水中イトと中ハリス、水中イトと天井イト。いずれも編み付けて瞬間接着剤で固定していくが、結び目の編み初めの部分に接着剤が付くと強度が落ちてしまうので要注意。平井さんは上付けイトを介さず、天井イトを水中イトに直接接続する。結束箇所を減らすことで仕掛けの強度低下を抑えている。
写真と文◎編集部
鮎の友釣りでは本命がガツンとオトリに体当たりをかました瞬間、ハリスや中ハリスに負荷がかかる。大きなアユになれば悠然と仕掛けを切る。だから強い仕掛けが必要だ。今回友釣り歴60年のベテランに強度の高い仕掛けの作り方を聞いた。後編は具体的な作り方を紹介していく。
この記事は月刊『つり人』2021年10月号に掲載したものを再編集しています
前編:強度の高い鮎仕掛けを作るコツ
後編:鮎の仕掛けの作り方
鮎の仕掛けの作り方
続いてパーツごとの結び方や編み込み方法など、具体的な仕掛けの作り方を紹介する
逆バリの取り付け方
まずは中ハリスに8の字結びで抜け防止のコブを作る。平井さんは中ハリスを編み付け器に固定したうえで逆バリを添え、図のようにオモリとボビンホルダーを使って根巻きイトで巻き留めていく。
巻き終わっても止める必要はなくそのままの状態に瞬間接着剤をたらせばよい。固まったら余分をカットするだけだ。その際、根巻きイトの端にはオモリを噛ませておくとテンションが緩まない。
逆バリは大アユねらいなら3~4号を使用する
ハナカンの結び方
ハナカンと編み付けイトの接続はぶしょう付け。強度を上げたければ、トックリ結びを追加し、瞬間接着剤で固定するとよい。編み付けイトは中ハリスに巻き付けていく。ハナカンにオモリを噛ませると巻き付けやすい。
ハナカンを中ハリスに巻き付ける。オモリをハナカンにかませて作業すると早く簡単にできる
平井さんの場合、巻き付け回数はPE0.6号なら9回、0.3号なら12~13回だ。最後は結び目だけに瞬間接着剤を塗布する。中ハリスに巻き付けた場所に接着剤がつかないように気を付けたい。遊動できなくなってしまう。
25~26cmクラスならハナカンは8号を使いたい
背バリの結び方
平井さんの背バリを一見すると0.2号のナイロンで編み付けた「止めイト」の意味が理解し難い。というのも中ハリス着脱式の背バリにしたければ、背バリにチチワをセットしたところで、中ハリスにはぶしょう付けで接続すれば簡単だ。しかし平井さんは老眼が進んで視力が悪く、2cmという小さな背バリのチチワをぶしょう付けするのに苦労するという。
そこでスライドして止めることのできる「止めイト」を編み付けるのだ。これを現場で着脱する時は、輪を開いて逆バリ側から通さなければいけないので面倒ではある。が、こちらのほうが短い輪をぶしょう付けするよりも楽なのだという。
また、釣行時は背バリを付けて釣りをスタートする。なぜなら泳ぎの弱い養殖アユをアシストし、天然の1尾目を取るため。だから釣り始めの仕掛けには必ず背バリがセットされた状態だ。そこで仕掛け作りの際も中ハリスを水中イトにセットする前にハナカン上部に背バリを通してから編み付ける。そして大きくて元気な野アユが掛かった後は、背バリを外したり切ってしまうことも多い。背バリは潜行をアシストする補助器具。大アユの場合は抵抗が増しすぎて操作がしづらくなるからだ。
水中イトとの編み付け方
水中イトと中ハリス、水中イトと天井イト。いずれも編み付けて瞬間接着剤で固定していくが、結び目の編み初めの部分に接着剤が付くと強度が落ちてしまうので要注意。平井さんは上付けイトを介さず、天井イトを水中イトに直接接続する。結束箇所を減らすことで仕掛けの強度低下を抑えている。
水中イトに取り付ける目印は4つ。下2つはオトリの動きを見るためのもので、水中に入った際に抵抗にならないよう小さくカット。上2つはイトの位置を把握するためで、水中に入ることがないため見やすさ重視で大きくカットしている。
天井イト同士の編み付け方
天井イトに折り返し部分を作り、仕掛けの長さを調節できるようにする。その際にも④と同様の編み付けを行なっている。編み付ける際は40cmほど余分にカットしてその部分を使うと余裕を持って編み付けることができる。ただし、遊動できるように、瞬間接着剤は使わない。編み付けた後の留めは片結びで固定する。注意するべきはイトの素材。片結びをする際にあたってナイロンであれば問題ないのだが、フロロカーボンだと途中で止まってしまい成功しにくいので注意が必要だ。なるべく根もとまで結び目を寄せてから引き戻すとフロロカーボンでも成功しやすい。
力加減やイトの素材によってベストな編み付け回数も変わる
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