特集は『渓流釣り「一尾釣るまで」塾』。熱心なベテランも、これからチャレンジしたい入門者も、待望の一尾を手にするプロセスをフルサポート。暖冬小雪の今シーズンは開幕からチャンス。
「結びのトリセツ 海釣り編」/つり人社書籍編集部編
つり人編集部/佐々木徹=文
肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。◎今回の紹介者
つり人編集部/佐々木徹
1984年12月18日生まれ。広島県出身。大学在籍中にアルバイトとしてつり人社に入り、以来Basser編集部、デジタルコンテンツグループを経て2020年からつり人編集部に。好きな釣りはバスフィッシング。
「0.4号と0.5号が全然違うからおれたちは飯が食えている」
忘れられない言葉があります。「0.4号と0.5号が全然違うからおれたちは飯が食えている」
10年ほど前でしょうか。つり人社に入社して間もないころ、校了後の打ち上げで先輩が発した言葉です。
たしかエギングの話だったと思います。僕が「PE0.4と0.5号ってそんなに違いがあるんですか?」と聞いたことに対する返答でした。リールにすでに巻いてある0.4号のラインをわざわざ0.5号に巻き替えるというので不思議に思ったのです。「もったいない……。0.1号で釣果が変わるの?」と。だって0.1号というと直径が0.01mm変わるだけですよ……?
するとその先輩は僕の顔をじっと見て数秒黙ったあと冒頭のように言いました。言葉にはしませんでしたが、その顔には「釣りを舐めてはいけない」と書いてありました。
そして先日はこんなことがありました。別の先輩とマダコ釣りに行ったときのこと。船の上でPEラインとリーダーを接続するとき、僕は横着をして電車結びを使いました。FGノットなどの摩擦系は大の苦手で、揺れる船の上で素早く結ぶ自信がなかったのです。これまでバス釣りに行く機会が多く、電車結びメインで困ることはあまりなかったため習得を先延ばしにしていたのです。
結局、その日は10パイ以上のタコが釣れて大満足で帰宅。「おつかれさまでした」と先輩にメールを打ったところ、「ノットをちゃんと覚えるように」と返信がきました。げ! バレていないと思っていたけど見られていたのか……。その瞬間に再び思い出したのが冒頭に書いた10年前の言葉でした。
釣りはラインの0.01mmの違いやノットのコブの大きさ・強度で面白みや結果がガラリと変わる趣味です。その奥の深さを伝える仕事をしている以上、すべての釣りとその準備に全力で向き合い楽しむことが大事なのだと教えてもらいました。
ということで、自宅で仕事をする機会が多い最近はこの本が愛読書。PEラインとリーダーの結びはもちろん、ルアーフィッシングや海釣りで出番が多い結びがわかりやすいイラストとともにひと通り掲載されています。もちろん電車結びも載ってます(笑)。
「結びのトリセツ 海釣り編」
単行本: 111ページ
出版社: つり人社
発売日: 2008/6/1