南富良野町に位置するかなやま湖は、貴重なイトウの生息地として知られる。2016年の台風で、かなやま湖は甚大な被害を受け、その影響はイトウにも及んだ。かなやま湖のイトウの状況は、今どうなっているのだろうか。
南富良野町に位置するかなやま湖は、貴重なイトウの生息地として知られる。2009年には町による「イトウ保護管理条例」が施行され、釣り人やイトウ関係者から「先進的なフィールド」として語られるようになった。
そんな矢先のこと。2016年の台風で、かなやま湖は甚大な被害を受け、その影響はイトウにも及んだ。今年で、被災から約5年が過ぎようとしている。かなやま湖のイトウの状況は、今どうなっているのだろうか。
目次
かなやま湖のイトウに降りかかった悲劇
台風の影響は、イトウにとってかなりの打撃といえるものだった。かなやま湖から上流の空知川では、毎年イトウの産卵床数の調査が行われている。
その結果によると、台風前の産卵床数は、さまざまな保護策が奏功し増加傾向が続いていた。しかし、台風後の2017年は、以前に比べて25%減少。さらに翌年の2018年は66%減少するという衝撃的な結果に陥ったのだ。
台風後のかなやま湖は、茶色く濁り、湖面には流下物が浮かぶ状態が長く続いた。それでも、2017シーズンあたりから、グッドコンディションとは言えなくても、釣果情報は増えてきたという。
イトウ保護の取り組みについて
かなやま湖には、イトウを保護するためのルールが設けられている。
かなやま湖の保護区は「産卵保護区」「生息保護区」「越冬保護区」の3つに分けられる。産卵保護区は、同町字落合の北落合橋から上流の空知川水系全域を指す。4月中旬~6月中旬、産卵期のイトウを保護するための区域ともいえるだろう。
生息保護区は、JR金山湖橋梁より上流50mの地点から下流側の区域。産卵・生息保護期間は、全魚種の採捕が自粛対象になる。越冬保護区は、かなやま湖全域(生息保護区を除く)で、対象魚種はイトウだ。さらに、イトウの保護管理が必要とされた場合、持ち帰りの上限が定められる場合がある。事前にチェックが必要だ。
かなやま湖イトウの現状と朱鞠内湖との共通点
イトウが釣れる場所として有名な朱鞠湖だが、実はかなやま湖と共通する部分が多い。それは、ベイトがワカサギやウグイであるため、釣りのパターンが似た流れを辿ることだ。また、かなやま湖や朱鞠内湖は、ヒグマの目撃情報が多い。その点も、似ているといえるだろう。
しかしながら、フィールドの特徴は違いがみられる。朱鞠内湖は、離島が複雑に入り組んだ特徴をした湖であることから、渡船を使わないと釣りができる湖岸が限られる。やや中・上級者向けのフィールドと言えるだろう。対してかなやま湖は、比較的安易にエントリーがしやすい。狙えるポイントも多いため初中級者にオススメだ。
【2021年版】かなやま湖のイトウ釣りはどうなる?
台風後早期のかなやま湖は、傷ついた魚が目立つと言われていた。しかし近頃は、そういった個体は見かけなくなっている。それどころか、よいコンディションのイトウや、アメマスの釣果情報も増え始めてきた。湖の雰囲気も、台風前に近い状態まで回復してきたと語られる。今年のかなやま湖も、良型のイトウを期待できるはずだ。
イトウファンなら訪れたい
台風から数年、かなやま湖は甚大な被害を受けたが、地域の方々のおかげで台風の影響を感じさせないほど回復した。今季のかなやま湖は、イトウファンは見逃せないフィールドであることは間違いないだろう。
かなやま湖を訪れた際は「道の駅南ふらの」や「かなやま湖保護センター」などに立ち寄ることもお勧めだ。道の駅南ふらのは大型の水槽が設置されており、イトウの姿をみることができる。
かなやま湖保護センターは日帰り入浴が可能で、釣り人が疲れを癒すための人気スポットでもある。どちらも日帰り入浴や食事ができるので、イトウ釣りを楽しんだあと、ひと休みに立ち寄ってみてはいかがだろうか。
2021/04/23