PEをうまく巻けていないとラインが切れてしまうことがあります。切れてしまわぬよう、正しく巻くコツをソルトルアー専門店スタッフに聞きました。
大物がヒットした矢先、PE が高切れ……。その原因はラインの巻き方にあるかもしれない。
写真と文◎編集部
力勝負ならではのチェックポイント
リールやラインを購入したら最初にすることはリールにラインを巻くことだろう。購入したお店で巻いてもらう人もいるだろうが、釣り好きな人ほど自分でラインを巻くことが多いはず。ラインを巻くという作業自体は決して難しくはないが、本当に正しく巻くことができているだろうか。
テンションはしっかりかける
ソルトウォータールアー専門店であるブルーウォーターハウスのスタッフ、末次広和さんに話を聞いた。オフショアを中心に青物を追いかけているそうだ。こんな大マサを釣りあげるためには細かなことでも無下にできない。
末次さんによると、まずラインを巻くときの基本としては、しっかりテンションをかけて巻くということが大切になる。ラインがフワッと巻かれた状態だと指定の長さを巻ききれないばかりか、キャスト時にごそっとラインが出てしまう原因となるからだ。これは青物ねらいに限らず、シーバスやアジングでも起こりうるので誰もが注意して巻いていることだろう。ただし、大型青物をねらう場合はもう一つの事故が起こる可能性があると末次さんは言う。それがラインの食い込み。青物ねらいでは魚を走らせないためにドラグ設定は高負荷であることがほとんどなので、充分負荷がかかっていない状態でラインがスプールに巻かれていると魚がヒットした際にラインが食い込んでしまう。結果として、ドラグの滑り出しが悪くなって設定値よりも強い負荷がラインにかかって切れてしまうのだ。これを防ぐためにはラインが食い込まないように前もって高い負荷を掛け続けてラインを巻いていく必要がある。号数に応じて適切なテンションをかけて巻き、巻かれたラインを指で押しても潰れない(=ラインが食い込む余地がない)かどうかを確認してほしいとのこと。この際、テンションはなるべく一定で巻けるとよいと末次さんは言う。手巻きで300mを巻くのは骨が折れるが、釣り場で悔しい思いをしないためにも頑張りたいところだ。もし自信がないのであればお店で巻いてもらうのも手だ。
強い負荷がかかる釣りではイト巻きでも釣果が左右されることもある
スプールは縮んだり膨張したりする
もうひとつ気を付けないといけないのが、スプールは温度で収縮したり膨張したりするということ。これもやはり、どんなリールを使っていようと金属製のスプールである以上起こりうることだ。当然、スプールの軸の太さも変わるので、たとえば夏にラインを巻いたとすると、冬には軸が細くなり、そこに隙間ができてしまうのだ。つまり、スプールに巻かれたラインがまるごと滑ってしまうことになる。こうなると最悪で、ヒットしてもドラグは出ていないのにラインがスルスルと滑り出ていき、魚を寄せられない。
対策は人によってさまざまだが、末次さんの対策方法は軸にビニールテープを巻くということ。これによって、テープが滑り止めの役割を果たし、ラインが滑ることがなくなるのだ。ビニールテープの上からユニノットなどでラインを結び、巻いていくことになる。
軸に溝がないスプールにラインを巻くときはビニールテープを巻くことで滑り止めになる。これを忘れるとスプールが縮んだ際にラインと軸の間に隙間ができ、巻いたラインが滑って使い物にならない
ラインは巻き過ぎないように注意。しっかりテンションを掛けて巻けばメーカーの既定どおりに巻き取れるはず
便利アイテム
写真の「XBRAID Xテンショナー」はいわゆるイト巻き機だが、一定のテンションを保って巻き取れるのが最大の特徴。巻き初めから巻き終わりまで負荷がほとんど変化しないため、スムーズに作業が進められる。末次さんは濡れタオルでラインを押さえることで負荷をかけてイト巻きをしていたが、ラインの天敵である熱が生まれてライン強度を下げてしまっているのではないかと気になっていたそうだ。しかし、X テンショナーはラインを押さえて負荷をかける構造ではないので摩擦熱が発生しにくく、パッケージ状態の強度をそのままリールへ移すことができる。XBRAID 製品のスプールであれば簡単にセット可能で、対応幅は0.6~6号、最大負荷は4kg。
負荷の調節はダイヤルを回すだけなのでわかりやすい
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※このページは『つり人 2023年11月号』を再編集したものです。