連続する落ち込みや激しい流れの中を通していく渓流ルアーは石にぶつけることも多くフックが傷みやすく消耗度も高い。またヤマメ特有の身をよじらせるローリングはバラシも多い。こまめなフック交換が釣果アップにつながるのはもちろん、シングル、ループ、トレブルの使い分けや使い所が分かるとより多くの渓魚を手にすることができる。ここではヴァンフックの田口祐太さんに、渓流ミノーイングの効果的なフック使いを聞いた。
連続する落ち込みや激しい流れの中を通していく渓流ルアーは石にぶつけることも多くフックが傷みやすく消耗度も高い。またヤマメ特有の身をよじらせるローリングはバラシも多い。こまめなフック交換が釣果アップにつながるのはもちろん、シングル、ループ、トレブルの使い分けや使い所が分かるとより多くの渓魚を手にすることができる。ここではヴァンフックの田口祐太さんに、渓流ミノーイングの効果的なフック使いを聞いた。
写真と文◎編集部
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シングルフックの使い方
渓流ルアーにおけるシングルフックのメリットを教えてください。
田口 第一にシングルフックはスナッグレス性能に優れます。根掛かりや障害物に引っ掛かりにくいことからビギナーにもおすすめです。またトレブルに比べれば魚体が傷付きにくい。トレブルはどうしても魚の顔を傷付けてしまうことが多いです。
管付きシングルフックPLB-49F は5 ㎝ミノーに# 6 もしくは#8がマッチする
形状はどんなものがありますか?
田口 弊社の製品では渓流ルアーのシングルフックとして6種類がラインナップされていますが、管付きモデルはラウンドとワイドの2タイプがあります。プラッギングのメインフックにはラウンド形状でフッ素コーティングが施されたマイクロバーブのPLB -49Fがおすすめ。軸の強度的に一般的な渓流でヤマメやイワナの40cmクラスまで対応可能です。渓流域で使われるルアーは5cm前後のミノーがベースになります。5cmのミノーにマッチするフックサイズは#6か#8。ルアーの全長だけでなく背中の張りぐあいやフックの重さが各ルアーの動きにどう影響するかも考慮してください。またフックサイズを小さくするとフッキングが悪くなるイメージをもつアングラーもいます。しかし渓流域の場合はフックを小さくすることでスナッグレス性能を上げられるのはメリットです。この点も加味してルアーサイズ5cmに対して#6と#8の2サイズを持っておけば攻略の幅は増えるのかなと思っています。PLB -49Fよりも軸がやや太いPLB -59Fは50~60cmのレインボーやブラウンのいる釣り場におすすめです。ミノーのサイズに対してマッチするヴァンフックの管付きシングルフックのサイズを列挙すると次のような感じです。
・ミノー4cm台=PLB -49F#8、#10
・ミノー5cm台=PLB -49F#6、#8
・ミノー6cm台=PLB-49FもしくはPLB-59F#6
あと管付きシングルフックは一本あたりのコストパフォーマンスが高いです。たとえば次に紹介するループアイのフック(ドリフトフック)が5本入りで550円なのに対して、PLB49- Fは12本入りで450円です。渓流ルアーは石や障害物にぶつかりやすい。だからフックの消耗度も高いんです。そういう意味で交換に躊躇しないコストパフォーマンスも重要です。
5cmミノーにPLB 49F を装着した。製品名の「PL」はプラッギングに特化していることを意味する
管付きシングルフックのワイドゲイプモデルはどんなメリットがあるのですか?
田口 MEB -41Fという製品がミノー用のワイドゲイプフックになります。メリットといえばハリ先が開いていることでフックポイントがコンタクトしやすいことでしょう。この製品はシャンクが短くフック同士の絡みやライン絡み、フックがルアーの背中を抱いてしまうようなトラブルが生じにくいのも特徴です。
フック絡みやライン絡みしにくい形状のワイドゲイプモデルMEB-41F
太軸のPLB-59F は大型レインボーやブラウンが混じる釣り場で好適
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ループアイフックは優秀
ループアイフックのメリットを教えてください。
田口 ループアイのシングルフックは一般的な管付きシングルよりもループがフレキシブルに動くので基本性能は高いです。まずバラシにくい、次にハリ先が立ちやすく刺さりもよい、ねじれに強くファイト中に変形しにくい。コストパフォーマンスは管付きのほうが優れていますが、性能面ではループアイフックをおすすめします。
ループアイフックの2 種。繊細に使えるDRS-40Fと大型対応の太軸DRS-50F
管付きフックとサイズの合わせ方は同じでしょうか?
田口 ループアイフックの場合はワンサイズ小さいフックを付けるのがトレンドになっています。たとえば5cmミノーに#10もしくは#12を選ぶ人が多いんです。トレンドだと思う理由は#10、#12が一番売れているからで、使用率の高い5cmミノーと合わせる人が多いのだと予測しています。ちなみに#12をラインナップしているメーカーは少ないです。ルアーをきれいにドリフトさせたいという人は、やはり負荷が邪魔にならない小さなフックがいいんです。ミノーに対するループアイフックのサイズの目安は次のとおりです。
・ミノー4cm台= DRS-40F #12
・ミノー5cm= DRS-40F #10もしくは#12
・ミノー5.5 ~ 6 cm = DRS-40F #8
ループアイフックには何タイプあるのですか?
田口 2タイプがあります。DRS-40F(ファイン)は4cm以下の小さなミノーにも対応する極小ループが特徴で、シャンクが長くゲイプがやや開いており、ミディアムワイヤーなので刺さりもよいです。ハイプレッシャーなフィールドでも活躍してくれます。DRS-40Fはロングシャンクなのでフック同士の絡みを防止する意味でもサイズを小さくする人が多いのかなとは思っています。結果的には小さくしてもフッキングはいい設計になります。もうひとつのDRS-50F(オールラウンド)はラウンド形状でフックポイントがやや内側に向いています。バラしにくく、大型魚のローリングにも耐える強度を重視したヘビーワイヤーです。強めのタックルで本流域を攻略するのにも好適です。
ループアイフックはフレキシブルに動くことでハリ立ちもよく、バレにくい。ねじれにも強いのでヤマメのローリングにも安心
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トレブルフックの使い方
トレブルフックのメリットを教えてください。
田口 正直なところフッキング率の高さはトレブルに軍配が上がります。ちゃんとキャストができるのであればトレブルのほうが釣果は上がります。たぶん2、3割多く釣れると思います。そもそもシングルフックはハリが泳いでいて向きが安定していません。フックがどこを向いているか分からないので掛かるかどうかは運の要素も多分にあります。それがトレブルは断然コンタクトしやすいんです。テール一本のミノーなんかは明らかにトレブルフックのほうがいいです。ストイックに大型ヤマメをねらっている人の多くはトレブル派です。大型化したヤマメ、アマゴは特に掛けるのも取るのも難しい。
少ないバイトを取る、または大型ヤマメやアマゴを取りたいという人はトレブルフックの愛用者が多い
トレブルフックの種類は何タイプあるのですか?
田口 DT -35Fはクセのないラウンド形状で初期刺さりがよいです。現在市販のトレブルフックはセンターバランス設計で作られているものが大半です。3本の各フックのセンター位置にアイが来るようにした設計ですが、こうするとルアーに対してフックが左右対称になり前進時にボディーに密着します。DT -35Fはあえて「非センターバランス」の設計にしていてフックが左右対称にならずボディーから離れやすい。渓流ミノーイングは小刻みなトゥイッチングアクションが主体で、ただ巻きでルアーをきれいに泳がせるような使い方をしません。センターを取ることに加工費をかけるくらいならコストパフォーマンスを上げようという目論見もあります。もうひとつおすすめがDT-38B です。細軸で高強度なトレブルフックでハリ先が内を向いています。フッキングに力がいりますがバレにくいフックといえます。あとDT - 48 FはPEラインと強めのタックルにマッチさせたミディアムヘビーワイヤーを採用した硬度の高いフックです。こちらはリマインドベンド(キツネ型)のフックを採用していてセンターバランスになっています。トレブルフックのサイズ合わせの目安は次のような感じです。
・ミノー5cm台=DT -35F#12
・ミノー6cm台=DT -35F#10
・ミノー4cm台=DT -35F#14
・ミノー3cm台=DT -35FもしくはDT-38B #14、#16
最後にフック交換の目安を教えてください
田口 フックが傷むとどういうバレ方をしやすいかといえば、ルアーに魚が食らいついたのが見えてサオにテンションが掛かった瞬間のひと暴れでバレます。ハリ先が鈍っていれば単純に掛かりにくいこともありますが、テンションの掛かった瞬間が一番バレますね。これは明確に替え時です。バラシが多いと感じれば爪にフックを引っ掛けてチェックしてください。またバイトが少ない時も貴重な1尾を掛けるためにもガンガン替えたほうがいいです。ヴァンフックの渓流ミノーの主力トレブルはDT -35 Fですが、この製品は20本入りで1000円とお得。コストの面でシングルと大差ありません。私は1釣行で10~15本は必ずフックを交換しています。
センターバランスの細軸設計DT-38B(右)は7 本入りで580 円。対して非センターバランスのDT-35F(左)は20本入りで1000円のバリューパック。消耗度の高い渓流ルアーフックは惜しまずに使えるフックが重宝される
センターバランスのDT38-B
非センターバランスのDT35-F。センターアイに対するフックの向きに注目したい
今回話しを聞いた田口祐太さんはヴァンフック販売促進チームに所属。シーズンに40 回以上は渓流に足を運ぶ。よく行く渓は長野県の木曽川上流域や秩父の荒川水系。また鳥取県の渓流は非常に魚影が濃くて特にお気に入りという。
※このページは『つり人2024年3月号』を再編集したものです。