道東オホーツク海のサクラマス。ここ数年は好調が続いていて、地元を中心にファンが急増している。草創期から通うアングラーが、近年の傾向と有効な戦略を解説。
道東オホーツク海のサクラマス。ここ数年は好調が続いていて、地元を中心にファンが急増している。草創期から通うアングラーが、近年の傾向と有効な戦略を解説。
目次
サクラマスは5月下旬から6月中旬がピーク
北海道には3つの海域があり、それぞれでショアのサクラマスシーズンは異なる。
通常、真冬の1月頃から道南日本海でスタートし、その後、徐々に北上。
そして道内最北端を経由し、サクラ前線はオホーツク海の北から南下してくる。私がメインフィールドとしている道東オホーツク海の常呂~斜里エリアのピークは、5月下旬~6月中旬と結構タイト。
とはいえ、サクラマスよりも少し早く釣れ始めるアメマスも視野に入れると、4月末~6月下旬の約2ヵ月がショアのシーズンといえる。
2020年は60cmクラスのサクラマスが!
河川でふ化した後に降海し、大海原へと旅立つサクラマス。1年間を海で過ごした後、故郷の河川にカムバックする。
短期間で急激に成長し、銀鱗をまとった魚体は我々を魅了して止まない。道東オホーツク海のサクラマスはネイティブであり、天候要因や環境変化による個体数の年次差が大きい。
2018~2020年の3年間はとても好調で、多くの方が楽しめたはずだが、以前は厳しい状況が続いていた。それを懐かしく思うアングラーもいるだろう。
オホーツク海のサクラマスはサイズが小ぶりである。アベレージは45cm程度で、50cmがひとつの目標ライン。しかし、昨年は様相が違った。例年よりサイズが一回り大きく、60cmクラスの良型もあがっていたようだ。
豊漁年が続くということは、遡上する個体が多いのは間違いない。そうしてふ化する稚魚が多くなり、海に旅立つサクラマスも増加傾向とあれば、今後もオホーツク海は大いに期待できるはず。
スローのタダ巻きが有効
道東オホーツク海で、サクラマスに出会うためのルアーとして欠かせないのはジグとジグミノー。ショアの定番であるロングミノーはアピール度が高くても、サクラマスが回遊するコースに届かないとバイトを得られない。
道東オホーツク海は全域がほぼ砂地で形成され、遠浅の地形が特徴でカケアガリが遠い。小魚などのベイトを追って岸寄りする場合もあるとはいえ、基本的には沖めを回遊している。そのため、広範囲を探りやすいジグとジグノミーのアドバンテージは大きい。
基本的なメソッドとしては、いたって普通のタダ巻きが最も有効である。道東太平洋にアメマスをねらいで通っていた頃は、ジャークを加えてリフト&フォールののメソッドが主体だったが、道東オホーツク海においては無駄なアクションを一切入れず、リトリーブ速度の緩急のみで釣果を伸ばしている。
5~6月のオホーツク海は南風の日が多く、アングラーの背後から風が吹き、海は穏やかで潮は比較的澄んでいることが多い。そんな状況では、ルアー本来が持つアクションで充分にアピールしてくれるのではないか。
アクションを加えることにより魚に違和感を与え、バイトを遠ざけるような気がする。これが夏場の道東太平洋のように、アゲインストでウネリの伴う状況だと効果的なタクティクスは違ってくる。
経験上、比較的スローリトリーブに反応がよいと感じている。そのため、対応リトリーブスピードの範囲が広いルアー選びを心がけている。
好調の陰にイカナゴの増加?
道東オホーツク海はベタナギであれば、それなりに釣果が上がることを頭に入れておきたい。いや、絶対条件といってもよいかもしれない。
遠浅ゆえに魚が岸寄りしにくいと前述したが、他の海域ではベストと思われる程度の波でも反応が遠くなる。
ルアーのカラーは断然アピール系に分がある。私のルアーケースの中身は、ピンクとアキカン系が90%を占め、とても賑やかだ。
【おすすめルアー】
フィールドハンター『シー.ミッション』は、ジグの優れた遠投性能とスプーンの泳ぎのよさ、どちらも兼ね備えたジグスプーン。ここ数年は釣果実績が高い。写真のモデルは67mm28g。写真右は通常のシー.ミッションより、ミディアムレンジを意識して開発された『シー.ミッション ミディアム』。逆風時でも飛距離が稼げるのも魅力。写真のモデルは65mm28g。カラーは左から、G.レッド/DD(ダイヤモンドダストシェル)、S.ピンク/DD(ダイヤモンドダストシェル)、Sピンク/グロー・ヤマメ、Gレッドチギョ
上記のカラーパターンは、フィールドハンターならではのダイヤモンドダストシェル。細かく砕かれた天然アワビの欠片を集めてシート状にすることで、通常のアワビとは一味違い細かくきらきらと輝いてアピールする
……さて、道東オホーツク海にもさまざまなベイトが存在する。シルエットをベイトにマッチさせるのはよいだろうが、カラーはターゲットの攻撃心を刺激し、水中で目立つことが最優先と考えている。
サクラマスの攻撃的かつ好奇心旺盛な性格をふまえ、リアクションバイトを誘う。それが価値ある一尾に近づく秘訣のひとつだ。
ちなみに、ベイトの種類としては、イカナゴやカタクチイワシ、シラウオ、サケ稚魚、チカ、エビなどの甲殻類と多種に及ぶ。
なかでもイカナゴはメインベイトになっていて、ランディング直後にサクラマスが吐き出す光景を何度も目にしている。
キャストのたびにスレ掛かりする日があるほど、近年イカナゴの魚影が多くなっている。これも昨今の好調を支えている要因のひとつだと思う。
理想的なタックルシステム
最後に、タックルについて。
ロッドはMAXウエイト40~50gの9~11フィート、リールはスプール径の大きさから3000~4000番がベター。
オホーツク海はナギが好条件となるため、打ち寄せる波に乗せてランディングができない。そのため、バットパワーのあるロッドが望ましい。
しかしながらサクラマスは口切れしやすいだけに、俊敏な走りに対してバラシを軽減してくれるティップの柔らかいロッドが安心だ。
メインラインはPE1~1.2号、リーダーはナイロン16~20ポンドを1.5m前後FGノットで結束している。
道東オホーツク海には座礁やゴロタがほとんど存在せず、ファイト時に気を遣う要素は少ない。
また、アベレージサイズが45cm前後であることからも上記のタックルシステムがよいと思う。
飛距離や感度を追求すると、さらにライトなラインを選択したくなるが、砂による摩擦が考えられ、あまりおすすめできない。
なお、リーダーを使用せずにPEラインを直結している方もいるが、アタリを弾いたり口切れしやすくなる。
ショックを吸収するリーダーの役割はとても大きい。必ず結ぶようにしたい。
近年、全道各地の有望フィールドにおいて、モラルの欠落が原因と思われる問題が起き、立入が禁止されたポイントもあるようだ。
フィッシングシーンの盛り上がりは喜ばしい限りだが、末永く多くの方が楽しめるよう、駐車場所に配慮するなどマナーのある行動を心がけたい。
2021/06/23