コンパクトながらも本格仕様で人気のロッド、パックスタイル。あなたならこのロッドを使ってどんな場所でどんな魚をねらう? この連載ではパックスタイルを使って楽しめる釣行の一握りを紹介! 今回はバイクツーリングに忍ばせてエリアトラウトも楽しんだ。
コンパクトながらも本格仕様で人気のロッド、パックスタイル。あなたならこのロッドを使ってどんな場所でどんな魚をねらう? この連載ではパックスタイルを使って楽しめる釣行の一握りを紹介! 今回はバイクツーリングに忍ばせてエリアトラウトも楽しんだ。
写真と文◎横山知穂
親和性の高い釣りとバイク
ツーリングで、釣りに行く。
バイク乗りの釣り人ならば、この一文だけできっとワクワクしてしまうのではないか。
数年前に突然の思い付きで普通自動二輪の免許を取得した。昔から後先考えずその場のフィーリングで行動することが多い私は、免許を取ってもいないのに一目惚れしたバイクを購入してしまったからだ。その頃にはすでに釣りにどっぷりハマっていて、仕事が忙しくなければ毎日のように釣りに出かけていた。それなのに、「バイクで釣りに行く」という構想を一切せずに、少々大きな買い物をしてしまった。しかし、いざバイクに乗ってツーリングに出かけると、目的地や道中で川や海を見る度にタックルを持って来れば少しでも釣りができたのに……とやや残念な気持ちになることも時々あった。
ただ、バイクで釣りに行くとなると問題になるのは荷物、特にロッドだ。2ピースのような仕舞寸法が長いものは当然持ち運べないし、4ピースならまだなんとか積み込めるが、ツーリングをメインにするとなるとやはりその長さから扱いに困り、軽快な日帰りツーリングの楽しみは半減してしまう。
ライダーとアングラーの理想を両立
バイクと釣りという2つの趣味を両立することは難しい。しかし、そんなわがままを実現させてくれるロッドがある。それがパックスタイルシリーズだ。特にA4は30cm以下の仕舞寸で非常にコンパクト。このパックロッドは「ツーリングでは荷物を最小限にしたい」というライダーとしての理想と、「使用感のよいタックルで気持ちよく釣りがしたい」というアングラーとしての理想を両立させてくれる逸材だ。
パックスタイルはロッドだけでなく、専用のソフトカバーとセミハードケースが標準で付属されている。これを使えばロッドがしっかりと守られるので、繊細なライトクラスのロッドであってもバイクでの移動中に破損してしまうかも、という不安は解消された。
A4サイズのパックロッドとベイトフィネスリールとルアーケース。「こんなにコンパクトに釣りに出掛けられるなんて!」と、とても感動しながら準備をした。ツーリング先に釣り場があるのはよくあることで、いつも釣りをすることができずに苦い思いをしていた。しかし、このコンパクトサイズなら救急セット感覚で“念のために”釣具を入れておこうなんてこともできてしまう。今後はツーリング先で気になった場所があったらサオをだしてみる機会も増えそうだ。
紅葉を求めて宮ヶ瀬ダムへ
ツーリングに出かけたのは秋。今年は暑さが長引いたが、ようやく涼しくなってきてバイクでも快適に走れるようになってきた。山間は紅葉シーズン真っ只中ということもあり、神奈川県で紅葉と言えば定番中の定番、宮ヶ瀬ダム方面へ日帰りツーリングを楽しんできた。
この日はとても冷え込んで、バイクで風を切って走ると思いのほか寒い。最初に向かったのは、ステーキレストランSTUMP。
最初の目的地、ステーキレストランSTUMP。宮ヶ瀬ダムのツーリングコース沿いにある人気店でエネルギーチャージ
宮ヶ瀬ダムへ向かう道中にあり、ドライブやツーリング、ロードバイクでのサイクリングで訪れた人たちに人気のお店だ。おすすめされたUS熟成ハラミステーキ、そしてオニオンリングとポテトをいただく。レア気味に焼かれた肉はとても柔らかく、肉の旨味がすごい! 冷たい風に曝されて体は冷え切っていたが、暖かい店内に美味しい食事で生き返る。デザートまで楽しみたかったが、今日はやることいっぱい。次の目的地へ向かう。
オギノパン本社工場直売店はバイク専用の駐車場もあり、ずらりとバイクが並んで停まっているツーリングスポット。ここは揚げたてにこだわっているそうで、本当にいつでも揚げたての揚げパンを購入することができる。サクサク、ふわふわのコッペパンに、たっぷりと砂糖がまぶされていてとても美味しい。テラス席には学校の椅子が置いてあり、給食を食べていた頃の懐かしい気分に浸ることもできるのが面白い。
オギノパン本社工場直売店も定番のツーリングスポット。揚げたてアツアツの揚げパンが美味しい
腹ごしらえもできたところで、再びバイクに跨り、紅葉した山道を走る。澄んだ空気と色鮮やかな景色にため息が漏れてしまう。車とは違い、自然をダイレクトに感じられるバイクによるツーリングは、釣りと似通っている部分もある。だから好きなのだと改めて感じた。
魚の反応に一喜一憂
いよいよ釣り場に到着。宮ヶ瀬ダムに注ぎ込む早戸川にあるリヴァスポット早戸はルアー・フライ・テンカラ専用の管理釣り場だ。透明度の高い清流を覗き込むと、沢山の魚影が見える。そしてこの時期は紅葉を眺めながら釣りができる素晴らしい釣り場なのだ。ここのレストハウスには食堂があり、そこでは釣った魚を塩焼きや唐揚げ、洗いなどに調理してもらえる有料サービスがある。釣った後の食べる楽しみのためにも、「絶対に釣果を出さなければ」と意気込んで釣り場に立った。
しかし、実は渓流タイプの管理釣り場は初めて。ポンドタイプには足しげく通っていたのだが、それとはまったく違う環境で、もちろん釣り方も違うので、まずはそれを探るところから始まる。「魚が興味を示してくれるルアーはどれだろう」「どうやってアクションさせたらルアーを見てくれるのだろう」と、一から探っていくこの時間はとても楽しく、新しいフィールドで釣りをする時の醍醐味だ。
パックスタイルA4 B60Lを使っていて驚いたのは、8本継ぎなのに、どの継ぎ目も緩んだり回ったりしないこと。そして継ぎ目の多さを全く感じさせない綺麗なベンドカーブだ。さらに私好みの張りのある高感度仕様である。かなり軽量で操作しやすいレングス、グリップエンドの長さもちょうどよく、手の小さい私でもとても扱いやすい。
私の中でパックロッドは、“携帯性重視のサブロッド”だったが、パックスタイルはそのイメージを覆してくれた。今回使ったB60Lはメバルプラッギングなど、私がいつも楽しんでいる海でのライトゲームでも活躍してくれそうだ。
魚を振り向かせるための試行錯誤に夢中になっているとタイムリミットが迫ってきていた。反応のよかったスプーンを投げ続けているとようやくヒット! サイズは小さいながらも本日の初ヒットの綺麗なニジマスに自然と笑みがこぼれる。だがその後も連続ヒットとはならず……、時間切れにて納竿。近いうちに、またパックスタイルを持ってツーリングとセットで楽しみたいと思う。
試行錯誤の末、ついにヒット!
元気なニジマスだ
釣れた1尾を食堂で塩焼きに。「次はこれをやってみよう」といろいろな反省をしながら美味しくいただいた
※このページは『つり人2024年3月号』を再編集したものです。