コンパクトながらも本格仕様で人気のロッド、パックスタイル。あなたならこのロッドを使ってどんな場所でどんな魚をねらう? この連載ではパックスタイルを使って楽しめる釣行の一握りを紹介! 今回は舟屋の里、伊根町の観光の合間にサオをだしてみた
コンパクトながらも本格仕様で人気のロッド、パックスタイル。あなたならこのロッドを使ってどんな場所でどんな魚をねらう? この連載ではパックスタイルを使って楽しめる釣行の一握りを紹介! 今回は舟屋の里、伊根町の観光の合間にサオをだしてみた
文◎黒神樹 写真◎大﨑俊
プロフィール
黒神樹……1999年生まれ、明石市在住。釣り好きが高じてがまかつに入社、商品開発課にて釣具の企画開発に携わる。イワナ釣りと釣り旅が特に好きで1尾との出会いを大切にすべく各地を巡っている。
パックロッドを 私が愛するワケ
私はPACK STYLEが登場するより前からパックロッドの魅力にあてられてしまい、具体的には大学1年生の頃から使うロッドはパックロッドだけになっていった。なぜパックロッドに偏愛するようになったかというと、初めは小継のサオが一本の長いサオになるようすに男心をくすぐられたからだ。読者の中でも幼少期の頃に合体ロボットなどが好きであった人なら共感してもらえるのではないかと思う。コンパクトな仕舞寸法は利便性も非常に高く私のロッド選びにはいつしかパックロッドであることが絶対条件になっていた。
コロナ禍以前、私が学生時代のころは格安航空の発達で飛行機を利用した遠征のハードルが極端に下がり、それに相まって飛行機に乗って各地へ遠征に行く機会が増えた。よく通ったのはワイルドトラウトねらいで北海道や、南方系五目釣りを楽しむための西表島だ。これが本州ではなかなか体験ができないダイナミックな釣りで面白く、夢中になってしまい生活費を使い込んでまで遠征していた。学生なので幾分お金がなく、預け荷物が増えて料金が嵩むのは避けたかった。超過料金を取られないよう、荷物をコンパクトにしたかったので必然的にパックロッドを選ぶようになったのだ。
今では山歩きを伴う源流釣りや地磯をランガンするような釣りをする機会が多く、両手を空けて安全にポイントまでアクセスしたいという理由でパックロッドを選んでいる。選ぶ理由は変わったが今でもパックロッドを使う機会がほとんどなのは変わっていない。
また、現在のパックロッドには「すぐに折れる」「曲がりがいびつ」というモノが少なく、パックロッドを導入することに特段の抵抗感がないことも使い続けている理由のひとつだ。ここまでパックロッドを作って広めてくれた先人達には頭が上がらない。
セミハードケースごと入れても収まりのよいコンパクトさがパックスタイルの魅力
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釣りをしなくても気疲れしないパックロッド
そんなパックロッド世代の私がパックロッドのいいところをひとつ挙げるなら「釣りをしない」という選択肢が増えることだ。どういうこと? と思うかもしれないが、たとえば釣り場が近い所に小旅行へ行くとき、観光が目的であれば釣りをする「かもしれない」からと2ピースのロッドを持って行くということはしないだろう。仮に持って行っても釣りをしない同行者に苦言を呈されたり、せっかく持ってきたのだから何処かで釣りをしないと、という意識が頭の中にもやもやと残り続ける。その点パックロッドであればそんな心配はない。持ち込みに労力をかけていないので釣りができそうならすればいいし、できないならできないですっぱりと割り切れる。
特にPACK STYLEは、40前半でも相当にコンパクトといえる市販パックロッドの基準を大きく下回る極めて短い仕舞寸(33.5cm)なので写真のように旅行カバンにもキレイに収まってしまう。このカバンに仕舞い込めてしまうというコンパクトさは一度体験してしまうと戻れなくなってしまう。パックロッドの仕舞寸が10cm変わるというのは数値以上の便利さを持っているのでぜひ一度お試しを。
さて、お盆休みを利用して天橋立でおなじみの京都府北部、ヴェネチアの美観にもたとえられる伊根の舟屋を見に足を延ばした。舟屋が立ち並ぶ光景は観光名所になっているが、海に面して建てられた建物の1階が舟屋(舟用ガレージ)になっており、二階は居住スペースになっていて普段から生活が営まれている。地域住民の迷惑にならないように配慮して観光も釣りも楽しんでほしい。今回は観光がメインとなるので釣りができれば御の字だとは思いつつコソコソとバッグにロッドとリールを忍ばせていた。
地域的にターゲットとして考えられるのはキジハタ、カサゴ、チヌなどだ。そこでシリーズ最強のPACKSTYLE B4 S74Mを用意してきた。「釣りをしない選択肢」と前述したものの、やはり釣り人である私はカバンの中にロッドが入っているというだけでもワクワクできた。観光中も釣りができそうな場所を見つけては覗きに行き、同行者が少し観光に飽きていたタイミングを見計らってサオをださせてもらった。最終的には同行者もノリノリで一緒に釣りをしたので、旅行にパックロッドは思い出作りの必需品かもしれない。
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観光の合間に楽しむライトソルト
今回は10g 程度のジグやマイクロワインド、フリーリグを主に使用していた。シャクリやリフト&フォールなどのロッドアクションがつけやすく、適応ウェイトも5~28gと下限方向に広いため今回のように一本だけサオを忍ばせていくというシチュエーションには汎用性が高いS74Mは最適な選択肢になる。
魚が着きそうな潮通しがよく足もとに敷石が入っているお誂え向きの堤防を見つけられたので少しだけロッドを継いだ。まずは様子見、と表層付近をワームのジグ単で探るとコツコツ当たってくる。なかなか乗らないので軽いジグヘッドに交換するとすぐさま答えが出てくれた。小さなカマスだ。サオをだした以上、気持ちが釣りモードになっていたので魚の姿を見られてとりあえず満足。
ミディアムクラスながら軽量なジグ単も扱える
五目を目指そうと思い、フリーリグを使うとボトムからカサゴが顔を見せてくれた。ここはキジハタが釣れることもあるので意気込んだが、残念ながらヒットすることはなかった。
全国どこでもねらえるライトソルトの定番ターゲット、カサゴ
まだまだ旅行の途中なのでそろそろ切り上げなければと思いつつ、最後はワインドで何かしらの魚を釣って終わろうと思い、底をじっくり探るとコッコッコッとアタリがありロッドに重みが乗る。先ほどのカサゴやカマスに比べていい引きでロッドを曲げ込むのでワクワクしながらファイトをしているとクロダイが浮かび上がってきた。短時間の釣りで目を見張るような釣果は得られなかったが、クロダイ、カマス、カサゴの三目と充分な釣果で楽しむことができた。
ワインドでヒットしたのはクロダイ
釣りという遊びは釣りをしない時間も楽しめる。その時間をもっと増やしてくれるパックロッドというのは実は釣り具として最高のスペックを持ったモノなのかもしれない。パックスタイルであれば釣り以外の楽しみを邪魔することなく、不意に訪れる釣りの機会を逃さずに楽しむことができるはずだ。
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今回使用したロッド
PACKSTYLE B4 S74M
2.5~ 3号を使ったエギング、シーバス、ライトショアジギングでの釣りを想定したS74Mは、8本継でもオール並継構造を採用。並継構造を採用したロッドは太くなるものの、太いほどパワーを持たせることができ、ティップからバットまで均一なテーパーで太くしていくことで、曲がった際の復元力も強くなった。そのため、エギングのシャクリ、ミノーのジャークなども軽快に操作できる。
また、全長が7フィートを超えてくるとキャスティング時にティップのスッポ抜けが起きやすくなる。スッポ抜け防止のためにジョイント部を長くするのは簡単だが、曲がりが綺麗ではなくなる。きれいな曲がりとスッポ抜けの防止を両立できるようセッティングには試行錯誤を重ねた。
39cmの仕舞寸法で携帯性の優位はもちろん、ロッドパワーをしっかり引き出せるレングスで、エギングやシーバスからライトなショアジギングまで楽しみつくせるオールマイティーなモデルになっている。
日本三景のひとつ、天橋立も立ち寄った。橋の上から覗いてしまうのは釣り人の性
※このページは『つり人 2023年11月号』を再編集したものです。