ビッグゲームではショア、オフショアを問わずウッドプラグに根強い人気がある。ソルトルアー専門店の海吉の岡本幸典さんにイチオシのプラグを展開しているブランドを4つ教えてもらった。
ビッグゲームではショア、オフショアを問わずウッドプラグに根強い人気がある。ソルトルアー専門店の海吉の岡本幸典さんにイチオシのプラグを展開しているブランドを4つ教えてもらった。
写真と文◎編集部
ウッドプラグの楽しさはミッション車と同じ
一昔前と比べて、青物やマグロねらいの大型プラグもインジェクションや発泡ウレタン製のものが多く店に並ぶようになり、選択肢も増えてきた。しかし、ハンドメイドのウッドプラグはいまだに根強い人気があるどころか、多くのアングラーの一軍ボックスに現役として入っている。その理由は何なのだろうか。吉祥寺にある海吉店主であり、自身もショアからのビッグゲームを楽しんでいる岡本幸典さんはこう語る。
「ハンドメイドプラグの魅力というと、まずはルアーの美しさだと思います。形状や塗装などさまざまな要素にビルダーさんのこだわりが見える。なにより手作業なので同じものはないんです。そんなオンリーワンのプラグが自分の釣った魚の口もとについているなんて最高じゃないですか」
もちろん、機能面でも樹脂製に勝るものがある。それはアクションのキレだ。ウッドは発泡ウレタンやインジェクションよりも浮力が高く、キビキビとしたアクションになりやすい。また、この釣りで多用されるダイビングアクションでも早い動きで水面へ頭を出すため見切られにくいという利点もある。
「ウッドはいわばミッションです。発泡ウレタンはオートマ、インジェクションはCVTといったイメージです。誰でも使いやすいのはインジェクションですが、ウッドのやや不自由な所に楽しさを感じています」
同じ製品でも重さや動きが微妙に違う点がウッドの不自由な所だが、自分のスタイルが構築され始めた中級者からベテランには自分なりの使い分けやチューニングができて楽しいのだ。
もし深い傷がボディーに付いたら……
見た目でもチューンでも楽しめるウッドだが、弱点もある。それは強度だ。厚くコーティングされているとはいえ、塗装面を突破する深い傷をつけるとウッドが水を吸い、ルアーを内側からダメにしてしまう。岡本さんによると壊れる時は大抵岩にぶつけた時で、回収時は特に注意すべきとのこと。もし深い傷を付けてしまったらその後は使わないのが得策だ。小さな傷であれば帰宅後、充分に乾燥させてから補修用のマニキュアなどで傷口だけコーティングすると応急処置になるが、修理対応してくれるメーカーもあるので確認しよう。大きく欠けている場合は潔く殿堂入りさせるのもよいだろう。
また、ステンレス製とはいえアイやシャフトが絶対に錆びないということはなく、釣行後はぬるま湯に5~10分ほど浸けて塩抜きした後に吊るして乾燥させると長く使える。釣行後のメンテナンスをしっかりするとまた愛着も沸くことだろう。
下でご紹介する岡本さんイチオシのハンドメイドプラグたちは海吉で取り扱っているもの。ぜひ店頭でひとつひとつじっくり見て自分だけの相棒を見つけてほしい。
ぬるま湯で塩抜きしてから吊るして乾かすことで長く使える
フックサークルなど細かい傷は使い込んだ証だが、もし欠けたりした場合は自分でリペアするかメーカーに修理してもらうこと
アイの向きひとつとっても各ルアーに合わせた工夫が見える
Shell Shaping Lures
Trumpet サイズ(mm):90、110、140、155、170、185
全面アワビ張り仕様も人気。4種類のアワビを使い分けていて、同じものは二つとない
若夏オーバル。ダイビングアクションで泡を纏いながら泳ぐスイミングポッパータイプだ
2、30年続くShell Shaping Luresは大型ハンドメイドプラグの元祖とも言える。ビルダーの貝田吾朗さんのルアー制作技術は高く、ルアーもサイズ展開が豊富なのが特徴だ。GTや青物用からチヌ用まであらゆる魚に対応している。代表作ともいえる「Trumpet」はビッグゲーム用ポッパーの草分け的存在。他にもスイミングポッパーの「若夏Oval」は音と泡で魚を呼び寄せる力が強く、岡本さんも気に入っているという。特定のカラーパターンはなく、送られてきたものを見るまでどんなカラーなのかは発注した岡本さんも分からないそうだ。ぜひ店頭でひとつひとつのカラーリングを確認してほしい。
魚じゃらし工房
Musya 種類:120、1402 、170、170S-3、170Slim
今秋発売のLa Gras180。魚じゃらし工房初の水平浮きダイビングペンシルで、適度な水押しと大きいヒラ打ちアクションで魚を誘い出す
ヘッドの形状でアクションも変わってくる。写真はダイビングペンシルのMare(左)とLa Mer(右)
青物フィールドが近い徳島の地でルアーを制作しているのが魚じゃらし工房の原村聡志さん。岡本さんいわく、とにかく塗装がきれいで強い!とのこと。比重が軽い桐材を使用しているため、アクションも非常に軽快となっている。青物用ミノー「Musya」はハンドメイドプラグでは数少ないジャンルということもあり人気が高い。シンキングで重心が後ろにあるため、飛距離が出しやすく、早引きにも対応している。「MusyaPop」は青物用の小口径ポッパー。テール側が大きく膨れており、こちらも飛距離重視の設計となっているのが特徴だ。
HAMMER HEAD
Cherry Pai サイズ(mm):180、200、220、250
ダイビングペンシルのCherry Asy。ポップなカラーリングとハートの目がかわいい
ハンマーヘッドのルアーは目がチャームポイント
遊び心満載の変わったカラーリングやかわいい表情が特徴的なハンマーヘッドのプラグたち。背中の文字はビルダーの丸山佳夫さんがひとつひとつ手書きしている。
「Cherry Pai」をはじめとしてルアーはどれもファットなものが多く、どちらかと言えばマグロやGT をメインターゲットとしているが、大型のヒラマサにも実績がある。細身のルアーよりも浮力がある分、フックも大きいものを搭載できる(=大型に対応できる)のも魅力だ。同じプラグでもシングルフックチューンなど細かなラインナップが展開されているのも面白い。
Black Ledge
オーストラリアのルアーメーカー、Black Ledge が作るFlare Poper(上)とPeanut(下)。メタリックなクマノミカラーはインパクト大
日本製ハンドメイドプラグは海外のアングラーも使うほど素晴らしいものばかりだが、海外製も負けてはいない。海吉で取り寄せているブラックレッジは日本のルアーにはない独特のカラーリングやスペックが特徴だ。ペンシルベイトの「Peanut」はフローティングとシンキングの2 タイプあり、シンキングタイプはなんと149gの超ヘビー仕様。このスペックにビビッと来た人はぜひ海吉に足を運んでみてほしい。
今回教えてくれたショップは
オフショア、ショアのビッグゲーム用品を中心に取り扱うプロショップ。ハンドメイドプラグはもちろん、ジグなども豊富に取り揃えている。他にもロッドやライン、フックの他、ウエア類まで幅広い品揃えとなっていて、スタッフ同行の釣行会も開催している。タイラバ、シーバス、エギング、アジングなど比較的ライトなソルトルアー用品も多数取り扱いあり。
※このページは『つり人 2023年11月号』を再編集したものです。