松田克久さんは小誌おなじみのアユ、ワカサギのエキスパートである。アユが終わると当然ワカサギが気になるものだが、近年は日本海の秋イカエギングにも夢中だ。繰り出す釣り場は上越から富山のサーフである。家族やカップル、多彩な釣り人が並ぶ大人気の釣り場。攻略法のエッセンスをまとめてもらった。
おすすめ時期:10~11月
松田克久◎文
松田克久さんは小誌おなじみのアユ、ワカサギのエキスパートである。アユが終わると当然ワカサギが気になるものだが、近年は日本海の秋イカエギングにも夢中だ。繰り出す釣り場は上越から富山のサーフである。家族やカップル、多彩な釣り人が並ぶ大人気の釣り場。攻略法のエッセンスをまとめてもらった。
この記事は『つり人』2016年12月号に掲載したものを再編集しています。
数釣りするなら10月。11月にはサイズアップ
アユ釣りが終了に近づく初秋には日本海が気になりだす。夏の間は新潟から富山の天然アユ釣り場に通うことが多く、目の前にある日本海のターゲットが気になるのはいうまでもない。ここ数年は春のメバリング、ホタルイカパターンのクロダイ、アジング、秋のエギングといったぐあいにどっぷりとハマっている。釣り場では私の住む群馬、または埼玉、長野、岐阜など、山がちな県の釣り人をよく目にする。海なし県に住む者は、やはり海に格別な魅力を感じてしまうのだろう。
特にアオリイカのエギングは魚にはない乗った時の感触、数釣りもできるゲーム性があり、なんといっても食味が大きな魅力である。個人的には昼夜問わず釣れるため、好きな時間に好きなだけ釣りができる。この気軽さもハマる理由だ。
私がエギングでメインに釣行しているのは上越から富山のサーフエリア。漁港は立入禁止場所が多いので、安心して釣りができるサーフを選んでいる。夜もしくは朝・夕のマヅメ時がねらいめだが、時には日中でも釣れる。浅場に見えるイカをサイトでねらうのだ。ちなみに満月の日は断然夜がおすすめである。
アオリイカの釣果は8月末から聞こえはじめ、初期はコロッケもしくはトンカツサイズがメインだ。9~10月に数釣りの最盛期を迎え11月はサイズもアップし面白くなる。しかし冬型の日本海気候になると海は荒れる。エギングが楽しめるのは概ね12月上旬まで。シーズンが進むにつれ深場が有利になる。エギングは風の少ない波の穏やかな日がやりやすい。大シケの直後や降雨あとに濁りが入ると好釣果は出にくい。
エギング超思考法
「イカ先生」のニックネームで多くのファンをもつエギングの第一人者・富所潤さんが、中級前後レベルで足踏み中のアングラーに上達のアドバイスを贈る思考と技術の解説書。オカッパリの春の釣り、秋の釣り、そしてティップランエギングの3章から成るその内容は、「今イチ釣果が伸びない、安定しない、だけど理由が分からない」アングラーにとって、まさに目からうろこが落ちること請け合いです!
Kindle版あります!
「イカ先生」のニックネームで多くのファンをもつエギングの第一人者・富所潤さんが、中級前後レベルで足踏み中のアングラーに上達のアドバイスを贈る思考と技術の解説書。オカッパリの春の釣り、秋の釣り、そしてティップランエギングの3章から成るその内容は、「今イチ釣果が伸びない、安定しない、だけど理由が分からない」アングラーにとって、まさに目からうろこが落ちること請け合いです!
Kindle版あります!
秋イカねらいのサーフタックル
ロッドは8~8.6フィート。秋イカのサイズは大きくないのでMLの少し軟らかめがメインロッドとしてはよい。サーフは遠投が有利になり9フィートクラスの長めのロッドや少し硬めの調子も用意しておくとよいだろう。リールは2500番クラスが定番。私はシマノ「セフィア」シリーズのC3000を使用している。ラインはPE0.6号、リーダーはフロロカーボン1.75号、餌木のサイズは2.5~3号がメインになる。
タックル
繊細な穂先で乗りを察知しやすいシマノ「Sephia XTUNE・S806ML-S」も愛竿のひとつ
松田さんの一軍餌木のカラーはこんな塩梅。3~2.5号をメインに使う
ウエーダーに餌木バック、アユベルトに渓流用のビクを付けてラン&ガンする松田さん
繊細な穂先で乗りを察知しやすいシマノ「Sephia XTUNE・S806ML-S」も愛竿のひとつ
松田さんの一軍餌木のカラーはこんな塩梅。3~2.5号をメインに使う
ウエーダーに餌木バック、アユベルトに渓流用のビクを付けてラン&ガンする松田さん
サーフは根掛かりも多いので餌木の予備は充分に用意。各社カラーバリエーションは豊富で種類も多く悩んでしまうが、赤テープ、金テープ、マーブルをキーワードに選ぶとよい。日中にサイトでねらうならピンクやオレンジなど見やすい色も使いやすいが、ブラウン、オリーブなどの地味なカラーも強い。また餌木の沈下速度も種類によって違うため、浅いエリアならシャロータイプの沈下の遅い餌木で、ゆっくりと見せるフォールでイカを誘うのも面白い。
3号の赤テープの餌木(ヤマリア「エギ王Qライブ」)に抱きついた1パイ。サオはシマノ『Sephia SS806M』。2.5~4号まで幅広いサイズの餌木を扱いやすい
マヅメ時に松田さんが連発した餌木は金テープのブラウン
なにしろ人気の釣りである。釣果を上げるにはそれなりの工夫も必要。マヅメ時の時合は粘りに粘って回遊待ちをねらうか、駐車場から歩いて人の少ないエリアを捜しラン&ガンするのも作戦のひとつ。しっかりと餌木を沈め、あまりシャクらず、ズル引きや長いステイも効果的。少しでもイカのアタリ(違和感)をキャッチできるように、集中してチャンスをものにできるかが重要になる。
日中にポイントの地形、水深や障害物などの有無、ベイトフィッシュの数などをチェックし、夜釣りに備えておくと、釣りのイメージをつかみやすい。
川の流れ込みや潮上になる立ち位置から、餌木を送り込むように流し、より沖めの深場を探って釣果を出す人もいる。
サーフで便利なのはウエーダー。遠浅の場所なら少し立ちこんで釣ることでより前に出られる。少しでも餌木を遠投することができるので、探る範囲も広くなる。
エギング仲間と朝マヅメの時合
9月下旬、2016年シーズン初のエギング。3日前に猛烈な台風18号が北陸地方を通過した。気になるのは河川のニゴリ。選んだ釣り場は流入河川の少ない市振海岸である。到着したのは日も落ちた19時過ぎ。海岸の背後に控える大型駐車場は驚くほどの人だらけ。中には知人の姿もあり、前日からワイワイとエギングを楽しんでいるようす。そのひとりの中里孝行さんが言う。「夕マヅメも真っ昼間も深夜にも乗ったけど、一番よかったのは朝マヅメかな」
そして「11フィートのロングロッドが調子いいよ」と高木裕典さんが言えば、関谷幸治さんが「意外と手前でも釣果が出ましたよ」と話し、「餌木はやっぱり赤テープ」と滝沢春樹さん。堀川善彦さんが「満潮が深夜0時だから2時過ぎから日の出までがねらいめじゃない」と言うと「晩飯でも食べてのんびりやりましょう」と深澤崇純さん。彼らは『Nankan倶楽部』のメンバー。アユ釣りをはじめワカサギ、エギング、ロックフィッシュ、青ものと多彩な釣りものを楽しむクラブで私がねらうターゲットと同じ。
深澤さんはこの日7ハイの釣果をゲット
遠投で広く探り深夜2時に乗せたのは高木さん
晩飯前にまずは釣り。フルキャストでカケアガリの手前までを探る。満天の星空のもと潮騒を聞きながらサオをだす。海はベタナギで蒸し暑いくらいだ。潮が効いておらず潮位も低いせいか反応が乏しいことから長くは探らず朝マヅメに備える。仲間と合流して談笑してから11時に就寝。2時30分には起きて再び海辺に下りると高木さんがすでに1パイ目を釣りあげていた。私はベイトが集まりやすく実績が高いという小川の流れ込みの前に立つ。イカを見ればシャクる腕にも力が入るというものだ。
星降る夜、潮騒が心地よい。この日の潮回りは満潮が0時で下げが利き始める2時から朝マヅメが時合だった
カケアガリに引っ掛からないように注意しつつ長いステイの中で違和感(アタリ)をとらえた
3時を回ったころ底から数シャクリ後のポーズでイトがススッと走る違和感。これを合わせるとズシンと手応え。小気味よいジェット噴射を楽しんで波打ち際まで寄せるとコロッケサイズ。この時期のアベレージだ。これを皮きりにリズムがつかめ2ハイ、3ハイと数を重ねる。辺りが白みはじめたころからは各所でサオが曲がり始めた。Nankan倶楽部のメンバーも乗り乗りである。
海面が黄金色に染まる朝マヅメには海岸線に人がズラリ。私は完全に日が上る7時ころまでシャクリ続けて7ハイをキャッチ。しばらくぶりのイカの手応えがうれしかった。
松田さんは朝マヅメのチャンスタイムにバタバタと乗せた
関谷幸治さんの餌木にキジハタがヒットする場面も。このほかマダコも乗ることが多い。いずれも超美味
朝マヅメにまずまずのサイズが乗るも、日が高くなると型はどんどん小さくなった
2017/10/26