<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=170559842213036&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">
編集部2020年5月8日

自身のタコIQがアップしていく!/アームチェアフィッシングの部屋 第29回

月刊つり人ブログ アームチェアフィッシングの部屋

肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。


『日本のタコ学』/奥谷喬司 編著

つり人編集部/天野三三雄

肘掛け椅子にゆったり座って、釣りにまつわる読書をしたり、釣り場や魚たちに思いをはせたり、お気に入りの道具を眺めたり……。雨の日など釣りに行けないときのそんな過ごし方を英国では「アームチェアフィッシング」と言うそうです。このコラムでは、つり人社の社員が「アームチェアフィッシング」の時間にオススメしたい愛読書を紹介します。
 
◎今回の紹介者
つり人編集部/天野三三雄

profile

1969年6月17日生まれ。東京都出身。Basser編集部のアルバイトを経て入社。つり人、Basser、ルアーパラダイス九州を経て2020年からつり人編集部に。釣りは広く浅くなんでも楽しむ派


◆こちらもおすすめ

タコとロマン


 人気のターゲットであり食材であるタコだけに、その生態はすべて解明されているのだろうと思いきや、その種類や寿命や産卵期ですらまだ謎の部分が少なからずあり、そうしたミステリアスなところが「畑に上がって大根を食べる」「小船を襲う」「渡りダコ」などの伝承や都市伝説が各地に残される所以なのだろうと思います。

01-28
もともとイカもタコも大好きだったが、九州転勤を機に、天草というタコの本場の破壊力を知ってしまって底なし沼にハマってしまった


 かくいう私もタコのミステリアスな魅力(味力?)に憑りつかれたひとりです。以前から釣り船を利用して東京湾でマダコやイイダコ釣りを楽しみ、ときには東北まで遠征していましたが、九州への転勤を機に、熊本県天草エリアの当たり年のマダコの船釣りを経験し、度肝を抜かれました。

02-28
九州時代に担当した雑誌の天草特集ではマダコ釣りを表紙にしたが、先に『日本のタコ学』を読んでいたらもっと釣れたかもしれない(?)


03-25
天草沖のタコエギング。もともと東京湾では手釣り派だったが、今は断然ロッド&リール&餌木を使ったキャスティング派


 九州にはタコの魅力に憑りつかれたオクトパスハンターたちが多く、彼らと話していると、釣り方やタックルにもオリジナリティーがあり、夢があり、ロマンさえ感じるほどでした。それは二十年以上も前のアオリイカ釣りブームの黎明期に感じた高揚感にも似ており、今となってはアオリイカに関する謎は、それこそこの本の著者であり編者である奥谷喬司先生(東京海洋大学名誉教授)をはじめとする先生方が著したイカ本の数々によって解明されていきましたが、やはり当時もあそこに行けばモンスタースクイッドに会えるとか、月の満ち欠けと餌木の色の関係とか、巨大イカの寿命などについて侃々諤々、喧々囂々。同じようにタコ好きたちはタコについて学ぼうと書物を漁っており、この『日本のタコ学』を読まれている方も多いようです。私は人に勧められて最近読んだばかりですが、たしかにタコ好きにはたまらない一冊でした。

04-21
九州ではマダコのほかイイダコ、テナガダコなどの記事も掲載。タコ好きアングラーの皆さんとの交わりが楽しかった。この本を読むと同好の士との交わりに似た感覚が味わえる


05-19
タコ釣りは餌木も仕掛けも千差万別。思いの丈が反映されているようで見ていて興味が尽きない


 全九章で構成され、第一章はタコQ&A方式でタコに関する素朴な疑問(たとえば「タコってイカの親戚?」に対して答えは、「ともに魚類ではなく貝類という意味では親戚のようなもの」とか「タコは色や形を見分けられるのでしょうか」、「タコの雌雄はどこで見分けられるの?」といった疑問に奥谷先生が親しみやすい文章で平易に回答してくれます。

 第二章はボーンフリー──タコの子供たち(坂口秀雄)、第三章は海の賢者タコは語る──見えてきた自己意識の原型(滋野修一)、第四章は巨大タコの栄華──寒海の主役(佐野稔)、第五章はイイダコの日々(瀬川進)、第六章は日本のイイダコ、フランスデビュー──学名ファンシャオ(飯蛸)のルーツを探る(滝川祐子)、第七章はサンゴ礁にタコを探して(小野奈都美)、第八章はなぜタコは「明石」なのか──系譜と実像(武田雷介)、第九章は日本のタコ図鑑(窪寺恒己)。

 本書を読み進めると、すっと腑に落ちる話が多く、自身のタコIQが上がっていくのを自覚します。と同時に、この本の視点はやはり生態であり水産で、できれば遊漁=釣りという視点から描かれている部分がもう少しあればなあというのが唯一の要望。マダコを中心に、イイダコ、ミズダコなど食卓でおなじみのタコがたくさん取り上げられている点も読みやすさにつながっています。

『日本のタコ学』
奥谷喬司 編著
単行本:273ページ
出版社:東海大学出版会
発売日:2013年6月5日

おすすめ記事

記事検索

  • 検索フィールドが空なので、候補はありません。

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。