ショアのサクラマスシーンで年々注目度が増しているミノー。フックはトレブル3本装着が主流だが、魚をランディングした後、体のあちこちにフックが刺さり、外すのが大変かつ危険な場合もある。そこでジグやジグミノーで一般的な段差フックを付けたらどうなるか!?
ショアのサクラマスシーンで年々注目度が増しているミノー。フックはトレブル3本装着が主流だが、魚をランディングした後、体のあちこちにフックが刺さり、外すのが大変かつ危険な場合もある。そこでジグやジグミノーで一般的な段差フックを付けたらどうなるか!?
【きっかけ】バラシを減らしたい
ショアのサクラマスで近年、人気沸騰中のミノー。サイズは120~150mm、トレブルフックを3本装着しているルアーが大半だ。ほとんどのアングラーは市販時の状態で使っているようだが、トレブルからシングルフックに替えている人も少なからずいる。しかし、ジグミノーやジグで一般的な段差フックを、ミノーに装着している人はほとんどいないだろう。
そんななか、千歳市『フィッシングショップ清竿堂『店主の二橋翔大さんは、ミノー&段差フックの組み合わせで着実に釣果を重ねている。トレブルフックを使って釣ると、フッキングしていない余剰フックまでも魚体に刺さり、撮影の際ぐちゃぐちゃになることを嫌って、かねてよりシングルフックを愛用していた。とはいえ、以前から「ミノーはトレブルにしてもシングルにしてもバレが多い」と感じていた
「変わったことをやってみよう」というのもあり、3年前の12月、島牧村の海アメねらいでミノー&段差フックのシステムを初めて試してみた。3本フックのミノーだと、一番前(ラインアイ側)に付けるとラインを拾ってしまうのは明らかで真ん中に付けてみた。当初懸念していた。ボディーやリップと絡むトラブルはなく、「意外にイイかも」と思ったそう。そして翌年、海アメがポツポツとヒット。「鼻っ面にちょっとだけフッキングしていてバレないのを見て、これはイケると感じました。ショートバイトでもバレないので」と手ごたえをつかんだ。あらためて港内でしっかり泳ぎをチェックすると、「ミノー自体は動いていても、フックがあまり暴れない」ことに気づいた。これこそフッキングがよく、かつバレにくい理由と確信。「真ン中に付けるから暴れにくいのかもしれませんが、いずれにしてもルアーと一緒にフックも暴れると乗りが悪くなりますから」と話す。
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
【メリット】掛かったらバレない
ミノー&段差フックのシステムでは、とくにケプラーの長さが重要になる。二橋さんはここ数年、ジグやジグミノーに装着する場合、後部フックのケプラーを長めにしている。そのほうがフッキングはよくなりバレにくいため。この考えはミノーでも変わらないが、長くしすすぎるとボディと絡みやすくなる。
長さの基準は「フックがラインアイに干渉しなければ大丈夫。ラインアイに干渉しないぎりぎりの長さにしています」とのこと。リップと干渉するのが気になる人もいるかもしれないが、意外にすり抜けてくれるようだ。少し短くしてフックをリップぎりぎりにくる長さにすると、今度はリップをロックしてしまう恐れがある。現状、今の長さがベストらしい。
ところでミノーの場合、トレブルフックからシングル、あるいは段差に替えると、泳ぎに影響するのが嫌われる。これについては、「シングルフックに替えても影響しないミノーなら心配ありません。ただ、テール部が軽くなる分、アクションの振り幅は大きめになるものが多いでしょう」と言う。
ルアーはこれまで、デュオ』タイドミノーランス『120S・140S・150F』、タイドミノースプラット140SF、『パズデザイン』バックウォッシュ・ビヨンド『(110mm)シリーズで釣果を得ているが、泳ぎも飛距離も問題ないそうだ。二橋さんはスレ掛かりしないよう、あまりロッドアクションを加えないが、トゥイッチやジャークといった操作にも影響を及ばさない。
使い続けていると、とにかくアメマスもサクラマスもバレにくいと実感。さらにミノーでありがちなスレ掛かりもほとんどないのがよかった。
「過去にスレ掛かりは一度だけ。おそらくステイさせるとフックが垂れ下がり、そのタイミングで食ってくるとスレ掛かりしやすくなる気がします。引っ張っている(リトリーブ)ときは、フックがボディーに張り付くような感じになり、スレ掛かりは起きないはず。魚がローリングして抵抗しても、段差部分がねじれるだけなので、掛かったらまずバレないイメージがあります」。
ジがあります」。最近は店の常連さんにも試す人が増えているが、「バレにくくスレ掛かりしない」と評判は上々とか。フックポイントはトレブル3本なら9個。段差なら2個であり、シングル3本よりも少ないのだから、スレ掛かりを大きく減らせるのは間違いない。
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
ADVERTISEMENT
【チューン】即席ヘビシンにもなる
近年、シンキングミノーを底近くまで沈め、大ものを釣っている人もいる。二橋さんも注目しているメソッドのひとつだが、段差フックシステムの場合、前と後ろ、2ヵ所のラインアイが空く。これを利用すれば、現場ですぐヘビーシンキング仕様にすることも可能だ。二橋さんはがっちり沈めて探りたいとき、前と後ろのラインアイに極端に重いウエイト、割りビシ大大サイズなどをぶら下げている。
「割りビシをぶら下げると当然、泳ぎに支障は出ます。それでも速く沈めたい場面では有効。高速リトリーブでアピールすることもでき、もちろん飛距離も稼げます」。
フックと同じアイにウエイトをぶら下げる、トレブルフックの軸にイト鉛を巻くと「フッキングに影響するのでは……」と気になる人もいるかもしれない。その点、二橋式ウエイトチューンなら心配ないだろう。なお、フローティングミノーにウエイトチューンを施すのも手。二橋さんが使用するタイドミノーランス150Fに割りビシ大サイズを装着した場合、沈下することはなく、遠投性性能がアップするそうだ。
このほかにも利点は多い。トレブルやシングルに比べると、フックポイントが少ないだけにランディング後に外すのもラク。また、と、刺さりが悪くなってもどのフックがあまくなっているか判断しにくいが、段差フックならあまいと感じたら一発で替えられるのもよい。さらにトレブルフックだとボディーと擦れ、ローリングマークと呼ばれる跡が付くが、段差フックならボディーは傷付きにくい。よいことだらけのミノー&段差フックのシステム、あなたも一度試してみては?
二橋さんが多用するミノーに装着しているフックは、オーナーばり『カルティバ ファイアフック』#1/0、ヴァンフック『チューンドパーチ』#SSまたはSサイズなど
※このページは『North Angler’s 2024年5月号』を再編集したものです