキリグ17.5gで釣った。ヒットレンジは浅く、着水後のフォールでバイト。「小型のサイズは上のレンジで食ってくることが多い」と言い、パターンをつかんで連続ヒットを見せてくれた。「連発したのは漁師さんが壁際でウニ漁を行なったことで、小さなエビやカニが落ち、アイナメの活性が上がったのでは?」と分析する。

太陽が高くなるにしたがい空が晴れ、強い日差しが照りつけてきた。ここで透過系からシルエットのはっきりするカラーに変更。底近くまで沈めるとエゾメバルの猛攻に遭うため、上のレンジを中心に広くねらうと本命のアイナメがヒット。シルエット重視のカラー選択がハマった。カラーは甲斐さんが監修したバンノウメロン。この一尾を釣ったところでストップフィッシング。

室蘭沖堤

室蘭サイズとはいえないものの、壁際で本命のアイナメをゲット。ヒットレンジは浅く、フォール後すぐにバイトしてきた。ビフテキリグ17.5g、ワームは『ジャグポッド』3インチ

 

今回メインに使った『ジャグポッド』の詳細は上の項のとおりだが、さまざまなシチュエーションに対応すべく、ヘッドやテールをカットしてチューニングできるのが特徴。またスナッグレス性を向上させるため、背中のスリットはフックポイントを隠しやすい構造を採用。さらにフックをしっかりホールドしてズレにくいよう、ヘッド形状にも工夫が施されている。

「人間も暑くて動きたくないときクーラーの効いた涼しい部屋を好むように、魚も涼しくて快適な居場所を求めるはず。そうした場所を探すのが釣果を上げるキー」と甲斐さん。

たとえば、壁際の海藻の真下。燦々と太陽が照りつけるなかでも、そこだけ日陰になっているので魚にとって避暑地なのではないか。海藻周りは海藻のない場所に比べ、光合成により酸素量が豊富で過ごしやすいのではないか。よく観察してみると意外なところに釣果につながる要素があるという。そうしたエリアを見つけてリアクションバイトを誘うことが重要なのだ。

この釣り方は魚に判断する時間を与える前に追尾させ、捕食や攻撃を仕掛ける釣り方である。重たいシンカーで〝ドスンドスン〞とアクションさせたり、1ヵ所でしつこく何度もアクションさせたりすると食ってくることがある。とくに夏は効果的だ。みなさまも試してみてほしい。

 

 

 

 

 

 

※このページは『North Angler’s 2023年10月号』を再編集したものです。

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