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アユ釣り/喧嘩っ早い天然アユが泳ぐ、日本海側小河川の魅力

オーシャンビューで入れ掛かり

つり人編集部=写真と文
01 波打ち際でもアユが釣れることがある小川。天然アユの入れ掛かりが楽しめる

この夏、東北・北陸の日本海側アユ河川が天然ソ上に沸いている。昨夏の不良を吹き飛ばすアユが熾烈なナワバリ争いを繰り広げているのだ。喧嘩っ早い日本海アユに魅せられてウン十年「日本海の浦上さん」の異名を持つベテラン、浦上博さんが潮風薫る小河川でアユバケーションを楽しむ。

朝は小河川で泳がせ三昧


 同じ天然でも太平洋側と日本海側を比べると、後者のほうが「追い気が強い」と感じる釣り人は実に多い。理由はなぜか? ベテランに聞いたこところ「夏が短いからだろう」と答えていた。短期間でエサを食べ、成長しなければいけない。だからナワバリを持つアユが多いという。確証も検証もない答えだが、そうかもしれないと思った。なにせ東北・北陸の夏は切なくなるほど短いのだ。

06 河口に向かって土手道が続く。胸躍る釣り場へ

「アユは数釣れたほうが絶対に楽しい。時速20くらいの入れ掛かりを味わいたくて、7月になると新潟や富山の天然河川を巡るのがシーズンの流れです」

 そう話すのは長野県長野市在住の浦上博さん。今年古希を迎えたが仕事は現役の週末アングラー。土日は仲間と合流してカーキャンプ。釣って食べて、昼も夜も愉快にすごしている。この日は富山と新潟の県境にある小川のリバーサイドを野営地に決めた。

02 小川の隣の笹川もまたソ上豊富な小河川。無数のアユが濃密にいて一ヵ所で数が出る

 初めに向かったのは小川の北隣を流れる笹川。川幅6mほどの細流だが、河口から約1.6㎞上流にある陶芸センターの側はいくらかサオが振りやすい。橋から川をのぞくとヘチまできれいに食まれて川底はピカピカだ。

03a いかにも泳がせ釣り向きの流れ

「小川は水温が冷たくてね。10時をすぎないと追いが立たない。それに比べ笹川は水温も上がるのが早くて早朝からよく掛かる」

 浦上さんはがまかつ「ファインスペシャルⅣ」の8.1mを伸ばす。水中イトはフジノ「楽鮎ボロンコート」0.05号。ハナカン回りはノーマル。中ハリスは0.6号。ハリは6号の3本イカリ。

 サオを立てオトリを手前のヨレに馴染ませて泳がせる。それからオトリに負荷をかけるように穂先をオトリより下流に向ける。こうすると後ろに負荷のかかったオトリが前のめりに突っ張る。そして徐々に横にスライドする。このアクションで追わせることが多いという。たちまちトンと目印に反応が出て、追い星を光らせたアユが舞い上がった。ヨレからヨレにオトリを操り、鮮やかにアユを掛けていく。中には10㎝に満たないビリもいたが、そんな小型も浦上さんは躊躇なく使う。

小型オトリの使い方 b-1 入れ掛かりに導くには小型のオトリも使うこと。面倒かつ中ハリスが傷むのがハナカンの遊動だ。浦上さんは中ハリスをオトリに巻き付けるようにして逆バリをセット。10㎝に満たないような魚であれば掛けバリハリスを5㎝くらいにカットして短くするとよい


「大きいオトリには大きいアユしか掛かりません。小型なら小、中、大のいずれも掛かってきやすい。だから数が釣れやすい」

 浦上さんは中ハリスが傷むのを嫌い、ハナカンをほとんど動かさない。となるとオトリが小型の場合ハナカンと逆バリの間のイトが大きく余ってしまうが、オトリの魚体に中ハリスを巻き付けるようにしてセット。これでも泳ぎは損なわないことを証明するかのように中型のアユがガツーンと急襲!

「大好きな泳がせ釣りで、あまり動かず、どれだけ掛けられるかを試す。それだけでも充分に楽しいです。芯に付いたアユはいつでも掛かりますが、動かず数を釣るためには、その周囲のアユをどれだけ反応させられるかが重要です」

 ポツポツと数を掛け、10時を回ると薄日が差す。そろそろ小川がいい頃合いと浦上さんは移動する。

浦上さんのオトリBOX a-1 オトリの保管は衣装ケースを改良。穴を空けて通水をよくする

a-2 取っ手には南京錠を掛けておく

a-3 オトリ缶に比べ、アユが動き回れるスペースが広い衣装ケースは大量の魚も保管が利きやすい。沈めやすいように中にも石を入れておく

波打ち際の良型アユ


 小川は海の目の前でアユが無数に満ちている。

「昔の小川は波打ち際で30㎝くらいの大アユが釣れたんです。それを専門にねらう釣り人がいてね。波打ち際に沈んだテトラに大きなアユが付いていました」

 と浦上さん。そう言っている側で水面を跳ねるアユ。それも18㎝クラスの良型であった。一番上りの良型アユはソ上できる最上流部に潜むといわれるが、海の側にエサ場があれば、そこにまずナワバリを張る。河口に瀬があればアユが付いている可能性は高く、そこから弾き出されたアユが次のエサ場を目指してソ上を続ける。

 7月1日の解禁から高水が続いていた小川。アカが残っているのはへチや分流ばかり。どこでもまんべんなく釣れそうな雰囲気ではないが、前日には浦上さんの釣友の磯部育男さんが70尾掛けたという。

04 チャラ瀬で連発を楽しむ浦上さん


 踏むほどの数の天然アユがいても、1日中釣れ続くことは少ない。追い気が立つ時間帯があるのだ。活性の高まる時合についてアユ研究者の高橋勇夫さんが「潮が動く時間帯」と言っていた。いわゆる「上げ3分、下げ7分」の潮が激しく動く時間帯に追いが立つという。潮が動くと流れが生じてプランクトンが動き、それを捕食する魚も活性が高まる。海に下ったアユにはその変化を感じ取る習性が色濃く残っているのかもしれない。潮の影響を強く受ける河口域ではなおさら影響が強いだろう。

05 尾びれの切れ込みが深い小川の天然アユ。追いが立つ時間帯は2段追い星の魚が出し掛かり

 波打ち際近くの本流筋でオトリを泳がせてみるも、反応があっても掛からない。そこで浦上さんは分流のチャラ瀬に入った。

「くるぶしくらいの瀬がいいんですよ」

 アカがべったり残ったチャラ瀬に正座する浦上さん。オトリを放つとスイスイ横に泳ぎ、今度はズンズンと上流に泳ぐ。少しブレーキをかけるようにイトの張りを強めては戻し、それを繰り返すうち目印がバンと弾け飛んだ。

 オトリが替わればエラ周りに黄色いハチマキを巻いたアユが2尾、3尾とたて続けに連発。すると対岸から「浦上さ~ん、ソウメン作ってよお」と声がする。時計を見れば正午を少し回っている。浦上さんはきっちりと昼には上がり、仲間にソウメンをふるまう。

07 午後3時間ほどで30尾。ひとしきり入れ掛かりを味わって納竿


「みんなに喜んでもらうのが生き甲斐でね」

 衣食住を快適にすごす工夫が詰まった車で気兼ねなしのカーキャンプをウン十年と楽しんできた浦上さん。まるでドラえもんの四次元ポケットみたいに何でも詰まった愛車はホンダの「NVAN」。テーブルセットはもちろん、塩焼き台、扇風機、シャワーまで取り付けられる。整理された車内から調理器具をだすとソウメンを茹で、仲間が持ち寄った夏野菜が彩りを添える。こうして午後の釣りの英気を養い、再び川に立つ。午後からは高速循環の入れ掛かりを堪能し「やっぱ日本海は最高だねえ」とニカッと笑う。

08 朝日も夕日も美しい日本海。この夕暮れ時にすごすひと時もまたよし

 5時には川を上がるのが通例で、食卓の準備に取り掛かる。日本海に沈む鮮やかな夕日を楽しみながら肉を焼いて語らう。夜のとばりが下りると水路にホタルが飛び交った。笑いの絶えない宴。友が友を呼び輪が広がるアユの友釣りは、こうした語らいも幸せな時間なのだ。

浦上さんが実践する、釣行を3倍楽しむ愛車活用法

c-1 エアマットのベットの上下・横に便利グッズがたくさん

c-2 熱い車中を快適にする扇風機。プロペラがソフトなゴム製なので指を入れても痛くない

c-3 電源は日常家電を使えるようにAC-DCインバータを愛用。オトリ缶に観賞魚用エアポンプが使えるなどいろいろ便利

c-4 携帯シャワー。これで汗を流してから着替える

c-6 お昼はきっちり上がって手作りランチタイム。素麺&夏野菜でエネルギーを補う

c-5 夜は焼き肉に刺身で乾杯!

アユの氷締めは塩が決め手 d-1
d-2 浦上さんはアユに塩水を飲ませて締める。こうすると変色がなくヌメリも残って美味しいままに締めることができる

この記事は月刊『つり人』2019年9月号でも読むことができます。

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2019/8/6

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