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編集部2024年12月2日

OSP『モーゼ145F』の使い方│シーバスねらいのウエイクベイト兼ポッパー

月刊つり人ブログ

水面に引き波を立てて泳ぐウエイクベイト。水面に飛沫を上げてポップ音を響かせるポッパー。どちらも水面を意識したシーバスを強く惹きつけるルアーだ。ひとつのルアーを交換することなくどちらの要素が効くかを試すことができる。それがO.S.P から満を持してリリースされたモーゼ145F だ。

OSPがソルト用プラグとして一から開発したルアー第一弾

写真と文◎編集部

視覚、波動、音の相乗効果

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今回誌面ではアングラーとして登場してもらったが、志田さんの本職はルアー開発で、今回もその立場から新作のモーゼ145Fについて説明をしていただいた。まず、ルアーのネーミングから聞いてみた。

 

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サイズは145mmで42gだ

 

「これは十戒でおなじみ、海を割って海中に道を作ったモーゼからイメージして名付けました。ルアーの泳ぎの波紋で海を割るというイメージと、ルアー目掛けて魚が飛び出して海を割るというふたつの意味があります」

ジャンルとしてはウエイクベイトであるため、水面付近で引き波を立てながら泳ぐルアーだ。特徴としては速く巻いても潜り過ぎないこと。水深でいえばゼロから10㎝くらい。つまり、ターゲットをトップレンジに誘い出して食わせることにこだわった表層特化型ウエイクベイトだという。

「OSP独自の軽量ハニカムスーパーHPボディを採用することで、強度を維持しつつ、大幅な軽量化に成功しました。結果、アクションレスポンスを向上させたことでタイトなハイピッチロールアクションを実現しています」

ルアーの泳ぎを下からシーバスが見上げたとき、腹部、フラットな側面、腹部、フラットな側面がハイピッチで入れ替わることからフラッシングによる明滅効果で視覚に訴える。

といってもアングラーは特別なロッド操作は必要ない。デッドスローからミディアムファストリトリーブまで軽快な引き心地を堪能しながらただ巻きをすれば艶めかしい引き波を立てて泳いでくれる。

この引き波にどんな効果があるかといえば、やはり存在感を高めることが一番。表層系ベイトフィッシュやバチは水面にモジリや引き波を立てることで自らシーバスを誘い出してしまうことはよく知られている。

さらに、深く潜らないモーゼ145Fは常に表層をキープすることから水流を纏うことで自らのシルエットをぼやけさせることができ、デイゲームやクリアウォーターなどのルアーを見切られやすい状況でもバイトを引き出しやすいという。

そして太めのボディーに強い浮力が備わったことで、ロールアクションをするたびに水を大きく動かし、後方に強い波動の引き波を立てると同時に、ヘッド部に内蔵された大型スチールボールによるラトル音で、遠くの魚や深いレンジの魚にも存在を気付かせる。

視覚、波動、音の相乗効果でアピール力が非常に強いモーゼ145Fに近づいたシーバスは、ベイトを水面に追い込んだと思って本気食いをするため、水面を割ってしまうというわけだ。

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ウエイクベイトでありポッパー

表層特化型ウエイクベイトでありながら、このモーゼ145Fはロッドアクションを加えることでポッパーとして使用することも可能だ。ポップ音と内蔵された大型スチールボールによるラトル音で、遠くの魚や深いレンジの魚にも気付かせバイトに持ち込むことができる。

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ロッドアクションを加えればカップが水を受けてポッピング。音と飛沫と泡でシーバスの興味を惹きつける

 

遠くからでも聞こえるラトル音と遠くからでもしっかり目立つ引き波があることでリトリーブコースを把握することが難しいナイトゲームにおいても大きなアドバンテージとなる。

「そもそもモーゼ145Fの出発点は東京湾のチャーターボート・icfc横浜のキャプテンである遠藤正明さんから『バス用ポッパーのラウダーを150mmくらいにビッグサイジングしたものがあればボートシーバスにも面白そう』という提案からでした。そういう意味ではスタート時の着想は大型ポッパーだったんです」

着手していくうちに、ポッパーだけどただ巻きでも使えたらもっと面白いと考え、ドッグウォークとは別の泳ぎを追求していくうちにトップならではの浮力を活かしてウエイクベイトとしての現在のカタチに近づいていった。

実はバスルアーのメーカーとしておなじみのOSPだが、現在は同じくらいソルト部門に力を入れている。そしてこのモーゼ145Fは、既存のバス用ルアーをリメイクしたソルトバージョンではなく、ソルト用として一から開発したプラグの第一弾としてリリースされた金字塔的ルアーだ。

「ただ、出発点からボートシーバスでの使用を前提にしていたことから、アピール強めの大型ルアーでウエイトも50g、60gを想定していました。ポイントまでボートで近づけることから、ボート用ならその重さでも問題ないんですけど、せっかくならショアからも使いやすいものを目指そうと、構想から2年をかけて現在の145mmで42gというサイズになりました」

志田さんがこの日使用しているロッドもビッグベイト用でもなければヘビーパワーでもないミディアムパワーのシーバスロッドだが、思い切り負荷をかけて振り切ることができ、重心移動システムと相まって広い川幅の流心近くのはるか先までコンスタントに送り届けていた。

ビッグベイト並みの存在感がありながら、ミディアムパワーのロッドで容易に遠投できる長距離弾道ルアーとして、今回の荒川のようなオープンエリアのフィールドでは多くのショアアングラーの強い味方になるだろう。

「荒川に限らず、コノシロやアユ、イナッコなど、ある程度のボリュームがあるベイトを表層で捕食するようなシチュエーションでは季節やエリアを問わず有効です。大場所でも存在感を発揮するアピール力は武器ですが、決してそれだけではなく、デッドスローで巻けば、当然ピッチを抑えたロールアクションになり、プレッシャーのかかったスレた魚に対しても食わせの釣りが可能になります」

と志田さんもこの秋冬の活躍を確信している。

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「O.S.P 初のソルト専用プラグとしてイチから開発を進めたルアーだけに、一切の妥協はせず、とことんブラッシュアップして最高の高みを目指しました」と志田さん。その自信作を引っ提げて、東京湾内の河川で釣果を積み重ねている

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デイでもナイトでも常に見える

プロトタイプのスイムチェックはおもにボートから行なわれており、スイミングもポッピングも思いのままの操作性は船長からのお墨付きももらい、釣果も上々という結果に。そう。ショアモデルに転化したわけではなく、オフショアで効く性能はまるで失われていない。

ただし、ショアからの釣りでは、いよいよこの遠投能力が活きるシチュエーションが多くなる。

「荒川のような大河川でも流心付近までルアーを届けることができます。そして着水点が遠ければ遠いほどルアーのポジションや状態を把握することが難しくなりますが、モーゼなら着水直後のラインスラック処理をしながらジャークを加えれば、スプラッシュを上げてアングラーにも魚にも存在感を示します」

この誘いがラインメンディングも兼ねているため、川の流れにラインが必要以上にはらんでしまいにくく、ただ巻きに移行すれば遠くからでもはっきりとして引き波が確認できる。引き波が効くのか、ポップ音とスプラッシュが効くのかをひとつのルアーで試すことができるため限られた短い時合を逃すことがない。

「実は、ポッパーとしてはルアーの上アゴの角度が、ウエイクベイトとしては下アゴの角度が極めて重要であり、正直、相反する要素で、そこが一番苦労しました」

きれいなスプラッシュを立ててポッピングさせることを意識すればウェイクベイトとしての泳ぎは破綻するし、きれいな引き波を立てた泳ぎを意識すればポッパーではなくダイビングペンシルになってしまう。

それを解決したのがウエイトボールの微妙なポジショニングで、飛行時には最後方にあった3つのウエイトボールが、着水から巻き始めてラインテンションがかかると前方に移動する。そしてリトリーブ中(ただ巻き中)は最前方にあり、ストップするとウエイトボールが少し後方へ下がることで上アゴが水面に出るためポッピングしやすくなる。

「それはウエイトボールのポジショニングのほんの少しの違いなんですが、力学、工学の知恵やモノづくりの妙が詰まっています」

そのカラクリは、実際に投げて、巻いて、スプラッシュを上げて体感してみてほしい。

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2 年の歳月を経て開発を続けてきた。ボートからの釣りでもウエイクベイトとしてもポッパーとしても大型のバイトを引き出すことを確信した

 

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ハニカムスーパーHP ボディを採用することで軽量化と強化を両立させた。ボディ内部には3つのウエイトボールが内蔵され姿勢によって移動する。キャストの際は写真のように最後方にある

 

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着水の衝撃でウエイトボールが前方に移動する

 

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着水時から特別な操作をせずともリトリーブを開始するだけで前方にあったウエイトボールがさらに少しだけ前進して最前方に収まる

 

 

※このページは『つり人 2024年12月号』を再編集したものです。

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