ヤマガブランクスのブルーカレントⅢは、アジング専用でもメバリング専用でもなく、対象魚を限定しないライトゲームロッドとして三代目まで続いてきたシリーズだ。どういう思想で作られ、82から53までの9機種はどう違うのか。宮崎県在住のブルーカレント使いとして知られる郡司和福さんに聞き、69を手にした九州東岸の実釣で、このロッドならではの釣りを確かめた。

解説◎郡司和福 写真と文◎藤原武史
宮崎県在住。ヤマガブランクスの多くのロッド製作に携わるエキスパート。九州東岸をブルーカレントとともにランガンしながら、アジングをはじめ魚種を限定しないライトゲームを楽しむ。遊漁船オーシャンエデンも経営。
目次
ブルーカレントⅢはどんなロッドか

メイド・イン・九州の誇りとして、特に九州のアングラーにおけるヤマガブランクスへの信頼感は揺るぎがない。
青物やGTといったビッグゲームはもちろんのこと、アジングにおいてもファンの心をつかんで離さない
同社のブルーカレントはその時々のライトゲームマニアから支持され、現在は三代目のⅢとしてシリーズ展開がされている。
魚種を限定しない、稀有な設計
現在の市場では対象魚も細分化が進んでアジングロッド、メバリングロッド、チニングロッドなど特化したロッドが多いなか、ブルーカレントは特に魚種を限定しないスタイルを貫いて、アジングマニアに愛され続けている稀有な存在だ。
そもそも、こうした専用ロッドが求められる背景にあるのは、魚種によって釣り方やリグが変わってくるためでもある。大雑把に言えば、メバルは巻きの釣りでアジは巻かないでアクションを入れて食わせる釣りになる。そのためアジのロッドは張りがあって軽量のジグヘッドに細かいアクションを入れられて、フォール時に軽いジグヘッドの重さを感じられることが重要になってくる。メバルではむしろ巻いてくる時に食ってくるメバルのアタリを弾かないような軟らかさが求められる。
「でも、考えてみてください。アジは巻きの釣りで釣れませんか。メバルはアクションを入れると釣れませんか。答えは否です」と郡司さん。
つまりロッドに求められるのは、アジングロッドやメバリングロッドという名称やカテゴライズではなく、自分の釣りに合っているアクションのロッドということになる。

・郡司さんのアジングメインタックル
【オープンエリア用】
ロッド:ブルーカレントⅢ 82(ヤマガブランクス)
リール:14ステラC2500S(シマノ)
ライン:PE 0.6号+フロロカーボン8Lb
【堤防用】
ロッド:ブルーカレントⅢ 69(ヤマガブランクス)
リール:14ステラC2000HGS(シマノ)
ライン:PE 0.3号+フロロカーボン1号
このほか:ブルーカレントⅢの63と74をサブロッドとして用意
全9機種の特徴と使い分け

そう考えるとブルーカレントⅢは、自分の釣りが分かっている人がそれに合わせて選んでいくロッドと言える。長さの違いは実はテーパーの違いにもなっていて、使えるシンカーの重さも違ってくる。それを参考にして自分の釣りにあったものを選んでいけばいい。
ブルーカレントⅢは専用のアジングロッドのように打てば響くほどの高感度や張りの強さを追求していない。その分、さまざまなシチュエーションに幅広く対応しており、今回の前半戦で行なったサーフアジングなどにもマッチした1本が見つかるし、ジグヘッドの操作では着底やアタリなどの必要な情報はしっかり伝えてくれ、掛けたあとの釣り味にも重きを置いている。
このシチュエーションならこの1本というロッド合わせの妙があり、それが決まれば無上の楽しさが感じられるロッドであり、対応するターゲットの多さも含めて出番の非常に多いロッドである。
82:シリーズ最長
82はシリーズ最長で一番重いルアー(MAX20g)が使える。サーフやエギング(3.5号まで)、チニングにも使える。
711:遠投とフロートリグ
711は軽量ジグヘッドを遠くへ飛ばすことができ、なおかつ繊細な操作感を持つ。フロートリグなどで使用するのにも適している。少しスローなテーパー。
76:最もパワフル
76はシリーズ中で最もパワーのあるロッド。チヌのトップゲームやライトロックフィッシュゲームに最適。
74:主軸のオールマイティー
74はこのシリーズの主軸を担うロッド。オールマイティーな作りになっており、どのような釣りにも使いやすく対応が効く。
69:最も繊細なティップ
69は今回実釣でも使ったロッド。シリーズ中で最も繊細なティップを搭載しジグヘッドのテクニカルな操作にも対応していながら、プラグにもマッチ。
63:よく曲がる
63はよく曲がり軽量のジグヘッドも遠くに飛ばすことができ、適度な張りがあることで着底や潮の流れも感じやすい。
510:近距離のジグ単
510は張りがありジグ単をメインにした近距離のアジングに最適なロッド。
53:ショートレングス
53はショートレングスのため取り回しがよく510と同じくアジングに最適なほか渓流ミノーイング、エリアトラウトでも活躍する。
B:ベイトモデル
Bは(ベイトリール)タイプ。同じ長さのスピニングとブランクスは同じ。違いはガイドの設定。ブランクスに近い場所からラインが放出されることにより張りとパワーがあるように感じる。
69の実釣インプレ。掛けて楽しいティップとベリー

サーフアジング取材も終わってカメラもしまったのち、「もう少し釣っていきましょう」となり、郡司和福さんと二人でアジングを続けていると、いきなり真っ暗闇の中から「アジング、楽しい!」という叫び声が聞こえてきたので、記者は思わず吹き出してしまった。
続けて「いやあ、アジングってこうじゃなくちゃいけませんよね。今日は久しぶりのアジングだったので楽しみたいなと思って、69を持ってきてホント正解でした。あははははぁ」と。
入れ食いとはいかないが、適度なタイミングで25cmほどのアジが釣れ続く状況では無理もない言葉だが、その言葉には二つの意味合いが入っている。
一つ目は、今日の状況のせいだ。早朝のサーフから始まり、大きく場所を変えながら5、6ヵ所のポイントを回ってみても全くアジの姿が見えず、最後の頼みと選んだポイントでアジが釣れたことの安堵感、そして取材が終わった開放感。
二つ目は、郡司さんの言葉にもあったブルーカレントⅢ69による釣趣のためだ。
しなやかながら感度と操作性も併せ持つロッド設計
記者も郡司さんから69を借りて釣りをしたところ「なるほど、これは楽しい!」と叫んでしまった。
この日のアジはアタリが取りづらく簡単に釣れるような状況ではなく、流れの中で1、2秒だけボトムステイさせるとついばむようなアタリがあり、その中から本アタリを拾っていく感じだった。私が使っているロッドでは3回に2回はミスアワセになってしまう中で、69ではしっかりフックまで口に入ったことを見極めてアワセを入れることができた。フッキングが決まると思わずガッツポーズがしたくなるような展開で、これはかなり嬉しい。
チューブラのティップがしなやかでありながらベリー部分が絶妙な張りがあるので掛けていく楽しみがあり、魚を掛けた後の魚とのやり取りがまた「楽しい!」と思えるロッドなのだ。
ブルーカレントⅢで成立する、ドラグを出さないアジング

郡司さんのタックルを借りてわかったのは、ドラグがきっちり締まっていることで、聞けば「ドラグを出されるのは負けですから(笑)」と言う。先ほど50cm弱のヒラスズキを釣った時もこのままだったらしい。ロッドが魚の抵抗を吸収してドラグ並みの仕事をしているためかもしれない。このような釣り方もできるということだろう。
それと郡司さんは、ドラグを出さない釣りをするのだから当然といえば当然なのだがエステルラインを使わない。PEを使ってピンポイントをねらい、反応がなければ移動する。そのように非常にシンプルな考え方でアジングを楽しんでいる。
ジグヘッドとワームにこだわらない
ジグヘッドは縦にシェイクする時はラウンド系を、横に動かす時にはダート系を使う。それとドラグを出さないという釣り方とも関係するが、ゲイブの開いたタイプのフックはあまり使わない。
「以前、船で釣りをした時に100gのメタルジグに普通にアジが食ってきたことがあったのです。それから、これでしか食わないといったこだわりはなくなりました(笑)」
唯一こだわるのはプラグ
実際、フックは重さ毎に各メーカーの多彩なジグヘッドがケースに入っているし、ワームもすべてストレート系で色分けはしいるもののメーカーや種類はさまざまだ。唯一こだわっているのがプラグで、これは釣ってみたいと思ったものと実績の高いものを使っているらしい。
釣れない魚を何とかして釣っていくのもアジングの面白いところだが、釣れる魚を探していくランガンスタイルもまたアジングなのだろう。
※このページは『つり人 2024年1月号』に掲載した記事を再編集したものです。



