2019年3月17日(日)、伊豆大島の岡田地区で磯釣りをしていた男性が、見慣れない魚を釣った。ウキ下3m、オキアミエサに食いついてきた魚は全長40cmほど。ウスバハギやウマヅラハギに少し似ているが、魚体の模様が明らかに異なる。色合いからして南方系の魚みたいだ。同行の編集部員が記憶を頼りにネット検索したところ、猛毒を有することで知られるソウシハギだった。
カワハギに似た毒魚にご注意を!
2019年3月17日(日)、伊豆大島の岡田地区で磯釣りをしていた男性が、見慣れない魚を釣った。ウキ下3m、オキアミエサに食いついてきた魚は全長40cmほど。ウスバハギやウマヅラハギに少し似ているが、魚体の模様が明らかに異なる。色合いからして南方系の魚みたいだ。同行の編集部員が記憶を頼りにネット検索したところ、猛毒を有することで知られるソウシハギだった。居合わせた地元漁師の白井友貴さん(60)も「子どもの頃から半世紀以上、大島の海を見てきたけど、初めて見る魚です。これがあの、ソウシハギですか~」と驚きを隠せない。
猛毒を持つソウシハギ。伊豆大島の磯で釣りあげられた
ソウシハギに驚く地元漁師の白井友貴さん
ソウシハギが釣りあげられた伊豆大島の岡田地区の磯
ソウシハギはフグ目カワハギ科ウスバハギ属に属し、フグ毒「テトロドトキシン」の数十倍の毒性がある「パリトキシン」という猛毒を内臓に含んでいる可能性が高い。元来は熱帯の海域に生息する魚だが、流れ藻などの浮遊物につく習性がある。東京湾や相模湾の生態系に精通する神奈川県水産技術センターの工藤孝浩さんによると、東京湾でも幼魚の姿は以前から見られたという。しかし、いわゆる死滅回遊魚であり、冬場を乗り越えられずに死んでしまうと考えられていた。
水産庁の釣り人専門官の川上賢治さんにも確認したところ、ソウシハギの成魚が東京湾~伊豆大島にかけて生息しているという情報は水産庁には今のところ入ってきていないという。
後日、白井さんが地元のダイバーに確認したところ、大島のダイビングでは2、3年前からソウシハギの成魚の姿を普通に見られるようになったとのこと。
やはり、海水温の上昇が影響しているのかと白井さんにたずねたところ
「間違いないでしょうね。今は大島でタカベを採る網に、あのグルクン(タカサゴ)がたくさん入るんですから。ちなみに、大島のグルクンは脂が乗っていて旨いんですよ笑」
と衝撃の一言。
大島周辺でも網にかかるようになったというグルクン
伊豆大島は伊豆諸島の中で最も北の相模灘に位置し、東京湾の目と鼻の先にある。大島にそれだけ生息しているということは、相模湾や東京湾にもすでにいると考えるのが普通ではないだろうか。
海水温の上昇により相模湾では10年ほど前からキハダが回遊するようになり、北海道でもブリの魚群が押し寄せるようになった。しかし、ソウシハギやヒョウモンダコといった毒を有する生物も北上しているようなので、見慣れない魚が釣れた際には不用意につかんだり食べたりしないように。
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