ニシンはアジングタックルでねらえます。春告魚とも呼ばれるニシンは2~3月、産卵のため岸に寄ります。最盛期は産卵、放精により海が乳白色に染まることで知られています。その光景は小樽市~積丹町にかけてよく見られ、近くの海岸ではニシンが釣れます。気になるニシンをねらえるシーズンは4月上旬までです。
ニシンはアジングタックルでねらえます。春告魚とも呼ばれるニシンは2~3月、産卵のため岸に寄ります。最盛期は産卵、放精により海が乳白色に染まることで知られています。その光景は小樽市~積丹町にかけてよく見られ、近くの海岸ではニシンが釣れます。気になるニシンをねらえるシーズンは4月上旬までです。
1g以下の釣りに衝撃
春告魚とも呼ばれるニシンは2~3月、産卵のため岸寄りする。群来が始まると産卵、放精により海が乳白色に染まることで知られる。その光景は小樽市~積丹町にかけてよく見られ、近くの海岸ではニシンが釣れる。ニシンのシーズンは4月上旬まで。
ニシン釣りといえばサビキ仕掛けやエサを使うのが定番だが、ワームやジグなどのルアーにも反応する。近年、道央圏でもアジをルアーでねらえるようになり、その流れでニシンのルアーフィッシング(ニシング)にトライする人も増えてきた。札幌市白石区のショップ『ノースキャスト』の店長の築田学さんもその1人。
「2018年、道南でアジングを体験した際、アンダー1gの軽量リグを使い、カウントしてアタリダナを攻めていると、こんな楽しい釣りがあるのかと衝撃を受けました。その年、小樽港でニシンが釣れている情報を聞きつけ、アジングタックルで挑むと、バッチリ決まって数釣りに成功。ドハマリして現在にいたります」
同店はどちらかというと船の大ものねらいに力を入れているが、 築田さんはアジングやニシングといった繊細な釣りも好む。「わずかジグヘッド0.2g の差や、ラインの選択で釣果が大きく変わるとは、最初は信じられませんでした。〝パンッ〞と一瞬のアタリをはじかずにしっかり掛けられるタックルセッティングの重要性など、やればやるほど奥が深いと感じす」。
すでに今シーズン釣果を上げているという築田さんに密着。1月上旬、小樽港を訪れた。
アジングで目覚めて
当日は札幌市の青木秀憲さんも同行。これまで青木さんはサビキ仕掛けでニシンを釣っていたが、以前からルアータックルで挑戦したいと考えていたところ、築田さんからアジングの誘いがあった。最初は「アジ!?」と思ったが、いざやってみると「なるほど」と感心したそう。
「専用ロッド、エステルライン、0.6gのジグヘッドは、私にとって未経験の領域。アジングでは表層から攻め、カウントでタナを取ります。私はエギングも好きですが、それに近いです。ターゲットのタナ当てゲームみたいな感じ」と青木さん。アジをねらって釣れるようになると、自ずと次のターゲットはニシンになった。「ライトタックルで味わうニシンの引きが面白くないはずがありません。私も早くニシングで釣りたい」と目を輝かせる。
午後8時。待ち合わせ場所の北浜岸壁には、すでに多くの人が釣り座を構えていた。が、状況はよくないらしく、帰り支度をしている人も。難なく釣り座は構えられ、隣の人に話しかけると「ニシンは釣れていない」との返答。完全にタイミングを外してしまった。とはいえ、9時過ぎから釣れだすこともある。10時までの2時間は調査と考え、投光器をセットして実釣を開始。周りはサビキ釣りがほとんどで、かなりの寄せエサが撒かれている。魚影は少ないうえ、手前を回遊するニシンがいたとしても、寄せエサを捕食していればワームやジグに反応しにくいと思われる。そのため、サビキ釣りより遠くにキャストし、寄せエサを捕食する前のフレッシュなニシンにねらいを定める。
キャストする場合、リグにマッチしたタックルでなければ飛距離は出ない。かといってジグヘッドのサイズを上げると、ハリサイズも大きくなり食いが悪くなる。ニシングではハリサイズに気を遣いたい。
ワームで外せないのが、細身のピンテール系。築田さんがメインで使う『アジのエサ』は 1.2インチをベースに1.8 インチまである。「海中でルアーが動いていることが伝わりにくいならワームサイズを上げ、ルアーの位置や動きを感じるようにしています」。ピンテール系に反応が悪ければ、思いきりサイズや形状を替える。
「ティクトのメタボブリリアントなど、ファットボディーのワームを使うこともあります」。
カラーについては、日中は透過性の高いスケルトン、夜間はオレンジ、緑、赤、ピンクなどのはっきりとした色を選択している。
青木さんの使用ルアー。ハルシオンシステム『シャッドナイフ ファットⅡ』、同『シャッドナイフスリムⅡ』、Boggy『うりずんスプーン』。すべて、3.5g。飛距離を出しやすく、素早く沈められ、サーチルアーとして活躍する。ワームは1.2~2インチ、ジグヘッドは0.2~1.3gを用意
築田さんの使用ルアー。ワームは細身のピンテール系がマッチ。メインに使用していたのはタケダクラフト『アジのエサ』。1.2インチをベースに1.8インチまで用意。写真は1.2インチ、クリアーグリーンラメ。ジグヘッドもアジング用で、0.6~1.5gをそろえている
【使用タックル】 写真左から
ロッド:ティクト『SRAM EXR-64S-Sis』
リール:シマノ『ストラディックC2000S』
ラインシステム:PE 0.6号+フロロカーボン4lbを80cm
「ジグを使用するためPEラインを選択。アジングロッドは柔らかいイメージがありましたが、このロッドは張りがあり、ジグの操作性もグッド」(青木さん)
ロッド:Go-Phish『L1 torzite』
リール:シマノ『カーディフCI4+ 1000SHG』
ライン:サンライン『鯵の糸 エステル ナイトブルー』0.35号
「ライトリグ使用時に重宝する1本。アジング用でありながらロッドの曲がりなどに関して、メバルロッドの要素を兼ね備えています。0.6~1gのライトジグ単を多用」(築田さん)
ロッド:Boggy『ENO 66S SUL4』
リール:シマノ『カーディフAREA 1000S』
ライン:サンライン『鯵の糸 エステル ラッシュアワー』0.35号
「6.6フィートの長さを活用し、ジグ単やジグを遠投する際に出番。具体的には1g以上のジグ単、2~5gのジグを使うときに向いています」(築田さん)
群れの状態で変わるメソッド
群れが多いとキャスト後のフォール中に反応が出ることが多い。カウントを取りながらフォールさせ、反応の出たカウントを中心に上下のタナを探るようにする。最初はタダ巻きから始め、それで釣れるならよいが、食いが浅かったり、反応が少ないならリフト&フォールでタナを変えつつフワフワさせたりシェイクで誘う。
群れが少ないときは、割とボトム付近にいることが多い。周りで寄せエサが使われていたとしたら、たくさんエサが沈んでいると考えられる。群れが多いと我先にとエサを取り合い、表層近くまで浮いてくるが、少ないと底で拾い食いしているのだろう。表層に群れが見えず、中層でも反応がないなら底をしっかり探るのが重要だ。
産卵近くなるとエサを食わなくなる魚もいるが、ニシンの場合、産卵真っ只なかでも捕食行動を取っていると思われる。群来が見られる場所にキャストすると、ほぼ入れ食い状態になることは珍しくない。そんなときは速めのリトリーブでも食ってくるが、群れが少ないときや食いが渋い場合、ゆっくりと誘うとヒット率は高いようだ。
とにかく釣ってみたい人はジグサビキという選択肢もアリ。群れが多いとハリ数だけ釣れることもあり、強めのタックルがおすすめ。その場合、ジグは5g以上のウエイトだと操作性が高い
「飛ばしサビキ」などと表記された3本バリや、通常の6本バリを中間でカットすることでジグサビキとして使える
最初は1.5gから
タックルは2人ともアジング用を流用。築田さんによると「ロックフィッシュ用のULでもできなくはありませんが、操作性や小さなアタリを感じ取って掛ける楽しさを重視すると、やはりアジング用にかなわない」 とのこと。専用ロッドは各ターゲットに合わせたセッティングになっている。繊細なライトゲームになるほど、実際に使い比べてみると明らかな違いを感じ取れるという。
タックルバランスはとても大事で、ロッド、リール、ラインのどれかがマッチしていないと釣りにならないこともある。「現在ニシング専用はなく、私はアジング用をすすめています。大きなリールは必要なく、ニシンのパワーを考えても1000番ベースで対応できます。アジングロッドはバットガイドとグリップの距離が近いものが多く、1000番リールのスプール径に合わせて放出されたラインを素早く回収できます。細いラインの使用時もトラブルが少ない」と築田さん。
アジングロッドは、しっかりと魚を寄せられるバットパワーを持ちつつ、ライトリグを飛ばしやすいしなやかなティップを備える。「これがニシングに適し、トラウトやロックフィッシュ用のUL、XULにはない特徴です」と話す。
最後に、これから挑戦する方にメッセージ。「最初から0.6gのジグ単を使うと、何をやっているか分からないことが多いと思います。まずは1.5 g 程度からスタートし、感覚をつかみながらウエイトを下げていくことをすすめます」。そこにニシンがいるからといっても簡単には釣れないが、適正なタックルを使うことで釣果アップの近道になる。ここ数年は3 月に入ってから産卵行動が見られることが多い。この号が発売される頃からハイシーズン。アジングタックルを手に、二シングにチャレンジしてみよう!
常夜灯のないエリアでは投光器が威力を発揮。渋い状況でも魚影を確認できるとモチベーションを保てる。当日使った投光器はアイリスオーヤマ『L E Dクランプライト7500ルーメン』。消費電力60W、10時間ほど使用可能
投光器はバッテリーで運用。近年は消費電力の低いLEDライトが主流になり、充電式バッテリーを用いる人が増えている。深夜でも騒音の心配が少ない。バッテリーは車に置き、延長コードをつないで使う写真右のジャクリ『J a c k e r yポータブル電源 708』は、191400mAh/708Whの大容量。災害時の緊急電源としても役立つ。AC100Vコンセント2口のほか、USBポートとシガーソケットを搭載。スマホ(18W)約40回、液晶テレビや冷蔵庫(60W)は10時間ほど使用できる
夜の港は足もとが暗い。ロッドを踏まれないよう、予備はロッドホルダーに立てておきたい。築田さんのボックスにはワームやシンカーを入れたケース、フィッシュグリップ、予備ライトが入っていた
※このページは『North Angler's 2024年3・4月合併号』を再編集したものです