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編集部2024年6月27日

北海道で発見!デッドサーディン・パターンの威力

魚種別釣りガイド ロックフィッシュ NorthAnglers

昨年から道内各地で起きているマイワシの大量漂着。フィッシュイーターにとっては格好のベイトと考えられるが、生きて泳いでいる魚だけが食われているわけではない……。

昨年から道内各地で起きているマイワシの大量漂着。フィッシュイーターにとっては格好のベイトと考えられるが、生きて泳いでいる魚だけが食われているわけではない……。

流れてきたのは……

4月中旬、毎年釣るのを楽しみにしているビッグなクロソイをねらうため、小野さんは今シーズン初めて小樽沖に浮かんだ。が、去年までとは海の状況が違っていた。余市方面から死んだ大量のマイワシが流れてくるではないか……。

死んだマイワシを観察していると、驚くべき光景が目に飛び込んできた。大型のソイがゆっくりと浮上してきたと思ったら、何とマイワシを丸飲みしたのだ。目視できる範囲ゆえ、水面から2mくらいでの出来事。本来夜行性のソイが日中、表層まで浮いて捕食行動を起こすことすら珍しいかもしれない。昨年12月から全道各地で起きている〝マイワシ騒動〞は、サクラマスやアメマスに限らず、ロックフィッシュにも大きな変化を与えたらしい。

 

流れてきたのは……

砂浜に打ち上げられていた死んだマイワシ。逃げることもなく、簡単に食うことができる。そんな捕食物を大ものが見逃すはずがない

 

小野さんが真っ先に投入したのはビッグベイト。〝ビッグフィッシュ=ビッグルアー〞の法則を信じ、数年前から小樽沖で実績を上げているだけに迷うことはなかった。結局この日、ワームを使用することはなく、ヒットするのは50cmクラスのグッドサイズばかり。最大魚は53cm。ビッグベイトとクランクベイトのみで釣りが完全に成立した。

続く2回目の釣行では、最大魚の54cmをランディングすると口から尾ビレが出ていた。見る30cmほどのニシンだった。このほか、消化がすすんだ小魚の骨だけを吐き出すソイもいた。近年の小樽沿岸は春告魚のニシンが復活し、海を乳白色に染める群来が確認されている。食欲旺盛な大型のソイが、大量接岸したマイワシやニシンを偏食するのは自然の摂理といえるだろう。

 

 

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ビッグベイトの引力

小野さんは釣行を重ねながら、死んだマイワシ=デッドサーディン・パターンを研究。そこでみえてきたことを次から紹介する。

まず、小樽沖におけるソイの泳層は通常5〜10mだが、大型ほどレンジのトップ(上層)に陣取っているという。トリなどの外敵にねらわれやすい小型は下層に沈んでいるようだ。トップを泳ぐ大型に対し、その2m上のレンジを通し、ビッグベイトならではのパワー(アピール)で寄せて食わせる。

ビッグベイトの多くはフローティングタイプのため、沈ませる工夫が求められる。そこで、フロントフックを介しているスプリットリングにダウンショットリグ用シンカーを装着。ウエイトは14〜28g。鉛でもよいとはいえ、28gになるとシルエットが大きくなり、スムーズなフッキングに影響しかねない。そこで鉛に比べてコンパクトなタングステンを選んでいる。タングステンの利点はほかにもある。鉛よりも光沢が強く、水中でキラキラと輝くことで「バイトマーカーの役割を果たす」と言う。実際、ヒットする大半の魚はフロントフックをくわえているそうだ。

 

ビッグベイトの引力

370㎜(ボディー295㎜)、330gのビッグベイト、デプス『ギラギラコウゲキ』を襲ったクロソイ。このルアーはロッドアクションを加えて横っ飛びさせ、スライド幅の広いダートでアピールすると強烈な集魚効果を発揮。下層を泳ぐソイを引き寄せてくれる

 

メインラインもシンカーと同様、高比重のフロロカーボンをチョイス。最大300g超のビッグベイトでも振り切れることがないよう強度は30ポンド。タングステンシンカーとフロロラインの組み合わせなら、無理なくビッグベイトを沈めてアピールすることができる。

ソイの泳層が5m以上と深く、ビッグベイトで深度が足りないようならディープタイプのクランクベイトの出番。潜行深度4〜7mのタイプを使い分ける。潮流に逆らうように引けば、設定レンジより深く潜らせることが可能。クランクベイトの操作はタダ巻きが基本だが、横の速い動きに反応がよいときにも効果が見込める。

 

 

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各地の動向に注目!

各地の動向に注目!

「あんなに数多くのマイワシが流れてくるのは初めて見ました」と振り返る小野さん。去年も釣ったソイの口の中にイワシやニシンが入っていることはあったが、今シーズンはかなりの量が食われていると推測する。

かつてベイトといえばオオナゴだったが、その資源量は減少の一途をたどっている。ベイトがオオナゴからマイワシ、ニシンに変わって実感するのは、「明らかにヒットレンジが上ずり、ビッグベイトに対する反応がすこぶるよくなった」こと。「前は7〜8mのレンジが多く、それより1mくらい上でしかヒットしませんでした」。

高価なビッグベイトは購入時に躊躇する人もいるだろうが、ほぼねらうのは中層ゆえ、振り切れない限りロストすることはほとんどない。ケースに1〜2本でも忍ばせておくと、刺激的なバイトシーンを目撃できる!? ただし、ロッドは重量のあるビッグベイトに対応するヘビーなものが必要。小野さんが使用しているロッドはデプス『サイドワインダーHGC-71XXXストロングジャーク』(対応ルアー〜1.5㎏、ライン〜50ポンド)、リールはダイワ『タトゥーラTW300XHL』。

北海道におけるマイワシ騒動は一段落したかと思いきや、5月中旬、今度は太平洋側のえりも港に大量のマイワシが漂着した。小樽など日本海側のみならず、全道各地のフィールドで〝デッドサーディン〞パターンは要注目だ。

 

 

 

 

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※このページは『North Angler’s 2024年6月号』を再編集したものです

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