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編集部2023年9月1日

【北海道】スピンテール系でマスをねらう思考法

ニジマス NorthAnglers

バイブレーションプラグを思わせるボディーにブレードが付いたスピンテール系と呼ばれるルアーに近年トラウト用が増えている。ごく小さい虫をイメージでき、イトヨレが気にならないのも魅力。とくに真夏は威力を発揮する

トラブル少なく巻くだけでOK!

佐々木大=文

ミノーだと食わない⁉︎

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渓流釣りを嗜むルアーアングラーはミノーをメインにしている方が大半だと思う。私のルアーボックスにもミノーがぎゅうぎゅうに詰まっている。そんな主力のミノーだが、いろいろな使い方をしても「追ってくるけど食わない」ことがあるだろう。

昆虫が盛んに飛び合わる季節に、最初の1~2投はミノーに反応してもヒットにいたらなかったり、ライズしている魚に無視されたり……そんな経験をお持ちでは?

「セミルアーを投げればいいじゃん」という声が聞こえてきそうだが、コガネムシやセミ、カメムシなど本物とほぼ同じサイズのルアーで対応できればよいが、カゲロウやカワゲラ、トビケラなど華奢で蚊と同じくらいの虫を偏食していると太刀打ちできない。そうしてルアーアングラーが漏らすのは「夏はフライフィッシングに敵わない」というフレーズだ。

 

 

真夏の救世主

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そんななか、少しでも釣果を上げようと、真夏に多用されるのがスピナー。私がルアーフィッシングを始めた小学生の頃、初めて魚を釣りあげたのがスピナーだった。魚や虫といった捕食物に似ても似つかない形状なのに、シーズンを通じて魚種を問わず、安定した釣果を叩き出してくれる。ライズしている魚や、明らかに昆虫を捕食している魚からすごく反応がよい。

しかし大きな難点がある。それは構造上、どうしても起きてしまうイトヨレだ。胴体に装着されたブレードが回転することにより、ウエイトやビーズなどが装着されている本体ごと回転してしまうのだ。ひどいときには1時間もしないうちにラインがヨレ、バックラッシュしたりロッドティップに絡まるなどライントラブルが起きる。

トラブルをふまえてスイベルを装着したスピナーもリリースされているが、全くイトヨレしないわけではない。「釣れるけどココぞというときしか使わない」、「ボウズを逃れるために投げる」、「ミノーに追ってきた後のフォローとして使う」といった代打的なルアーととらえられ、朝から夕までスピナーで通す方は多くないようだ。

 

 

胴体+ブレードという構造

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スピナーの代わりといっては何だが、ミノーを食ってくれない場面において、私の使用頻度が高いのがスピンテール系ルアー。シーズンを問わずよく釣れるルアーだ。当時はシーバスやバス用ばかりで、重さは10g以上、全長60mm以上が目立ったが、昨今はトラウト用の軽量タイプも増えてきた。なかには渓流にピッタリな5g以下をライナップしているメーカーもある。

ここでおさらい。スピンテール系ルアーは、金属や樹脂でできた小さなバイブレーションプラグを思わせる胴体の後ろに、小さめのコロラドまたはウイロータイプのブレードを装着しているのが一般的。魚の形をした部分が金属でできたものは「スピンテールジグ」や「テールスピンジグ」、魚の形をした部分が樹脂で覆われたものは「スピンテールプラグ」や「ブレードスピナー」などと呼ばれる

一度でも使ったことがあれば集魚効果の高さから、ボウズ逃れのルアーとして重宝されるが、バイブレーションプラグのような胴体にブレードの付いたルアーに違和感を覚え、未だに使ったことがないという方も意外と多いようだ。

 

 

イトヨレが気にならない

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なぜ私が、スピナーの代わりにスピンテール系ルアーを使うのかというと、イトヨレがほぼ起きないからだ。現在発売されているスピンテール系は、バイブレーションと同じように後頭部または背中辺りにラインアイを備える。そのため、スピナーのように胴体自体が回転してしまう心配がない。胴体は回転せずにブレードのみが回転するのであれば、ミノーやバイブレーションと同じようにイトヨレは気にならない。

そしてサイズ感は同じ重さのスピナーと比較し、同等またはそれより小さいものもあり、小さな虫を食べている魚にも最適。またスピナーと違いスピンテール系は、ラインテンションをかけたカーブフォール時、ブレードが綺麗に回転するのでフォール中のアタリが多い。巻いてよし、沈めてよしで、自ずとバイトチャンスが増える。

前述のようにスピンテール系ルアーは、胴体がすべて金属でできたタイプと、樹脂でできたタイプの2種類がある。前者は比重が高く、素早く沈んで飛距離が出せ、広範囲を探りたいときや水深のある場所に適している。後者は胴体のシルエットが重さの割に大きく、比重が軽めゆえ、ゆっくり巻いても沈みすぎない。浅い場所やルアーを追わない魚に適しているだろう。

どちらのタイプでも同じ重さ、サイズ感のジグより沈下スピードは遅い。同じ重さのヘビーシンキングミノーと比べると、沈下スピードは速いものが多く、ブレードを回転させながら沈下する。沈下スピードは比較的一定のため、流れの中でも着底位置をつかみやすいのも特徴だ。

 

 

愛用者の意見

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スピンテール系ルアーを携えて渓流釣りを楽しむアングラーは増えつつある。山田泰史さんもその1人。以前は湿原河川など、全体的に水深のあるポイントでサーチルアーとして使っていたそうだが、最近は渓流でも活躍しているという。「どこの川に行っても魚の反応が多い」と感じていて、なかでも『レアリススピン』はフッキングのよさから使用頻度が高いと言う。同行した際も良型のニジマスを釣っていた

本誌163号にご登場いただいた小林謙太郎さんは、今も変わらずスピンテール系ルアーを愛用。「難しい操作いらずで簡単に釣れる」と話し、いろいろなルアーを使って反応がなかったり、追ってきて食わなかったりした魚に対し、「ポイントを見切る最後のルアーとして選んでいる」と言う。

私も山田さんも基本的にタダ巻きメインだが、小林さんはリフト&フォールを多用する。リフトからフォールに切り替えた瞬間にアタリが集中するらしく、意図的にフォールを多く取り入れることもあるとか。晴天の減水した悪条件のなか、私が見切ったポイントで『レアリススピン』を使い、ニジマスをヒットさせていた。

 

 

欠点を補うために

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A リアのみ装着。フッキング重視で、フロントのフックにラインが絡むのを防止する仕様

 

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上は太軸、下は細軸を装着。河川により魚のサイズは異なる。上の太軸フックなら60㎝オーバーでも曲げられることはない。太軸を装着してもアクションに影響が出ないのが、スピンテール系ルアーの強みでもある

 

 

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B フロントのみ装着。フッキング後のバラシを軽減する仕様

 

 

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C リアとフロント、両方に装着。フッキングをよくし、ファイト中のバラシを軽減する仕様

 

 

 

 

抜群の集魚効果を秘めるルアーとはいえ欠点もある。まず、フックがラインやルアー本体に絡みやすいこと。どうしてもコンパクトなボディーゆえ、背中のラインアイとフックの距離が近くなり、そのようなトラブルが起きやすい。ベイトタックルならキャスト時にサミング、スピニングならフェザーリングすることにより、着水時の絡みはある程度防げることを知っておきたい。

また、ほとんどのルアーは、フロント(お腹の下)フックのみの仕様になり、後ろから追ってきてブレード側から食ってきた場合、フッキングの悪さを感じることもある。フックの取り付け位置、サイズ感に多少の工夫が必要だ。

フックの取り付けに関しては、魚種やサイズによりベストの位置は変わってくるだろう。主に別項で紹介した3パターンで対応しているが、通常はAのリアフックのみ(フッキング重視・ライン絡み防止)。どんなに気をつけてもフォール時は、フロントフックがラインを拾ってしまうことがある。それをストレスと感じるなら、このフックセッティングがおすすめ。

Bはファイト中のバラシを軽減したい場合におすすめ。ニジマスはフッキングしても頭を振りながらジャンプして抵抗する。リアフックに掛かるとボディー本体とフックポイントの距離があることから、ボディーとフックの動きが連動しない。空中で頭を振りながら抵抗された際、ボディーの重さでフックが外れることがある。その対処法として、ボディーとフックの距離が近いフロントのほうがバラしにくいと感じる。

少しでもフッキング率アップと、ファイト中のバラシ軽減を両立したければ、フロントとリアの両方にフックを付けるCを推奨する

小粒ながら大もののヒットも珍しくないスピンテール系。フックを曲げられたり折られたりしないためにも、ルアーサイズに合わない太軸や大きいフックを付ける方もいるが、フックサイズを変えてもアクションしなくなる心配がないのもよい。私は太軸だけでなく、軸の長いスプーン用シングルも試している。

 

 

いろいろなベイトに化ける

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春先はサケやワカサギなど稚魚パターンに化け、夏は陸生& 水生昆虫に化けるスピンテール系。「まずは釣りたい」、「何としてもボウズを逃れたい」という方にとって救世主的的なルアーになってくれるはず。現在トラウト用として発売されているスピンテール系ルアーは10g以下が中心。渓流や中規模河川に使えるサイズに限られる。本流、河口、湖など大型トラウトがねらえるフィールドに対応するバリエーションが増えることを期待したい。年中使え、どんな状況でも安定した釣果が見込めるだけに、お助けルアーとしてボックスに忍ばせてみてはいかがだろうか?

 

 

 

 

※このページは『North Angler’s 2023年9月号』を再編集したものです。

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